70スープラ 水温センサー交換







■まずは何故水温センサーの交換に至ったか。
車検で入庫してくるはずのM君の70スープラ。
普通に走行しているのだが、時々急に吹けが悪くなる。
どうもガソリンが少し濃い目になるようでその際にマフラーから黒煙&白煙等があがり
エンジンの調子が悪くエンストしそうになる。

1、本人曰く「ECUの故障ではないか?」
私も当初それを疑ったのですが(症状、ほんとに似てたんですよ)ECUはリビルトを入れて
まだ半年以内だった。なので保証範囲として無料で交換をした所・・・
症状の改善は無し。
ついでなので在庫で所有しているオーバーホール済みのECUを3つ試してみたけど
症状の改善は全く無し。
これでECUの不具合は消えた。




2、この車両にはHKSのキャンプって言うシステムが付いていて、ECUからの信号を
モニターで確認出来るのです。そこにデジタルメーターの水温計があって、
調子が悪くなる時は水温が14度〜30度前後の表示になる。
その際に純正の水温計は通常の数値を指している。
調子が悪くなるとアイドリングが1700回転くらいにあがって固定になる。




3、アイドリングがあがるのでISCVバルブを疑ってみる。
ISCVはアイドリング・スピード・コントール・バルブの略なので
アイドリングの調子が悪い時はこれが調子悪いと言う事例を今まで何度も見てきたので
在庫のISCVと交換してみた。
・・・症状、改善されず。
せっかく外したのでついでと言うかなんと言うか、オーバーホールもした。




4、今までの経験上、ターボプレッシャーセンサーの交換で直った事もあったので
自分の70から外してこの車両と入れ替えをしてみた。
ちなみに70スープラの1JZの場合、センサーは二つあるので勿論両方ね。
症状、いっこうに変化せず・・・




5、ガソリンが濃い状態なのでこの辺でプラグがかぶりだす。
もうマフラーだけでなくタービン近辺からもモクモクと煙が(苦笑)
タービンガスケットも抜けてたりして。
なのでプラグも外してみると、ガソリンがべったり。もう駄目だね。
新品交換に至る訳ですがその前にこちらも持っている中古の在庫部品でまずは
様子見を続ける事に。修理出来なかったら不要な部品代まで掛かるのでそれを避けた
だけですが。




6、プラグ交換時にこれも良くある・・・コイルへの接続コネクターが寿命状態。
ぼろぼろ取れてくるのでこれも後に新品に交換。ここでリークしていた車両が1台
あったので。これも経験値ですね。
更についでに時々壊れて点火不良気味になる事がある点火コイルも在庫の中古部品に変換。
・・・症状全く変わらず。
(ちなみにコイルが壊れても気が付かずに乗っているオーナーさんもたまにいます。
ブーストが掛かる頃とかほんの一瞬だけ息継ぎするような違和感の場合、コイルの故障の可能性も。)





この辺である程度やる事はやってしまった感があったので悩んでしまったんですね。
そして友人のショップのメカとかにも電話したりも。
出てくる回答はやはり上記に書いたような事ばかり。
ただ一つ某86屋さんの意見だと・・・
F-Conで同じ様に水温がおかしい時にセッティングではどうにか出来るレベルじゃなくって
水温センサー交換した事はあるよ、と。

あっ、そうだよね。
水温の異常が出ているから水温センサーの可能性もあるんでした。
HKSのキャンプは信号を読み取る側だけなので「キャンプ外してみたら?」と言ってくれた
人もいましたが、それは関係無いとは思っていたので。
キャンプがECUからなにやら間違った水温の信号を拾っているので、まずはそこを片付けねば!


しかし、このキャンプが付いてなかったら何がどうなって・・・って言うトラブルシューティングは
更に迷走していた事でしょう。今回ほどキャンプが付いてて良かったって思った事はありません。


・・・で、水温センサーです。
1JZエンジンには幾つあるのかなぁ〜
エンジンの調子が悪いのにちゃんと水温が上がる頃合までエンジンを掛けながらの作業に
なりました。
煙が凄いのでもう大変・・・咳き込むと言うレベルでは全く無く、煙で死んでしまうのではないか?
と思ってしまうほどの状況の中。。。

ラジエターの水温センサーのコネクタを外してみる。
キャンプの数値は変化無し。なのでこれじゃない。
(ちなみにラジエターに付いているセンサーは油圧ファンの動作用のセンサーです。)

ラジエターアッパーホースからエンジンへ入っていく周辺のセンサーを見る。
・・・二つある。

まずは上側のコネクタを抜いてみる。(配線は1本)
キャンプの数値変わらず。
しかし、純正のメーターが下りて行くのでメーターのセンサーでした。
次に下側のセンサーのコネクターを抜く。
キャンプの数値がマイナス20度とかにwありえねーーって感じですよね。
そして更にガソリンは濃く噴射され、本当に有り得ない状態になりました。。




部品商に電話してエンジン水温センサーを注文する。
・・・届いたのは上側のメーターのセンサーだった・・・
すぐに電話して確認したのだが、トヨタで言うエンジン水温センサーと言うのはコレしかないらしい。
いや、そんな事無いから、って説明してやっと注文出来ました。
名前が水温センサーではなくて、水温スイッチと言うみたい。へぇ・・・スイッチねぇ。。何故?

