「バイオマス」

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バイオマスの概念と特徴
太陽エネルギーを生物が固定する機能を利用して燃料を得ようとする目的に対してバイオマスが位置づけられた。
最近では、エネルギー利用に加えて食料・飼料、工業材料としての利用さらに、環境の維持改善にも役立つ総合目的を果たす総合利用という意味でバイオマスという概念が位置づけられている。
バイオマス資源の特徴

  1. 太陽エネルギーの良好な変換・貯蔵システム
  2. 適性な利用が図られる限り、再生可能で永続的な資源
  3. 石油・石炭などに比べ、環境面への影響が少ないクリーンな資源
  4. エネルギー、食料、飼料、有機物質など多目的に利用
  5. 石油のように偏在せず地域ごとに自給できる資源であり、高度な技術を使わず地域に応じた利用が可能

問題点

  1. かさ高、不定形で広く薄く分布しているため、資源を大量に回収・搬送するには多大のエネルギーを必要とする。
  2. エネルギーの発生量が必ずしも大きくない。
  3. 種類が多く、変換・利用技術もそれぞれに適合させなければならない。
  4. 生産場面では気候などの影響を強く受け生産量が変動する。

この生産型資源としての特質は、生態系において物質循環が正常に維持されるとき発揮されるものである。再生産力を超えて消費が行われたり、生産と消費の環が断ち切られたりした時は、生産点における資源の枯渇と消費点における廃棄物による環境汚染が引き起こされるため、生態系の保全と生物資源の生産及び利用との調和を図りながら資源のリサイクル利用を進める必要がある。
研究開発のポイント
バイオマスは、多水分系から低水分系まできわめて広範囲に及び、かつ、構成成分がセルロース、多糖類、タンパク、リグニン、油脂などの多成分からなる複雑な高次構造をしているため、分解、変換を容易にするため、生物的、物理的、化学的前処理を行い反応を促進する技術開発が必要であるが、現状では高温・高圧、多エネルギー消費型の化学処理、物理処理が用いられ、技術的にもエネルギー的にも困難さが伴っている。したがってバイオマス変換利用にあたっては、常温・常圧、エネルギー的反応である生物機能の活用により効率的に分解・変換することが得策である。

「海洋生物と炭素循環」

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炭素のリザーバー
地球上の炭素のリザーバーの量を示す。(GtC:炭素換算で10億トン)

ここで、海洋では、炭酸イオン、重炭酸イオン、分子状二酸化炭素として存在する。
この結果、炭素の貯蔵量として海洋に占める割合が非常に多い。
産業革命以後の炭素量の増減を示す。

炭素のフラックス
二酸化炭素はある海域では吸収されているが、別の海域では放出されている。年間の地球規模の海洋と大気の間の二酸化炭素の放出と吸収は、産業革命以前では74GtC/年でほぼ平衡していたと考えられる。
近年では、大気中の二酸化炭素増加に伴って90GtC/年に増加した。人間が化石燃料によって放出している量5.5GtC/年はその約5%でしかない。海洋にいったん吸収された二酸化炭素は、そのほとんどがまた放出され海洋に溜まるのは約2GtC/年でしかないと考えられている。その差は約2%で、人間活動によって増加したと考えられる海洋の吸収量を、見積もることが難しい一つの原因となっている。

「木質新素材ハンドブック」

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木質系資源の蒸煮・爆砕処理
近年、蒸煮・爆砕処理は木質系資源に含まれる成分(セルロース、ヘミセルロース、リグニン)を効率的に分別するとともに、セルロースのリグニンによる包埋構造を破壊してセルロースの酵素による糖化性を増大するための前処理として注目されてきた。爆砕処理は180ー230℃の水蒸気で木材チップを適当な時間処理して、ヘミセルロース、リグニンを化学的に分解し、その後チップを水蒸気とともに反応釜から急速に放出・爆砕して軟化した細胞壁を物理的に破壊する処理のことである。
木材チップを高温・高圧の水蒸気で処理すると、ヘミセルロース中のアセチル基が遊離してpHが3以下に低下する。その結果、

