「地球工学入門」

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大量に発生するCO2に挑戦する
アフリカのカメルーン湖で大量のCO2が噴出する現象が起こった。
そこでの状況を考察することで火力発電所から回収したCO2を海洋中に留めておくための方策についてのヒントが得られる。CO2を注入した直後に海洋中で速やかに溶解させることができた場合でも、いったん海底に貯留されて徐々に溶け出す場合でも、海洋中の流動場についての知識や海底の炭酸塩堆積物との反応に関する知見に基づいて、注入効果(大気圏からの隔離期間)やリスク(海洋生態系への影響)の評価をする必要がある。
海における炭素循環
海洋は基本的には成層構造を持っており、海の水深100ー200mのところに躍層とよばれる上部海水と下部海水を分離する層が存在する。上の混合層で活発な光合成が営まれ、有機物という形で大気中のCO2が固定されそれが深層中へ供給され、生物活動がこの有機物に依存して営まれる。大気中のCO2が増加すれば、上の過程を経てだんだんと海洋全体へと炭素は再配分されていく。しかし、海が躍層によって仕切られているため深層の水にまで大気中へのCO2増加の影響がいきわたらない。
「大量に発生するCO2」を燃焼後に回収し、海洋深海へと隔離させようという考えがある。この考えは、地球表層に存在するCO2の絶対量を増やしてしまったのだから、比較的大きなストックである海洋深層に一時的に預けておこうというものである。海洋への一時隔離の目的は、あくまでも大気中に急激にCO2が増加するのを防ぐことにある。CO2の回収方法(湿式吸収法、液化、固化)及び注入法(溶解型、貯留型)に検討すべき課題が多く存在する。
CO2を固定するバイオエンジニアリング
生物を用いる方法としては、3種類の方法が考えられる。
1つ目は、植林によりCO2の貯蔵庫となる森林を増やし、有機物として陸上に蓄積する。
2つ目は、CO2の固定を微生物で行う方法である。増殖した微生物を畜産飼料や食物として利用すれば、飼料穀物を栽培する際、田や畑から生ずるはずの温室効果ガスを削減できる。
3つ目は、南極に鉄をまくことにより南極海の植物プランクトンを増殖させる方法である。
植林によりCO2の貯蔵庫となる植林を増やし有機物として陸上に蓄積する方法
植林によるCO2固定を試みる(アプライドエネルギーサービス社)。
18万kwの石炭火力発電所で発生するCO2を植林して埋め合わせる。
発電所の年間CO2排出量を38万7000tC、発電所の寿命を40年とすると
CO2総排出量=38万7000tCX40年=1550万tC(C=炭素換算:GtC=10億トン)
約10万haの土地に5200万本の植林をする。
この植林は10年以上かけて行われ、40年以上にわたって1810万tCのCO2を大気中から固定する。
コストは約1450万ドルでAES社は200万ドル負担。
成功した理由

CO2の固定を微生物で行う方法
微生物が炭酸同化作用により、CO2を吸収固定することにより微生物が増殖していくことである。1つは、光合成による炭酸固定であり、もう1つは化学栄養細菌による炭酸固定である。
光合成によるCO2固定は植物よりも微生物による炭酸同化の方が効率的であるが希薄な太陽エネルギーのそのまた一部しか利用できないので広大な土地、面積を必要とする。(緑藻、藍藻)
有機化合物や無機化合物をエネルギー源として炭酸同化を行う微生物として水素細菌がある。水素細菌によるCO2固定は、緑藻類と比べて太陽光を必要としないので広い面積を必要としない。また、増殖速度が速いので十分な水素さえ供給できれば大量のCO2を短時間のうちに固定できる。しかし、水素の供給源として水の電気分解を行って得る方法がとられるが、化学燃料由来の水素が一番安価であることから将来の課題である。
南極に鉄をまく
南極は、大陸の周囲に湧昇流が発生しているため生物生産が高いことで知られる。南極海に鉄をまいて植物プランクトンを増殖させ、南極における生産性を増大させるとともに、CO2の吸収の効果を高めようという研究が開始されている。それは、南極海上で増殖した植物プランクトンがかなりの割合で海底に持ち込まれることが期待されている。
試算−−−20万tの鉄の散布から最大20億tの炭素を余分に吸収できる。費用は10億ドル。この吸収量は、化石燃料由来のCO2の量57億t(1989年)の約1/3に相当し、費用はCO2処理コスト1tCにつき50セント(約60円)となる。一桁程度の誤差であればCO2の処理方法として十分通用する。問題点として、植物プランクトンが過剰に発生して赤潮がおきないか不安がある。
また、地球上の炭素循環に、働きのよくわかっていない海洋を利用して新たな炭素の巨大な流れを持ち込むことへの不安がある。

「自然の浄化機構」

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森林における自然浄化機能
炭素の循環
緑色植物が太陽エネルギーを用いて行う光合成を通じて、Cは森林生態系に取り込まれる。