これを交換するのもまた大変でした。
ちなみにこのスイッチに入っているコネクターも同時に発注しておきました。
何故なら・・・このコネクタもやっぱり触っただけでボロボロと崩れ始めたので・・・
コネクタも注文で全然分かってくれなくて苦労しましたが、なんとか新品で納品されてます。

さぁ交換しよう!



画像の上のセンサーがメーター用のセンサー
画像左のリングがガスケットでその隣が水温スイッチ
一番右の緑色をしたコネクタが新品状態
(そう、最初は緑色なんだけど皆さんのコネクタは劣化できっとグレーになってるはず・・・)



メーター用の水温センサーは17mm角でコネクタも1本だから普通にディ−プソケットが入ります。
なのでこれの交換はまぁ普通に出来ます。
問題は今回疑わしい水温スイッチと呼ばれる物。
これ、でかいコネクタの先が付いているのでディープソケットが入りません・・・
外すだけならコネクタ部分を折ってソケットが入りますが、それだと新品の締め付けが出来ないし。

持っている工具を次々に試すものの、上手く回せる道具がありません。
ちなみに19mmなんですが、ディープでもインパクトレンチでも全部駄目。
なんだこりゃ〜 どうなっとんじゃ〜 と頭は沸騰気味。

。。冷静に。
専用工具とかあるかもしれないと思ったので、この辺の担当をしてくれてる
SNAP ONに電話して来てもらった。
すると、センサーコネクターが付いたまま着脱が出来る工具を幾つか試させてくれました。
(ほんとに色んな種類のがあるのね。)
ただ・・・全部駄目です。
さすがのSNAP ONもお手上げ状態に。
ここ、本当にスペースが無いので、レンチとかの類は入りません。

これはアッパーホースが繋がっているエンジンのコネクタ部分を外さなければ作業出来ないのか?
と、真剣に悩みましたよ。そうすると随分作業工賃が上がってしまうしな・・・出来ればそれは最終手段にしたい。

んで、純正部品と言う事だから、ディーラーメカの後輩とかに電話して聞いたりした。
全くどいつもこいつも「普通のディープで外れますよ♪」って簡単に言いやがって。
簡単に外れたら電話なんかする訳ねーだろ!(すいません、イラ付いてたので)
そんなに簡単だったらそのままディーラーに持って行って工賃払っても良いのだよ。


そんな感じで作業が進まず色々ネットでも工具を探したりしてたんですが、
水温センサー用のレンチとかは出てくるけど、コレが外せそうなのが特に無いんですよね。
すると、後輩メカ君が一人様子を見に来ました。電話では良く分からなかったみたいで。
で、現物確認をする。

「確かに入りませんね・・・」


・・・入りませんね、じゃ済まないので色々考えたりしたんですが。。
その後輩君がナイスな工具を発見して持ってきてくれた!
それがコレ↓



初めて見たよ、こんな切れ込みが入っているディープソケット。
彼の手持ちの工具であったようです。ちなみに今回はレンタルしました。
勿論自分でも欲しいのですが、工具にメーカー名が入っていない。
見た目安物っぽいのだけど。


新品の水温スイッチの納期が来年の1月10日以降って言われてたのでそれまでになんとか
したかったんですが、この工具を持ってきてくれた時に何故か?納品されたので早速試してみた。



おぉ、、思わず唸りましたね(笑)
なんと、この為に存在するかのようなこの完璧なフィット感!
この位置じゃないと入らないし、長さも本当にぴったりだ。

今後の事も考えて、欲しいよ、コレ。
ディープ買ってきて自分でこの辺切るのも大変だし、なんとかメーカー見つけて購入出来ないものだろうか。



ちなみにこれらセンサーはどの辺りにあるのかと言うと

このアッパーホース付け根の下の方です。
この角度では見えません。




更に覗き込むと、こんな風に付いてます。
上側がメーターのセンサーで下側が水温スイッチ。
画像は新品に交換した後の状態。

注意点って言うか、当たり前ですが外すとクーラントがどぼどぼ出てくるのでちゃんと
補充しといてくださいね。・・・と書きながら、これの交換出来る人の方が少ないか。





このコネクタが駄目になってますので、新品に交換です。
恐らく皆さんの車両のコネクタももう劣化しちゃっているはずですが
むやみに触らないでくださいね。触るとその時の衝撃で折れたり崩れたりして
コネクターの役目を果たさなくなった時の方が怖いですから。



やっとの事で交換が終わってしばらくエンジン掛けときました。
最初は未燃料ガスが溜まってたらしく相変わらず煙がモクモクでしたが
エンジンの回転はスムーズだったので空ぶかしとかしながら水温が上がるまで待つ。

水温が安定した頃に試乗にも出掛けました。


キャンプからの水温の信号は大丈夫そうです!
大体84度くらいでブースト掛けて走っている時に90度に到達する感じ。
そこから以前のように水温が10度とかに勝手に下がってしまう信号は検出されず!


やっと直ったかも・・・

このセンサー、抵抗値が5Ωとかだったかな?
多分何かの拍子にちょっとだけ抵抗が変わったりしたんだろうね、劣化で。
それをECUが読み取って調子悪くなったりアイドリングがあがったりとか


安直にECUが悪いって考えないで下さいね。
私も最初にそれを言われてなかったらもう少しは早く到達出来たかも。。