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2005年2月のブックガイド

このページはシーサーブログで2005年2月に掲載した書評・映画評覧で構成されています。
新規の書評は
ここ、シーサーブログの「新・読書記録゛(どくしょきろぐ)」
でお楽しみいただけます。


「地球間ハイウェイ」ハヤカワ文庫SF ロバート リード
「そのケータイはXX(エクスクロス)で」宝島社文庫 上甲 宣之
「あしたのロボット」瀬名 秀明 (著)
「コブラの眼」リチャード・プレストン 飛鳥新社
「フォーン・ブース」DVD

 

「地球間ハイウェイ」ハヤカワ文庫SF ロバート リード
久しぶりに、読み応えのある本格SFを読んだ。
「地球間ハイウェイ」だ。翻訳はベテラン伊藤典夫。これだけで俺的にはもうまちがいなし。
百万年以上前から、百万をこえる並行地球を“輝き”に沿ってつぎつぎに旅してまわる“巡りびと”たち―彼らはパラレル・ワールドのさまざまな地球を訪れて、文明の進展を助け、人類を導いている。だが、その究極の目的は、並行地球を結ぶ“輝き”を45億年前に築いた謎の種族“創建者”を見つけだすことだった。
特に、登場人物の一人カイルというのが心に残る。彼は、"巡りびと"のふりをして生きているのだ。そうすると、社会では敬意をもって扱われる。が、ひょんなことから事件に巻き込まれ、本当の“巡りびと”とともに併行宇宙を旅することになる。このキャラクターをもっとうまく料理したら、もっともっと面白くなるのになあ、というところ。
しかし、骨太SFはいいなあ。久しぶりにSFマインドが満腹したよ。
地球間ハイウェイハヤカワ文庫SF

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「そのケータイはXX(エクスクロス)で」宝島社文庫 上甲 宣之
出張の往復の電車で読んだ。
旅行で訪れた山奥の温泉地。折しも怪しい祭りの当日。女子大生しよりと愛子を次々に襲う恐怖の事件。今すぐ脱出しなければ片目、片腕、片脚を奪われ、“生き神”として座敷牢に一生監禁されてしまうという!?頼りの武器はケータイのみ!二人は生きて逃げ出すことが出来るのか。というノンストップアクション小説。ハリウッドのB級ホラーのような話である。
冒頭、宿の押入から出てきた以前の宿泊者のものと思われる携帯電話が鳴り出すところが秀逸。文章にあらが目立つし、ストーリー展開も強引ではあるが、そのページターナー(次ページを繰らせる力)ぶりは見事である。
週末の夜更けに、コーヒーやおつまみを用意して、一気に読むという作品でしょう。
今後の精進が楽しみです。
宝島社文庫「そのケータイはX...宝島社文庫
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「あしたのロボット」瀬名 秀明 (著)
ドキュメンタリー「ロボット21世紀」の取材から生まれた小説である。ロボットが少しずつ社会に浸透していく今からほんの少し先の未来を描いた連作短編集。そして、その連作をつなぐのが、人間がいなくなった未来、旅をする少年のロボットが出会う静かで短いエピソード群。
すばらしい作品である。ロボットを扱った古今のSFの中では、個人的には五指に入ると思う。
人はなぜロボットを作るのか、ロボットの心とは、そして、命とは、そんな問いかけを通して、人間自身の心に次第にスポットが当たっていく。ロボットを語ることは、人間自身を振り返ることに他ならない。
印象的な言葉が出てくる。
ロボットと向き合うことで人は他人とのコミュニケーションが取れなくなる、という批判的な意見に対して、ロボットは人と人をつなぐインターフェイスでもあると考えるシーンだ。このロボットという言葉をインターネットとかパソコンって言葉に置き換えると、今まさに現代のことになるわけだ。
それぞれの作品は、過去のSF作品(特に鉄腕アトムと手塚治虫)に対するリスペクトに満ちている。特に感心したのは「亜希への扉」。これはまさにハインラインの傑作「夏への扉」(※)になぞらえられている。そして、同様のさわやかで心暖まる作品だ。

