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弦楽四重奏曲 第8番 ヘ長調

K168

 〈ウィーン四重奏曲〉の第1番目に位置するこの作品は、構成的な第1楽章、ハイドンの作品から主題を借りて線的に書かれた第2楽章、諧謔味のこめられたメヌエット、そして厳格なフーガ・フィナーレと、6曲のなかでも最も鮮明にハイドンの影響を示した四重奏曲となっている。また、このようにハイドンの進歩的な面からの影響が集約的にあらわれていることは、第1作であるだけに注目に値する。研究者の多くが指摘するように、新しい芸術体験が十分に内面化されているとはいいがたいが、そうした影響による彫りの深さと、17歳の青年らしい清新な表情のそなわった魅力的な作品といえよう。
作曲年代 1773年8月、ウィーンにて(自筆譜への記入)。
基本資料の所在 個人蔵(ジュネーヴ)。
出版 〔初版〕1801年、オッフェンバッハのJ・アンドレより「作品94、第1巻、第1番」として。〔全集〕旧モーツァルト全集第14篇、第8番。新モーツァルト全集第8篇、第20作品群、第1部門、第1巻。
演奏時間 約14分半。

第1楽章 アレグロ(レオポルトによる) 変ホ長調4分の4拍子。第1曲と同じく反復を省いたソナタ形式で書かれ、ブッフォ的音調を混えた明るい響きでまとめられている。
第2楽章 ウン・ポーコ・アダージョ(レオポルトによる) 変イ長調 4分の3拍子。ソナタ形式(二部形式)。この楽章は室内楽的に緻密に書かれており、4つの楽器の響きの融け合いが美しい。
第3楽章 プレスト 変ホ長調 4分の2拍子。ソナタ形式。