  1. ヘミセルロースは部分加水分解を受けてて低分子化して水に可溶になる。
  2. リグニンは、アリルエーテル結合の開裂によって低分子化し、かなりの部分が有機溶媒や希アルカリに可溶となる。
  3. リグニンの変質によりセルロースが露出して酵素の反応性が増大する。

この処理によって低分子化したヘミセルロース、リグニンをそれぞれ分別しその有効利用を図るとともに、セルロースは酵素での加水分解及び醗酵によって微生物タンパクやアルコールに変換する木材成分の総合利用プロセスが可能となる。また、蒸煮・爆砕処理して得られる繊維中のセルロースが、牛や山羊がそれを摂取した場合、消化できることを意味しこの繊維を粗飼料として活用することができる。
セルロースの酵素糖化における問題点
セルロースは結晶性で水不溶であるため、その酵素糖化には大量の酵素が必要である。でん粉から1kgのグルコースを製造せるために必要なアミラーゼは2g程度(2日間糖化)であるという。セルロースの場合、基質濃度を10%にすると少なくともセルラーゼ50gが必要となる。従って、現在のセルラーゼ活性を数十倍上げることが必要である。そのため、優良セルラーゼ生産菌の探索とその育種法の開発によって高活性で廉価なセルラーゼの大量生産法を確立することが重要である。
蒸煮・爆砕処理材の反芻動物用粗飼料としての利用とその経済性
我が国では、草地が狭小なことから反芻動物用粗飼料が慢性的に不足し、そのため必要以上の濃厚飼料が給与されている。
蒸煮・爆砕処理によって広葉樹林を粗飼料として活用できれば有益となる。これまでの試験結果では、蒸煮シラカバ材を全飼料に対して30ー70%給与しても標準的発育に比較してそん色なく、嗜好性についても問題はないと考えられている。
屠殺試験においても肉質、臓器に異常がなく、疾病の発生も認められていない。
生産コストを岩手バイオマスセンターが試算している。
絶乾チップ価格を20円/kgとした場合、製品1kg(絶乾)の製造コストは45ー47円/kgとなっている。現在の牧乾草の値段は地域によってかなり差があり30ー80円/kgとなっていて木質系粗飼料が経済的に成り立つ地域もありうると考えられる。

「木質新素材ハンドブック」

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機能性セルロース
セルロース液晶

セルロース及びセルロース誘導体の物理化学的にみた特徴は、

  1. 会合やゲル化を起こしやすいこと
  2. 分子鎖は屈曲性に乏しく液晶を形成する。

ということである。
液晶という中間状態を生成するためには、ある種の物質を加熱・冷却するか(サーモトロピック液晶)、ある種の物質に溶媒を加えて液溶化するか(リオトロピック液晶)の2通りの方法が用いられる。リオトロピック液晶は、自然界特に生態組織に豊富に存在している。セルロース誘導体は、それぞれの特性によりいずれの方法によっても液晶化される。
セルロース誘導体は、ほとんどがコレステリック相(スメクティック相と同様な層状構造を持つが分子長軸は層内で平行配列をなしている)に属しているため、カイラルネマティック液晶と呼んでいる。1976年、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の濃厚水溶液がある特定の濃度範囲で独特の色を示すリオトロピック液晶を発現することが見出された。それ以来多くの誘導体が、さまざまな溶媒のもとでリオトロピック液晶を形成し、さらに溶媒を要しないサーモトロピック液晶を示すことが報告された。
セルロースのような天然高分子は、一般にその分子間力が非常に強いため、天然の状態では加熱すると融解する前に分解してしまう。しかし、水酸基を疎水性などで封鎖すると溶解性が上がり、さらにセルロース分子鎖の剛直性のため、サーモトロピック液晶を形成する。
応用に向けて
セルロース系液晶の興味のある応用課題は、第一に液晶紡糸である。究極的には、スーパー繊維(強度20g/d(2.5GPa)以上、弾性率500g/d(55GPa)以上)を満たす力学的特性の優れた繊維を目指すものであるが、現実には時間がかかりそうである。
その理由は、セルロース系液晶が一般に示す高粘性・加工性の欠如等にある。言い換えると、セルロース中の強い分子間力、特に水素結合を切る溶媒の工夫とその回収工程の開発がキーポイントになる。
第2に注目されるのは、コレステリック固体膜の合成とその応用である。
これに関しては、基礎研究が続けられているところである。
サーモトロピック液晶とは、
サーモトロピック液晶を示す化合物の分子構造の共通則

