■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ディヴェルティメント ヘ長調

K213

 ハウスヴァルトが「円熟と充実の時代」と名付けたセレナード類創作の第4期、1775年から77年までの2年間に、次のように6曲の「管楽ディヴェルティメント」が生み出された。1775年、へ長調K213。1776年、変ロ長調K240変ホ長調K252(240a)、へ長調K253。1777年、変ロ長調K270変ホ長調K289(271g)。この6曲は、オーボエ、ホルン、ファゴット各2という室内楽的な六重奏、小規模な4楽章構成(K253のみ3楽章)、意識的に切りつめられた簡素な形式構成、楽想の親しみやすさ、特に舞曲楽章の多用といった共通性を示している。自筆譜は、最後の曲を除いて1冊に綴じられ、第1〜5番と番号づけられており、また調性の配列は、へ長調、変ロ長調、変ホ長調を2回繰り返すという計画性を示している。初めから6曲からなる曲集として意図されたかどうかは不明ながら、共通の目的のために順次作曲されたことは明らかである。作曲の目的や演奏に関する資料は何もないが、すでにO・ヤーンが推測したように、大司教宮廷の食事の折に演奏される「ターフェルムジーク」として書かれた音楽と考えられる。そうした目的にふさわしい極めて簡素な外観の作品だが、時に後期の作品を先取りする旋律すら現れる楽想の豊富さ、巧妙な楽器法の魅力は決して小さくはない。アーベルトも言うように「生命と上機嫌を感じさせる、また極めて単純な楽想を新鮮で魅惑的なものに構成することを心得ている」作品群と言えよう。
作曲年代 1775年7月、自筆譜による。
基本資料の所在 自筆譜はベルリン国立図書館所蔵。
出版 〔初版〕1802年頃、オッフェンバッハのJ・アンドレ。最後のK289(271g)を除く5曲がまとめて出版された。〔全集〕旧モーツァルト全集第9編、第22番。
演奏時間 約10分。
楽器編成 オーボエ2、ホルン2、ファゴット2。

第1楽章 アレグロ・スピリトーソ 変ロ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アンダンテ ハ長調 4分の2拍子。二部形式。
第3楽章 メヌエット ヘ長調 4分の3拍子。
第4楽章 モルト・アレグロ ヘ長調 4分の2拍子。「コントルダンス・アン・ロンドー」とフランス語で表示された舞曲のリズムによる軽妙な終曲。