金山町は美濃と飛騨の国境。

江戸時代は幕府の天領の尾張藩、郡上藩、苗木藩との国境。
更には昭和になって四郡、五十町村が合併という全国的にも大変珍しい合併で生まれた町である。
だからそれなりに昔の伝説も多く、あちら、こちらの山、川、森に

不思議な物語が言い伝えられている。

その一

日本の昔話にも取り上げられ岐阜県の代表的な民話として知られている
悪源太義平の狒々退治は子供でなくとも聞きたくなる伝説。
ところは郡上藩祖師野村(今の金山町祖師野)の話。

 今から八百年前の保元の年、上皇と天皇との争いが武家同士の戦いとなり、平治の乱では平家と源氏の争いになり京都六波羅で敗れた源氏の大将源儀朝は、雪の降りしきる滋賀の山越えで幼い頼朝を見失い、親子別れ別れになって散った。
長男悪源太義平は、わずかな家来と供に揖斐の山道から武儀、郡上と逃げ今の郡上郡大和町の険を山越えして金山町麻生谷に入った、
ここで屋敷をかまえ兵を募った。

 或る日、祖師野村に立ち寄った時、毎年祭礼の日に人身御供に娘を求める化け物の話を聞き、自ら身代わりとなって祖師野の宮の森で娘の打ちかけをかぶり、つづらに入って夜の更けるのを待った。
やがて、生暖かい風と供に現れた大狒々がつづらに手をかけたその時、つづらの中に愛刀を握り締めて今か今かと待ち構えていた義平は、つづらの蓋をあけるやいなや愛刀の鞘を払った。
大狒々は、ものすごい悲鳴を上げて血を流しながら一目散に山道を北へ走った。
逃げる狒々を追って、岩陰という洞窟に追い詰め見事討ちとった。
義平がこの狒々退治に使った愛刀は記念として祖師野の宮に奉納され、祖師野丸として八百年のち今でも宮の宝物として大切に保管されている。
又、祖師野の宮は、有名な民謡『郡上節』の中に出てくるお宮さんで、拝殿の中にある四本柱を中にして毎年夏、盆踊りが始まる。

"踊らまいかよ、祖師の宮で
    四本柱を中にして…"
夏の夜空に響きわたる
  笛と太鼓の音に合わせ
夜の更けるのを忘れて踊りの輪が
広がってゆく。
(県・町指定工芸品)
祖師野丸  (別名 藤巻の太刀)
伝   伯耆安綱作 ほうきやすつな
        (80センチメートル)

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