  1. 細長い棒状または板状の構造で固い基を有しており分子長は少なくとも13ー14オングストローム以上である。
  2. 永久双極子を有した基を有する。
  3. 分極率に高い異方性を有している。

サーモトロピック液晶は多形を示し、それは大きく

  1. ネマティック相
  2. コレステリック相
  3. スメクティック相

に分類される。
ネマチィック相は、構造分子の重心の分布としては規則性はないが、各分子の方向はある程度そろっている配列状態である。そのため光学的には一軸性を示し、その光軸は平均分子長軸方向にある。この相は、鏡面対称であり光学的に不活性である。
コレステリック相は、ネマチィック相に螺旋配列構造が加わったものであり光学活性を示す。コレステリック相は、上記2相の液晶相より高い分子配列規則性を有した状態であり一次元の並進構造や2次元格子を形成している場合もある。この相は、配列性の違いによってさらにAからKまでの11種の副相に分類される。スメクチィック相は分子配列の規則性が高いだけに結晶に近い性質を示し、外形は一般にペースト状を示している。
リオトロピック液晶とは、
サーモトロピック液晶が分子の熱運動により結晶の格子が破壊され規則的配列性が低下した状態であるのに対し、リオトロピック液晶は、溶媒の効果により同様な状態が形成されるものである。このリオトロピック液晶の身近な例は、両性化合物である石鹸である。

「ニュー繊維の世界」

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人工酵素から新しい二次燃料電池
動植物細胞に多くある色素タンパク質のチトクロームは、この補助物質(鉄ポルフィリン)が結びついて細胞内で電子の伝達する働きをする。このため以前から、チトクロームタンパク電子伝達の働きを人工的に取り出せないか試みられた。天然のチトクロームでフィルムをつくるとゲルマニウムやシリコンと同じくらいの電気伝導が取り出せるため関心がもたれていた。
信州大学繊維学部の白井教授は都城工専の平原教授と共同で人工酵素を電極に使って水を分解し、発生した酸素を燃料とする二次電池を開発した。
白井教授らは、チトクロームが無機物の鉄を補助物質に持っていることに着目し、これをコバルトに変えた人工酵素をつくり、酸素側の電極にした。コバルトにかえることにより、酸素をたくわえる働きが強まりさらに酸素を還元する機能が加わり二次燃料電池になることがわかった。人工酵素を電極に用いた水を燃料とする二次電池である。つまり、充電や放電が自由にできる人工酵素の燃料電池が生まれた。クリーンエネルギーの水素を水からつくろうという研究の中で人工酵素を使ったユニークな開発といえる。
この技術が完成すれば自動車に使っている鉛バッテリーに代わり省エネ省資源に一役買うものとなろう。

「エコマテリアル辞典」

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壁紙及びその他のインテリアルエレメントのリサイクル
素材の応じて壁紙のリサイクル化は再生紙利用程度にとどまっているが技術的には少しずつ実現している。しかし、素材構成の多様化によるリサイクル化の障害が現在では無視できない課題となっている。壁紙のリサイクルの中で増加しているのがエコマーク商品である。ベースをリサイクル可能な紙とし、比較的環境への負荷が少ないとされるアクリル樹脂やオレフィン樹脂を水拭きやしみ汚れを防ぐはっ水加工に利用しているのが特徴である。日本では、エコマークはリサイクル推進の段階にとどまっている。
ドイツ、スウェーデンでは、壁紙製品の安全性の確保のための化学物質放出量や含有重金属類に関する規制値をクリアーすることが条件になっている。また、使用される再生パルプの安全性(pcbを含まない等)に加えバージンパルプの原材料も植林等によって管理された「営林地」で伐採された木材によるパルプであることが義務づけられている。

