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今と昔
印刷今昔 No1 活字納期

 印刷今昔なんて題名がついていると、なんかノスタルジックな感じがしますがそういう古き良き時代を懐かしむ・・・なんていうつもりはありません。が、ひょっとしてそうなりそうな予感はします。(苦笑)
 入社当時の納期は現在と比べると、とっても長く名刺やハガキなど枚葉の小物で約1週間、伝票など2週間程度、ちょっと細かなものだと1ヶ月の時間を頂けました。今から考えるととってもユッタリと仕事が出来て楽だったんだねという声が聞こえてきそうです。
 活字での組版はひとつひとつの作業はほとんど手作業で、どちらかといえば時間的にも体力的にもキツイ事の方が多かったように思います。
 皆さんが書類をコピーするときには基となる書類が必要ですね、それと同じように印刷物を作成する時には、必ず印刷の基となる版が必要になります。
それを作るときに必要なものが、昔は「活字」という亜鉛合金で出来た文字を並べていたわけです。残念ながら、手元に現物は残っておりません。こういう場所でご紹介するためにも少しは残しておけば良かったと少し後悔しております。
  サイズも本文用の小さなものからタイトルで使う大きなものまで、そして書体も明朝体、ゴシック体、丸ゴシック体と同じ文字を数種類用意してありました。今でこそ、コンピュータのフォントがCD1枚に収まっていますが、その頃は大量 の活字を持っていなくては印刷屋の仕事は出来ませんでした。
  全ての活字の重量を量ってみた事はありませんが、ゆうに1〜2
トンはあったんじゃないかと思います。
また、亜鉛で出来ていましたから、床に落とすと潰れてしまい使いものにならなくなります。あと1本の文字があれば版が完成するのに、その文字が潰れていたなんて事になると一つの文字の為に作業がストップしてしまいます。  そんな事で、ちっとも余裕がある納期とは言えないませんでした。
 はじめて、自分の名刺の版を組んだときは半日くらい掛かったような記憶があります。 そういう作業の繰り返しですから、ほんと根気がないと続かない仕事だったんですね。

 今じゃ、
コンピュータの画面でササッと出き、昔の苦労は何だったのという感じですが、イエイエけっして甘いもんじゃありません。
 電話の向こうからはお客さんの妙に明るい声がきこえてきます。

    「名刺、1枚も無くなっちゃった! 明日の昼までに頼むわ。」

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