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弦楽五重奏曲 第1番 変ロ長調

K174

 6曲の弦楽五重奏曲のうち、他の5曲がいずれもウィーン時代に書かれたのに対し、これは17歳のときザルツブルクで作曲されている。また他の5曲がそれによってこのジャンルを比類ない芸術的高みに築きあげ、深遠かつ厳粛、しかも透明な世界を生み出しているのに対し、この作品は解き放されたくつろいだ気分、楽想、楽章間のゆるやかな結びつきによってディヴェルティメントの性格を帯びている。なお、もはや散逸してしまった自筆楽譜には、バス声部に「バス」の表示があるのみでコントラバスか、チェロか、あるいはその両者を重複するものか、その奏法についていまだ決定的な見解がもたらされていないことを付記しておきたい。
作曲の経過 作品の成立は、モーツァルトがこのジャンルに手を染めた契機と考えられているミヒャエル・ハイドンの弦楽五重奏曲と関連づけて考えられる。すなわちM・ハイドンは1773年2月17日に「第1番」ハ長調を作曲し、3月13日に第3回イタリア旅行から帰ってきたモーツァルトがこれを知り、作曲にかりたてられたのである。モーツァルトはその後12月にメヌエットとフィナーレについて第2稿を作曲しているが、これまた12月1日付のM・ハイドンの五重奏曲「第2番」ト長調が契機と考えられている(したがって作曲年代は1773年12月ザルツブルク)。
基本資料の所在 戦後散逸。
出版 〔初版〕ウィーン、ジョヴァンニ・トレーク、1798年。〔全集〕新モーツァルト全集第8篇、第19作品群、第1巻。
演奏時間 約23分。
楽器編成 ヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ。

第1楽章 アレグロ・モデラート 変ロ長調 2分の2拍子。明快なソナタ形式。
第2楽章 アダージョ 変ホ長調 4分の4拍子。ごく短い展開部を含む簡単なソナタ形式。
第3楽章 メヌエット・マ・アレグレット 変ロ長調 4分の3拍子。
第4楽章 アレグロ 変ロ長調 4分の3拍子。ソナタ形式。