「有機性廃棄物資源化大辞典」

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有機性廃棄物資源化の基本方向
有機性廃棄物の資源化の方向としては、堆肥化、飼料化、培養土化、燃料化、灰化など多様な選択肢が考えられる。実際には、それぞれが何らかの問題を抱えていて資源化はなかなか難しいが、その難しさに輪をかけているのが行政ならびに関連業界の縦割り体質である。たとえば、下水汚染は建設省、屎尿汚染は厚生省、農業集落・漁業集落排水汚泥は農水省と所轄がわかれ、資源化の方向や技術、リサイクルシステム利用先にはそれぞれカベが存在している。
基本的な方向は、行政や業界のカベを越える総合的、融合的なリサイクル技術とシステムの構築であり、このような資源化システムの確立をはかることが循環型社会実現への基幹的な課題である。
有機性廃棄物の堆肥化の意義
我が国の農業はすでに工業化社会の中に組み込まれて変質しており、農家自身の手で堆肥を確保し、持続的な農業を発展させることはきわめて困難な状況となっている。都市生活者、産業従事者の健康は食物の健康と深く関わっており、都市と産業から排出される有機性の残さ(廃棄物)を堆肥化し、健康で持続的な農業生産に寄与することは、他人(農家)のためではなく、自分自身(都市生活者、産業従事者)のために大切なことである。また、従来の焼却、埋め立て処分がもたらす環境負荷を軽減し、有害物質の発生をおさえ易分解性有機成分の熟成・安定化によって人為的に排出された有機性廃棄物中の炭素、窒素、リンなどの土、水、大気圏への放出速度を、自然界の循環システムからオーバーフローしない速度にスローダウンさせるなど、環境保全に積極的に寄与する大きな働きをする。
有機性廃棄物の堆肥化推進のための課題
有機性廃棄物といっても堆肥素材としての性質は多様であり、しかも重金属や有害化合物、有害生物などによって、素材段階ですでに汚染されているものも少なくない。完全に汚染から守ることは不可能であるが汚染されたものとそうでないものを分別して利用することは可能である。汚染を防ぐ技術とシステム、汚染の有無を識別する技術とシステム汚染されていないものを効率よく資源化する技術とシステム、汚染された有機物から汚染物質を除去するクリーニング技術とシステム、これらの開発確立が有機物を堆肥化素材として活用するための第一関門となる。また、有機性廃棄物は、本来が堆肥化を目的としてつくられた素材ではないため、堆肥材料としては不足する面を持っている。
EX.汚泥類−−−カリが不足、リグニンも不足(腐植形成)
堆肥化システムにおける主要な技術的ポイントは、悪臭防止、70℃を目標とする温度確保、熟度指標の確立に要約される。

