我が家の花木(その3)
(Camera; FUJI FinePix 500)

☆ボタン(品種:花大臣)

botan04 観賞用に栽培されるボタン科の落葉低木。
 中国西北部に自生する。茎は分枝し、古くなると高さ3m、太さ15cmくらいになる。
 葉は互生し2回3出複葉、葉柄の基部は広がって茎を抱く。小葉は卵形、上部で3または5浅裂、または分裂せず、基部は丸いかくさび状、鋸歯はない。
 晩春より初夏に、新しく伸びた枝の先に花をつける。花は大きく、直径10〜20cm。萼片は5枚、厚くて緑色、反曲し、花後も落ちずに残る。
 花弁は野生品では5〜10枚、白色ないし淡紅色であるが、栽培品ではふつう、より多数で、色の変化も多い。
 倒卵形で先は丸くて鋸歯がある。おしべは多数、花糸は糸状、葯は細長くて黄色。めしべは3〜5本、褐色の毛を密生し、花柱は短く、外曲する。
 おしべとめしべの間にある花盤は膜質、伸び出して袋状になり、柱頭部を残してめしべを包む。
 授粉は花粉を食いにくる甲虫による。果実は袋果、褐色の毛を密生し、裂開する。果皮は厚く内面は赤い。
 種子は黒色、球形、直径5〜6mm、胚乳がある。
 古くより中国で栽培され、前漢時代すでに根皮を薬材にしていた。観賞用としては南北朝時代に始まるとされるが、唐代になって大流行し、 おびただしい品種群が作出された。
 日本への渡来は平安朝である。観賞用のみならず薬用としても重要で、根の主として皮を、鎮静、鎮痛、血行障害のあるものなどに用いる。
 ボタンという名は、本種だけではなくボタン属Paeonia の木本性の種の総称として用いられる。他の種では花盤はボタンのように伸び広がらず、 肉質の隆起となって雌蕊(しずい)群をとり囲み、また、花は今年伸びた枝に2〜3個つく場合もある。
 P. lutea Delavay ex Franch. は花が黄色、P.delavayi Franch. は花が赤色ないし紫色である。
 P. potanini Kom. は P. delavayi に似るが、葉の裂片が細い。園芸品種にはこれらとの雑種に起源するとみられるものもある。
 群としては、中国西北部よりヒマラヤ地方東部にかけて分布する。草本性のシャクヤク類も観賞用や薬用に広く利用されるが、木本性のボタン類よりも広く分布している。

(平凡社「世界大百科事典」より)


☆ボタン(品種:秋冬紅)

botan02 ボタンは普通,シャクヤクの根を台木にして、それに9月上旬ころに切接ぎをして繁殖する。
 この台木は数年たつと肥大しすぎて、根の機能を失うので、根ぎわに土を盛って、早く穂木のボタンから自分の根を出させるとよい。
 苗は10〜11月に、排水のよい肥沃な所に盛土をして植え付ける。
 肥料は秋と春に根ぎわにたっぷりやる。品種は花弁の数に従って、一重(イラスト)、八重(イラスト)、千重(せんえ)、万重(まんえ)などに区別され、 花色も変化に富む。開花期も普通の春咲きのほかに、冬と春早くに咲く二季咲きの寒ボタンや、春咲きより開花期の遅い遅咲きの種間雑種群がある。
 ボタンにはひじょうに多くの品種があるが、開花期別に代表的品種をあげると、春咲品種に玉芙蓉(たまふよう)(桃色八重)、日照(につしよう)(赤千重)、 五大洲(ごだいしゆう)(白八重)、寒咲品種に栗皮紅(くりかわべに)(紅褐色八重)、秋冬紅(しゆうとうこう)(淡紅色八重)。遅咲品種に金帝(きんてい) (レエスペランスともいう、黄一重)、金晃(きんこう)(アリス・ハーディングともいう、黄万重)などがある。

(平凡社「世界大百科事典」より)



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