■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ディヴェルティメント ハ長調

K188(240b)

 自筆譜にある「ディヴェルティメント」という表題は他人が書き加えたもので、作曲年代は記入されていない。ケッヒェルは1773年作曲と推定したが、旧全集の校訂者ノッテボームは1776年と推定し、今日この年代が支持されている。フルート2、トランペット5、ティンパニ4という特異な編成で書かれたこの作品の演奏の目的や機会は明らかでない。アーベルトは、宮廷での食事の折に招待客の入場に伴って奏されるファンファーレのように用いられたものと、一方アインシュタインはメンヒスベルク山麓にあったザルツブルク騎兵学校のために作曲したものと推測している。たしかに、楽器編成、曲想とも、騎兵学校の祝典で行われる馬の行進やバレエを偲ばせるものをもっているといえよう。いずれにしても、6つの小曲よりなる純然たる機会音楽で、主にフルートが旋律、ティンパニがバスを担当し、トランペットがファンファーレ風の華やかな響きを添えるという単純な構想によっている。
 なお、同じ編成の作品に「10の小品」K187があるが、これは第1〜5曲がヨーゼフ・シュタルツァー(1726-1787)の同編成の曲の筆写、第6曲以下はグルックのオペラからの編曲であり、ケッヒェル第6版ではAnhC17・12に位置づけられている。おそらくK188と同様の目的のために書かれたと考えられる。アーベルトはこの事実を知らずに、作品の充実度からみて、K188の方がK187の3年後に成立したとするノッテボームの見解を支持したものであったが、このことは、こうした単純な作品においてもモーツァルトの優位が紛れもなく現れていることの証左といえよう。
作曲年代 おそらく1776年の初め。
基本資料の所在 自筆譜はパリ、フランス学士院図書館所蔵。
出版 旧モーツァルト全集第9篇、第20番。
演奏時間 約8分。
楽器編成 フルート2、トランペット5(ハ調3、ニ調2)、ティンパニ4(ハ、ト、ニ、イ)。

 各曲とも20〜60小節からなる簡単な二部形式で書かれており、モーツァルト自身も第1番から第6番の通し番号で表示しているように、6楽章構成というよりも6つの小品が集められたものといえる。
第1曲 アンダンテ ハ長調。4分の3拍子。二部形式。
第2曲 アレグロ ハ長調。4分の2拍子。二部形式。
第3曲 メヌエット(トリオなし) ハ長調 4分の3拍子。二部形式。
第4曲 アンダンテ ト長調 2分の2拍子。二部形式。
第5曲 メヌエット(トリオなし) ハ長調 4分の3拍子。二部形式。
第6曲 ハ長調 2分の2拍子。二部形式。テンポの表示はないがガヴォットのリズムによる急速な終曲。