堆肥の需要期は春・秋に限定されるが、有機性廃棄物は周年排出されるものが多くそのギャップをどうするかが問題になっている。

「CHONSの化学」

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硫黄
動物のタンパク質には特に硫黄の含有量が多く、腐敗するといろいろな硫黄化合物が出てきて悪臭の元になる。糞便のにおい、肉の腐敗臭など耐え難い悪臭は、スカトールやインドールなどの悪臭窒素化合物にメルカプンや硫化水素など臭い硫黄化合物が混じっているからである。また、温泉や火山から硫黄の化合物の硫化水素放出されるからか、日本の空気の中には硫化水素分が多いようである。そのため、銀の細工物などは部屋の中に飾っておいただけで、表面に硫化銀の膜ができて真っ黒になる。
石炭の硫黄と石油の硫黄
日本には、硫黄鉱山や硫化金属の鉱床がたくさんあり、その中を水が流れると分解して硫酸塩が生成し、その硫酸あるいは硫酸鉄などが地下水に含まれて流れ出してくる。それが石炭の層の中に侵入すると、石炭成分のフミン質が強い還元性を持っているので硫酸は還元されて硫黄となり、硫酸鉄の場合は、硫化鉄になって石炭の中に沈着する。九州の三池炭坑の石炭には硫黄分が4%も含まれている。
石油の方は、原油の中に3ー5%含まれている。その硫黄は、多分海水中の成分が侵入したものと思われる。水に溶けた硫酸あるいは硫酸イオンが石油に接触すると容易にその中に吸収されて還元され炭化水素の分子と結合してしまう。硫黄は、石油の中に大変入りやすく単体の硫黄も石油とともに熱すれば、すべてその中の炭化水素と結びついて石油の中に入ってしまう。硫黄は炭化水素に結びつきやすいだけでなく、コークスのような無定型炭素に近い状態のカーボンにも固く結びつくのである。
中東石油がなぜ日本で処理されるようになったか
中東の石油には硫黄分が多い。そのような石油を燃やすと二酸化硫黄が発生して公害問題を引き起こす。日本は、細長い列島が南北に連なって、かつ、世界で一番強い貿易風が吹く国である。そのため、汚染された空気は比較的速やかに列島から吹き払われる。また、日本が海上輸送に便利な条件を持っているということである。ところが、二酸化硫黄が立ち昇るのが工業地帯とか都市とかに限られるためぜんそくなどの公害病が発生してきて脱硫しなければならなくなった。
硫黄バクテリア
イギリスでは、石膏を原料としてそれに硫黄バクテリアを植え付けて還元して硫化水素を発生させそれを酸化して硫黄をとるという研究をしていた。
アメリカのエッソスタンダードの特許に硫黄バクテリアで重油の脱硫をすると言う方法がすでに存在していた。しかし、実際にはそのようなことは行われていなかった。

「エコマテリアル事典」

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タイヤと環境
タイヤはそのほとんどが天然ゴム及び、合成ゴムやカーボンブラック等の石油から転化された製品で構成され、同時に繊維あるいは金属コードで強化されている。一般に一本の乗用車用タイヤはエネルギー的には、27リットルの石油と同等の価値を有する。
27リットル=21リットル(原材料分)+6リットル(製造過程分)
トラックタイヤは約100リットルに膨れ上がる。
しかしながらこの蓄積されたエネルギーは再利用が可能である。1トンのタイヤの発熱量は30GJ(0.7トンの石油)に相当し、良質の石炭に匹敵する。
再生不可能な使用済タイヤ
タイヤは微生物による物質分解が不可能である。研究所のテストや日常の経験からバクテリアは何らタイヤに影響を与えないことが証明されている。タイヤや消耗する製品である。タイヤは稼動するにつれて摩耗と諸成分の退化を引き起こす。厳密に言えばタイヤよりリサイクルできない。タイヤは複合物であり、加硫反応の不可逆性のゆえに元の原材料に回復させることは不可能である。
ミシュランは、使用済みのリトレッド(再生)不可能なタイヤを量的に制限する様な製品を開発してきている。これらのタイヤは、耐摩耗性が著しく高くかつ、リトレッドが可能なものである。同時に使用済みリトレッド不可能タイヤを無くすためにこれらのタイヤの特別な再利用、成分別のリサイクル、あるいは蓄積されたエネルギーの再利用といったことも推し進めている。ラジアルタイヤ技術の発明によってミシュランは、従来のタイヤの2ー3倍の長寿命を実現することができた。(一般乗用車タイヤで平均50000kmをカバーできる。)リトレッドタイヤについては、摩耗しきったトレッド面を単に取り替えるだけでケーシングと呼ばれるタイヤ台を長期間使用することが可能である。摩耗したトレッド面に溝を彫り付けたり、トレッド面を取り換えたりすることでタイヤ台の寿命が600000kmに達している。廃タイヤの再利用について防音壁や浮きダムといった分野にサポートしている。
リトレッド不可能な使用済みタイヤの再利用では、タイヤの成分をリサイクルする事も一つの方法である。加硫ゴムを取り出すためにタイヤを破砕して材料を分類する方法は、最も一般的に採用されている。これによって取り出された「ゴム粉」と呼ばれるものは、スポーツを行うための競技場の表面や学校の校庭、あるいは道路の舗装面に使用されている。

