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2004年8月のブックガイド

このページはエキサイトブログで2004年8月に掲載した書評・映画評覧で構成されています。
新規の書評は
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でお楽しみいただけます。


「帝都探偵物語〈1〉人造生命の秘密」(赤城 毅) 光文社文庫
「ワースト」小室孝太郎 朝日ソノラマ

 

「帝都探偵物語〈1〉人造生命の秘密」(赤城 毅) 光文社文庫
 時は大正十四年、帝都東京に突如不死身の怪人が現れた。その正体は、狂気の元軍医が生み出した人造生命だった!
 思わず、ああ、またかという設定(笑)
 古くは帝都物語を始めとして、明治大正昭和初期を舞台にした探偵ものは数えきれないほどある。また、それにホラーやSFや軍事を絡めた作品も多い。
 もし俺が作者なら、この設定を考えただけで、もう作品化はしなかったと思う。
 が、作者は作品化してしまった。しかも、とことん面白く。その原因は、主人公木暮と彼を取り巻くキャラクターたちの魅力につきる。なるほど、ここまでキャラ立ちさせるなら、手垢のついた設定でもいいな、と思い知らされる。むしろ、面白さに関しては間違いないだろうという安心感すら感じさせる。
 怪奇事件専門(本人は望んでいない・笑)探偵の木暮十三朗。恩人にしてパトロンの娘・礼乃(れいの)。美少年(高畠華宵がモデルに所望するかもしれないほど・笑←うまい)のスリ・渡(わたる)。典型的な少女漫画のキャラではないですか、この確信犯め。
 彼らの今後の冒険の結末が知りたいだけで、もう次の巻を買う気にさせてしまう。シリーズものの気持ちよさをよく知っているなあとうれしくなった作品だ。
 ただしアニメ調の表紙は個人的にはいただけない。表紙だけで引いてしまった年長読者もいるのではないだろうか。また気になったのは、「ばっちり」という礼乃の言葉。大正時代にこんな表現はあったのだろうか。ひょっとしてあったのかもしれないが、俺は作品の中で違和感を感じた。面白いだけに残念だ。
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「ワースト」小室孝太郎 朝日ソノラマ
 昭和45年から46年にかけて週刊少年ジャンプに連載された終末SFの傑作である。
 三日間降り続いた雨に打たれた人間が、高熱を発して死亡する。そして死んだ人間の体が別の生き物として生まれ変わり、人間を食い始める。
 主人公の不良少年鋭二は動物的な予感で雨を避け続けて怪物化を免れる。怪物と戦いながら滅び去った町をさまよい、生存者を探す毎日。
 怪物は夜だけ活動し光と熱を嫌う。吸血鬼とゾンビをあわせたような存在である。
 昭和45年といえば1970年。
 作者小室がインスパイアされたであろうと思われる、ロメロの映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」が1968年。リチャード・マシスンの「地球最後の男・オメガマン」の最初の映画化が64年、二回目の映画化(チャールトン・ヘストン版)が1977年である。あるいはこれらの作品を読まずに描かれた物語かも知れない。
 作者が、このきわめて早い時期に、地球環境(レイチェル・カーソンの「沈黙の春」が日本で出版されたのがこの年のはず)の問題と併せてこのような作品を書き上げたことに驚かされる。
 当時、小学六年から中学1年になろうとしていた私は、この世界が滅んで自分以外の者が怪物になる、というイメージに非常に魅入られたものである。
 物語の中で、主人公達は生存者を集めて、すさまじい勢いで進化する怪物達と戦う。怪物(ワーストマン)達は人間に追いつこうとするかのごとく陸に海に空に形態を変えて広がっていくのだ。
 生存者たちが子供たちばかりだという点もうまい。このあたりの設定は後に小池一夫によって描かれる同テーマの「少年の町ZF」に確実に影響を与えたのではないだろうか。
 鋭二は生存者のグループに合流するためにやってきた子供たちを守るために第一巻で命を落とす。そしてその鋭二の意志を継ぐ者たちの三世代に渡る戦いを描いた大河SFでもある。作者は手塚治虫のアシスタント出身らしく絵柄は少し古いが、ストーリーは今読んでも素晴らしいものがある。
 未読の方は是非一度読んでいただきたい。
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