我が家の花木(その2)
(Camera; FUJI FinePix 500)

☆ツバキ(品種:肥後ツバキ)

higo-tsubaki 日本の花木を代表するツバキは、ツバキ科の中でも観賞植物として最も広く利用され、親しまれている。
 常緑高木で、冬から春にかけて開花する。中国名は山茶,海石榴。

 木は高さ18m、太さ(直径)50cmに達するものもあって、長命である。
 枝は無毛。葉は楕円形または長楕円形、長さ6〜12cm、幅3〜7cmで、縁に上向きの細かい鋸歯があり、表面は緑色で光沢がある。
 花は枝先の芽の苞葉腋(ほうようえき)に普通1個つき、柄がない。野生の花は杯状で、径3cmのものから8cmのものまであるが、普通は約5cm。
 花弁は5〜6枚で、基部で合生している。花色は紅、ときに濃紅紫色、淡紅色、白色のものもある。
 多数のおしべは下部で合生して筒状をなし、またその筒状部は、基部で花弁とも合生している。
 筒の下部に多量のみつがたまり、メジロなどの小鳥がよくみつを吸いにきて、送粉を行う。
 果実は球形で、果皮は厚く、成熟すると普通3弁に裂けて、中に大きな種子がある。
 東アジアに固有で、日本、朝鮮、中国に分布する。日本では本州(北限は青森県夏泊半島椿山)、四国、九州の海岸付近の丘陵地によく生育するが、山中にも生える。
 材は年輪がつまり、堅くて強く、磨けば光沢がでることから建築や器具に用いられる。
 ツバキ油として知られる油は種子からとり、頭髪用、灯用、食用となり、機械油としても第一級のものである。
 ツバキは周年美しい光沢のある葉を観賞する庭園樹としても用いるほか、全国各地で防風、防潮、目隠し用の生垣などに使われている。

(平凡社「世界大百科事典」より)


☆ツバキ(品種:乙女ツバキ)

otome-tsubaki  日本の野生のツバキには、ヤブツバキ C.japonica var. japonica L.、リンゴツバキ(ヤクシマツバキ)var. macrocarpa Masamune、ユキツバキ C. rusticana Honda がある。
 ヤブツバキはヤマツバキとも呼ばれ、ツバキの野生種をさす。リンゴツバキは果皮が厚くて大きい果実をつけ,直径5〜7cmにもなる。
 鹿児島県屋久島から報告されたが、果皮の厚いものは、北では山口県でも知られている。
 ユキツバキは、日本海側の秋田県から滋賀県北部までの山地に野生し、冬期枝葉がすっかり雪の下に埋もれる多雪地に限られている。幹は丈が低く、下からよく分枝し、葉の網脈が透明、葉柄に毛があり、花が開出し、おしべが短く、黄色であることからヤブツバキと区別される。
 ユキツバキとヤブツバキとの中間型も多く、またユキツバキ由来の園芸品種もある。
 このほか沖縄には、花の外形がツバキに似るが、著しく小型の白い花を咲かせるヒメサザンカC. lutchuensis T. Ito が分布していて、花に芳香がある。

 ツバキ属 Camellia は、中国原産のものが多く、いくつかの種が日本へ導入されている。その中でもトウツバキ C. reticulata Lindl. とサルウィンツバキ C. saluenensis Stapf ex Bean は日本のツバキによく似ているが、めしべの子房に毛のあることで区別される。
 トウツバキには多くの園芸品種がある。グランサムツバキ C. granthamianaSealy は,香港に固有の種で,外見上チャの花を大きくしたような感じの白色の花で、径12〜14cmもあり、おしべの数が500本以上と多く、めしべの花柱の先が5裂している。
 トガリバサザンカ C.cuspidata Wright ex Gard.、シラハトツバキ C.fraterna Hance などは、葉、花とも小さく、白花の種で、沖縄に野生しているヒメサザンカに近縁のものである。
 また原産地がわかっていないテマリツバキ C. maliflora Lindl. やカメリア・ロサエフロラ C. rosaeflora Hook. のような桃色で小さな花をもつ種も栽培されている。

(平凡社「世界大百科事典」より)



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