「環境科学の基礎」

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大気汚染
産業活動における大気汚染
一般には産業活動に関連の深い汚染物質はエアロゾル粒子と硫黄酸化物である。
エアロゾル粒子
大気には気体成分以外に液体または固体の微粒子が含まれておりこのような物質をエアロゾル粒子と呼ぶ。エアロゾル粒子には自然起源及び人間の活動に伴って放出される人為起源の2種類がある。エアロゾル粒子には発生源から微粒子の形で放出された一次粒子と空気中での化学反応によって生成した二次粒子があり、その生成にはさまざまな自然現象が関与している。エアロゾル粒子の主要な発生源には自然起源のものでは土壌、海洋、火山、人為起源では鉱工業と化学燃料の燃焼がある。
エアロゾル粒子の発生源
自然起源

人為起源
薪炭や化石燃料の不完全燃焼の結果でてくるススとセメントや冶金工業などの鉱工業から排出されるフライアッシュ、アスベストなどが一次粒子の代表的なもの。二次粒子には、化石燃料などの燃焼に伴って生成した硫黄酸化物や窒素酸化物に起源のある硫酸塩のエアロゾルがある。
硫黄酸化物
SOxの排出源は

  1. 利用価値の高い金属が含まれている硫黄鉱物の精練の際に行われる焙焼
  2. 不純物である黄鉄鉱が未処理の石炭や硫黄分を完全に除去していないガソリンや軽油の燃焼によるものである。

最近の推計によれば硫黄化合物の自然起源の放出量は35X10^6トン(S)/年、人為起源の放出量は70X10^6(S)/年とされている。二酸化硫黄の対流圏での寿命は数日以下と推定されており酸性降下物となって岩石圏または海洋に戻るのでSOxによる大気汚染は地球レベルの問題にはならないが大気が数日間で移動するような範囲の地域では深刻な問題を引き起こすことになる。
窒素酸化物
一酸化窒素の生成率は高温になると増加する。燃焼温度は装置や方法によって異なるためどの程度のNOが生成するとは言えないがエンジンのシリンダーでの温度は2000K以上であるため車の排気ガスの中にはかなりの量のNOが含まれることになる。
一方NO2は2000Kをこす高温ではほとんど生成せず、排気ガスの温度が下がってNOが大気に接触するとNO2に酸化される。
人体への影響
エアロゾル粒子
直径が10μm以上の微粒子に対して人体には防御機構が存在していて、鼻やのどの粘膜に捕捉され消化器に移動したり、痰などとともに体外に排出されたりする。一方直径が0.3μm以下の粒子は直接肺に吸収されて毛細血管などをふさいで肺の中に沈着することになる。沈着率はエアロゾル粒子の粒径の減少とともに増加してさまざまな疾病の原因になる。

一酸化炭素
1000ppmを含む空気中で数時間過ごすと死に至る。
50ppmでも1ー2時間で何らかの影響が現れる。
COはヘモグロビン中の鉄イオンと強い結合力をもつため、細胞への酸素供給不足による細胞の機能障害が起こる。
窒素及び硫黄酸化物
高濃度の物質に短時間さらされた時粘膜への刺激や呼吸難といった急性の影響と、低濃度で長時間さらされたとき起こる呼吸機能の低下、気管支炎及び肺ガンなどの慢性障害がある。
植物への影響
植物の気孔を通して葉の内部に取り込まれ、植物のクロロフィル合成を阻害して光合成量を低下させ葉の白化や落葉といった現象を引き起こす。高濃度の汚染ガスは大量の樹木を枯死させ、生態系に大きく影響する。

「木材・無機化合物複合体の製造方法」PatentD.B.

