ステアリング・ギアボックス(ラック)の種類
多くの人が一度は通る、ステアリングラックのリビルト交換。

オイル漏れ、パワステが効かない、などなどで既に交換済みの車両が多いかと思います。
リビルト品と言うものは大抵は、現在装着されている物と交換で、
送られてきたリビルト品を装着し、取り外したラックをリビルト屋さんに返送するシステムだと思います。
最近はリビルト屋さんも在庫(コアと呼ばれる)が無くて、先に送ってくれ・・・
と言われる事も増えてきましたが、この下取りシステムにはちょっとだけ落とし穴が存在していました。


私も何度か交換作業をしてきたので時々疑問に思う事もあったのですが、
取り扱った作業数が多いのでその疑問をまとめてみました。アレ?って位で実際に装着は出来るので
割とスルーしている所がほとんどだと思います。



まずは、ラックブーツ。
リビルト屋さんは親切にラックブーツも装着して送ってくれます。
ただこれが問題の一つで・・・純正のブーツバンドではなくて、タイラップ留めだったり汎用品のバンド(再使用不可の物)
と、外側はゴム製のOリングで留められています。
ただ使うだけならこれで問題ありませんが、ラックブーツは破れやすい為、破れて交換する際に
純正のブーツを頼んでもブーツバンド等が無いので再注文する必要が出てきます。
これはそんな修理中に気が付いたのですが・・・
JZA70のラックは他にもMAやGA,またはソアラ系とも共通認識をされているので、純正のブーツとブーツバンドでは
サイズが異なり、そのまま装着出来ないと言う場面に遭遇したのです。

JZA70のラックは系が少し大きいのでそれに合わせてブーツを入れ替える必要が出てきます。
何気にソアラとスープラのブーツは左右が違ってるので左右逆のブーツとブーツバンドを使ったりすれば対応出来たりします。


大きな問題は次の二つ!
JZA70のラックはパワステ高圧ホースの取り付けネジを避けるようにレイアウト設計がされています。

こちらがJZA70用のレイアウト

こちらがそれ以外のレイアウト(どの車種の物かの特定は出来てませんがJZA70ではないです。)

良く分かりませんか?

どの部分なのかと言うと・・・


真下から見ると・・・

ネジを付ける部分に被ってしまいます。

恐らく作業者は先にネジを装着してホースを固定と言う工夫をする人が多いと思うのですが
2018年春先に1台、ここがネジに当たって配管部分だったのでそこからオイル漏れが発生した例が出ました。
車両は動いているので取り付け当初は当たらなかったのでしょうが10年位前に交換していた車両だったので
その間にズレが出たのでしょう。
既にこのタイプに交換されている車両の場合は、この取り付けネジを外してしまうと言う対策が望ましいです。
受け側のパーツは配管を移動出来るので動かして干渉を無くせるはずです。

この配管も当然ながら生産廃止ですので、漏れたら修理が面倒な部分です(とっても細い配管部分なので・・・)



こんな風に漏れてきます。


この時は配管だけ手持ちの中古部品と交換致しました。
配管だけ並べてみるとその違いが分かりやすいかと。


一回り小さいですよね・・・


これが全体を下から見た画像で


こちらが拡大図となります。
JZA70専用のラックの配管は取り付けネジを完全にクリアする設計がされています。



最後になりますが、オイル漏れともう一つの問題点は!?
リビルト品を装着しても、パワステが効かないと言う症状。
岡山の有名な70乗りのM君から来た情報ですと、
「ラック内のソレノイドバルブが動作してない」と言う連絡も頂いてます。

この件に関してリビルト屋さんに連絡した所「ソレノイド系は部品が無いので交換出来ない部品、
でも分解洗浄はしている」と言う連絡を頂いてます。
現在以上のリビルトは不可能とも。

・・・それ以後、時間は掛かって車両の移動も困難になるけれど、
現物修理(リビルト)以外はしない、、と固く誓いました。。。(涙)
M君の車両も当店でなんとかしたいと思ってます。