目次
ハル―たましいと身体
夏のロボット―来るべき邂逅
見護るものたち―絶望と希望
亜希への扉―こころの光陰
アトムの子―夢みる装置

昭和30年代に生まれた俺は、やっぱり「アトムの子」なのである。
あしたのロボット
※「夏への扉」は山下達郎のアルバム「RIDE ON TIME」に同名の曲がある。まさにこれはハインラインの「夏への扉」を歌っているのだ。読んだ後に聞くと涙が出そうになる(小説は悲しい話ではない。むしろハートウォーミングなハッピーエンド譚。だからその気持ちが反芻されて涙が出そうになる)。名曲である。また彼には、「アトムの子」という歌もある。こちらはアルバム「ARTISAN 」に入っている。当然、アトムと手塚治虫に捧げた歌である。
ライド・オン・タイム
ARTISAN
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「コブラの眼」リチャード・プレストン 飛鳥新社
孤独なテロリストの武器は、遺伝子操作で作られた恐るべきウイルスだった…。衝撃のベストセラー「ホット・ゾーン」のプレストンが放つ初めての小説。
謎の病気で亡くなった少女の検視に、アメリカ疾病対策センターの職員アリスが派遣される。病原の追跡を行ううち、それが人為的なものである可能性が浮かび上がる。FBIと協力して犯人と病気の正体を暴いていくスリリングな物語である。同時に、現代の生物兵器を取り巻く現状が浮かび上がるようになっている。イラクでの生物兵器査察のシーンなど迫力満点。おっそろしくリアルな話である。もちろん小説としても抜群に面白い。
今回の俺は、かなり絶賛モード。当然、買いです。
※全作のドキュメント「ホット・ゾーン」を読んでから読むと、基礎知識があって倍は面白い。

コブラの眼〈上巻〉
ホット・ゾーン―恐怖!致死性...小学館文庫
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「フォーン・ブース」DVD
契約を取るためなら嘘もつきまくり、妻がいるのに新進女優パメラを狙うパブリシストのスチュ。そんな彼が公衆電話ボックス内で鳴った電話をとったことから謎の男に命を狙われることに。しかも男は電話を切ったらスチュを狙撃するし、自分の存在を誰かに明かしても狙撃するという。はたしてこの男の目的とは? そしてスチュの運命は!?
これはすごい映画である。何がすごいと言って、まずシナリオが抜群にうまい。主演のコリン・ファレルもうまい。一発でファンになった。
サスペンス映画として最高傑作であることは言うまでもないが、俺が感心したのは作品のテーマがすごく普遍的なこと。 以下、少しネタ晴れだが。
犯人のスチュに対する要求は、金でもなければ人の命でもない。自分の醜さ、尊大さ、卑しさ、を妻と恋人に大衆の面前で告白させることである。最初は自分の命のため、そして物語の後半は、周囲にいるすべての人間の命を守るため、スチュは「ちっぽけで矮小で劣等感に満ちた」自分の真実の姿を告白する。
クライマックス、犯人がスチュに自分の商売がインチキであることを告白しろと脅す。スチュは警官隊とマスコミの前で、それを告白する。「俺のために、よく告白したな」という犯人の嘲笑に対して、命令に従って告白したのではないと 言うシーンがある。スチュは死を前にして、妻に自分の本当の姿を告白し、さらにそれでも愛していますと告げたかったのだ。それは犯人の脅迫でもなく、命乞いのためでもなく。
この物語が感動的なのは、このスチュの告白が、どんな撃ち合いや格闘よりも、「勇敢で尊い」ということが、我々自身の心に響くからである。
人が成熟するということは、自分を客観的に直視し、その長所も短所も把握した上で、なおかつ自分を卑下することなく、ありのままに認めることである。だが、自分の心の弱さ、醜さ、この当たり前のことを素直に受け入れることのなんと大変なことなのか。
この物語の事件は、一人の人間が「すべての人間が持っている、知っているけど認めたくない自分の姿」を直視するという、苦痛に満ちた、しかし、勇気ある行為の暗喩なのである。
フォーン・ブースPhone Booth
きわめて限定された場所と人物で描かれる心理劇。これは、舞台劇としても素晴らしいものになるのではないかと思う。
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