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【要約】
【目的】 難燃性で耐腐朽性に優れ、虫による害にも強く、かつ水による膨潤・収縮などの寸法変化が少ない木材・無機化合物複合体を提供す る。
【構成】 セルロース系材料に、水には不溶または低い溶解度を示すが、セルロース系物質を膨潤させるアルコールまたは有機溶剤には溶 解する無機化合物を、アルコールまたは有機溶剤の単独あるいはそれらを2種以上組み合わせた溶媒に溶解させて無機化合物溶液を得、該 無機化合物溶液をセルロース系材料の空隙部分及び同材料の構成構造体の繊維、フィブリルまたはミクロフィブリル中に膨潤・含浸させた 後、この無機化合物溶液を除去する木材・無機化合物複合体の製造方法。

「生分解性発泡体の製造法」Patent D.B.

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【要約】
【目的】 本発明は、低密度、高弾性率、高圧縮強度を備え、低価格、しかも、工業生産性に優れた生分解性発泡体を、多糖類及び又は多糖 類誘導体を含む素材を押出成型により加熱発泡させることにより製造し、発泡ポリスチレン等環境保全に悪影響のある包装材料の代替製品 を提供することを目的とする。
【構成】 本発明は多糖類及び又は多糖類誘導体を主成分とする素材100部を、水5〜45部、及び加熱ガス発生型の水不溶性気泡調整剤0. 01〜20部の存在下に、押出し成型により加熱発泡させることを特徴とする低密度、高弾性率、圧縮強度に優れた生分解性発泡体の製造 方法。

「不織布」Patent D.B.

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【要約】
【目的】 風合いに優れ、抗菌性能や抗カビ性能,脱臭性能をも具備し、使用後廃棄した際、土壌中の微生物により分解される不織布を得る。 【構成】 粒子径10μm以下の微小粒状再生キトサンを 0.4〜 2.7重量%含有するセルロース再生繊維を使用した不織布であって、該セルロ ース再生繊維の他の繊維との混繊比率が、20重量%以上である不織布である。

「生分解性育苗ポット」Patent D.B.

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【要約】
【構成】材質が生分解性の脂肪族ポリエステル化合物またはその改質物よりなり、膜厚みが50μm〜200μm、直径が3〜10cm又は一 辺が3〜10cmで、高さが3〜15cmの範囲にある円筒状又は角型状の容器である育苗用のポットで、生分解性が精巧にコントロールでき る。また、殺菌剤を含有させることによりカビ発生を防ぐことができる。
【効果】本発明の生分解性育苗ポットは、育苗ポットごと移植できるので移植時の作業能率、作業上の煩雑さ、苗の根傷み、作業衛生上の 問題点等が改善される。

「パルプ発泡緩衝材」Patent D.B.

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【要約】
【目的】パルプを粒状に成形して発泡させ、これを構成の単位としたパルプ発泡緩衝材に係わり、特に使用後、埋立処分もしくは焼却処分して も、廃棄物公害等を引き起こさない発泡緩衝材であって、例えば、電化製品や食品包装の緩衝材に用いることができるものに関する。
【構成】再生パルプを含むパルプと生分解性の増粘剤を、三次元網目構造の主原料としたパルプ発泡ビーズを構造の単位として、該パルプ 発泡ビーズを集合体としたことを特徴とするパルプ発泡緩衝材である。

「再生天然ケラチンを壁材とするマイクロカプセル及びその製造方法」PatentD.B.

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【要約】
【目的】 本発明は、ペプチド結合切断による短鎖化処理その他の非可逆的化学修飾を伴わないケラチンを壁材として含む、均一性、安定性及 び生体適合性等に優れ且つ含包量が大きい再生天然ケラチンを壁材とするマイクロカプセル及びその製造方法の提供を目的とする。
【構成】 ケラチン含有物質を液体媒体中にて還元剤により処理してケラチンを抽出し該抽出液より前記還元剤を除去することにより得られる水 溶性ケラチンを壁材として不溶化してなるマイクロカプセル及び、前記水溶性ケラチンの水溶液を水に不溶性又は難溶性の有機溶媒と混合し これを超音波処理及び/又は激しく攪拌することを特徴とする、再生天然ケラチンを壁材とするマイクロカプセルの製造方法。

「発泡性木質系樹脂粒子」Patent D.B.

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【要約】
【目的】 生分解性、易焼却性にすぐれた発泡体に好適に使用しうる発泡性木質系樹脂粒子を提供すること。
【構成】 非溶液系化学修飾木材に発泡剤を含有させてなる発泡性木質系樹脂粒子。 【効果】 本発明の発泡性木質系樹脂粒子からえられた木質系発泡体は、素材自体が生分解性および易焼却性を有するので廃棄物処理が 容易であり、しかも発泡剤としてオゾン層を破壊する能力がほとんどないか、またはまったくないものを用いたばあいには、さらに地球環境に やさしい新規な発泡体となり、たとえばボード状、シート状、ブロック状などの断熱材、緩衝材、壁材、吸音材などの各種成形体、各種包装容 器などの成形体などの幅広い分野で応用可能なものである。

「抗菌性多孔質セルロースとその製造方法」PatentD.B.

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【要約】
【目的】 使用する抗菌剤粒子の大半が有効に抗菌、殺菌作用を発揮し、しかも抗菌剤粒子の粉もれがない、水、油、空気等の浄化に使用す ることができる抗菌性材料を得る。
【構成】 ビスコースと、抗菌剤粒子2と、酸分解性の発泡剤を混合した混合液を、凝固再生浴に供給し、凝固再生浴内において発泡剤を発泡 させながら、セルロースの凝固再生を行うことによって、多数の細孔3を有する多孔質体の骨格1がセルロースからなり、抗菌剤粒子2の径 よりも小さい径の細孔3が集まった骨格部分に抗菌剤粒子2を保持させた抗菌性多孔質セルロースが得られる。

「活性炭含有多孔質セルロースとその製造方法」PatentD.B.

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【要約】
【目的】 含有する活性炭粒子の大半が有効に吸着作用を発揮し、しかも活性炭粒子の粉もれがない、水、油、空気等の浄化に使用すること ができる材料を得る。
【構成】 ビスコースと、活性炭粒子2と、酸分解性の発泡剤を混合した混合液を、凝固再生浴に供給し、凝固再生浴内において発泡剤を発生 させながら、セルロースの凝固再生を行うことによって、多数の細孔3を有する多孔質体の骨格1がセルロースからなり、活性炭粒子2の径 よりも小さい径の細孔が集まった骨格1部分に活性炭粒子2を保持させた活性炭含有多孔質セルロースが得られる。

「木質系発泡体およびその製法ならびに木質系発泡シートおよびそれからなる容器」PatentD.B.

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【要約】
【目的】 生分解性、易焼却性にすぐれた発泡体、発泡シートおよびそれからなる容器を提供すること。
【構成】 非溶液系化学修飾木材を、発泡剤を用いて発泡してなる木質系発泡体および木質系発泡シート、前記木質系発泡シートを成形してな る容器、非溶液系化学修飾木材および発泡剤を含有した溶融混合物を押出発泡することを特徴とする木質発泡体の製法。
【効果】 素材自体が生分解性および易焼却性を有するので廃棄物処理が容易であり、しかも発泡剤としてオゾン層を破壊する能力がほとん どないか、またはまったくないものを用いたばあいには、さらに地球環境にやさしい新規な発泡体となり、たとえば断熱材、緩衝材、食品包装 容器などの幅広い分野で応用可能なものである。

「創傷治癒に活性のあるポリペプチド・ポリマーイオン複合体」PatentD.B.

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【要約】
【目的】 創傷の急速な治癒を促進するのに有用なポリペプチド・ポリマーイオン複合体を提供する。
【構成】 アミノ酸配列Arg-Gly-Aspまたは(D-Arg)-Gly-Aspを含むポリペプチドと、コンドロイチン硫酸のような生分解性ポリマーとが、イオン相 互作用により結合している。このポリペプチドは細胞付着促進活性を有する。生分解性ポリマーが結合しても、このポリペプチドの細胞付着促 進活性は実質的に減少しない。