6CO2+6H2O+(エネルギー)−−>(光合成)・(呼吸)<−−C6H12O6+6O2

一方植物は、必要なエネルギーを、葉、枝、幹、根等におけるO2呼吸によって獲得する。この場合は、まったく逆に同体積のO2ガスがCO2に変わる。死んだ植物体は、落葉、枯死根または枯死木として土壌に入り、土壌動物や土壌微生物によって分解される。分解に伴う土壌動物や微生物によりCは大気に戻るが、一部は安定した腐植となって土壌に残り、さらに一部は炭化していく。
Cの循環は、大気圏との直接の交換が大きい部分を占め、外部環境系がその主力である。
地球上の場所によって異なるがおよそ100年ぐらいで森林生態系のCの現存量は一定量に達して安定する。すなわち、年間の光合成量と呼吸量が等しくなり、CO2ガスをO2ガスに変える機能は収支計算上なくなる。
森林生態系へ降水に溶けて流入し、また、渓流水とともに流出するC濃度と量に関しては、主として炭酸水素イオンが測定されるが、浄化機能の観点からは炭酸水素イオンは汚染物質とは言い難い。
有機態Cの測定がなされるべきであるがそのデータはほとんどなくCODによって表現されている。滋賀県若女谷の8年間の平均データでは、降水13.5kg/ha・yr、流出水は5.6kg/ha・yrであり、酸化されやすい物質を約40%少なくする機能をこの森林は持っているといえる。(有機態C、ーN)
遷移段階による物質濃度の変化(ーN)
若い森林からの流出水の硝酸態窒素濃度は、成熟した森林または、老齢の森林からの流出水に比べ低い傾向にある。
成熟した森林の土壌は、肥沃であることが多く、硝化が起こりやすく、その上植物による吸収量が小さい。一方若い森林は、土壌がやせている上吸収量が大きいといったことがこの現象の起こる原因と考えられる。

「紙のおはなし」

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紙の天性
繊維から枝分かれして長いひげのように出たフィブリルは、水の中でゆらゆらと漂い近くの繊維から出たフィブリルと絡み合ったりする。ワイヤーパートに飛び出したこの状態の繊維は、進んでいくにしたがって水がひかれて、繊維どうし、繊維とフィブリル、フィブリルとフィブリルが近づいたり絡んだりしてくる。直径0.2μmのフィブリル間の接着力は、1平方cm当たり174kgfになる。これで紙が完全に乾いていなくてもよくフィブリル間の距離が縮まり、繊維どうし、フィブリルと繊維、フィブリルとフィブリルどうしが3.5オングストロームまで近づくとファンデルワールス力が働き、2.7オングストロームまで近づくと水素結合が有効に働き、3ー6倍の結合力でくっつく。これが紙の強さとなる。
紙の持つ意外な性質
音を吸い取る
音の伝わる速度は、紙の密度、繊維間結合状態、坪量、繊維配向性などで決まる。
均質な物質の中を音が伝わるとき、その伝播速度の2乗は紙のヤング率を密度で割った値と等しくなる。
鋼の伝播速度は、約5km/sに対して木材は、1.4ー4.0km/sとなる。紙の場合もっと遅くて、幅が広く約4.0km/sである。これは、紙のヤング率が約2ー10X10^10dyne/cm2と低いからである。温度や相対湿度が増加すると音の伝わる速度は減少する。これは、湿度があがると紙中の水分が増加し、繊維間結合にわずかなゆるみが発生してヤング率が小さくなるためである。
伝熱
熱伝導率は、空気が最も小さく、プラスチック、木材、紙(0.01ー0.14kcal/m・h・℃)、水(0.51kcal/m・h・℃)、コンクリート、ガラス、ステンレス(21.1kcal/m・h・℃)、銅(347kcal/m・h・℃)の順である。比熱容量は、紙(0.28ー0.32kcal/kg・℃)で水の1/3である。

「紙のおはなし」

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紙の適材適所
トイレに流せる紙製ぞうきん
紙は繊維間結合で強度をだすので、水素結合をなくせばよいがそうすると綿の固まりのようになりシートにもならない。この綿の固まりを水溶性の糊に浸してから平らな所に平たく伸ばして乾かすと、シート状の強い紙ができる。このシートを再び水の中に入れると糊が水に溶け出し、最後に綿の状態にばらばらになる。このしくみを使ってできた紙が水に溶ける紙である。
和紙の原料と同じパルプを使って化学処理を行い、キシメチルセルロース(CMC)という糊の一種をつくる。そして、CMCをいったん水に溶けないように酸で処理しておいてから紙にする。紙にしてからアルカリ処理を素早く行うと、CMCが溶けない状態で紙を維持する。
速くたくさん水を吸い取る紙おむつ
対象は、一歳の乳児。膀胱の容量は、150ml。一日に300mlくらいの尿を15回くらいに分けて排水する。一回の排水時間は、4ー5秒とする。紙おむつ」の構成は、肌に接する方から、

  1. 不織布(PPまたはポリエステル繊維の多孔質シート)
  2. 薄葉紙−−100ml/m2・sの吸水速度で漏れを防止
  3. フラッフパルプ−−綿状のパルプ層で拡散速度は0.5ー0.7cm/s、吸液量15ー20g/g
  4. フラッフパルプ+高吸水性ポリマー層−−自重の400倍以上の液体を吸う
  5. 薄葉紙
  6. PEシート−−外へ漏れ出さないためのガード

最近、ごみ問題の中でおむつのボリュームと合わせて高吸水性ポリマーの難分解性がクローズアップされている。年間13万t以上が生産され可燃ごみとして廃棄されている。このため、布おむつの見直し、紙などセルロース系だけでつくる動きもある。
電波をシャットアウト
最近の電子機器の発達で高周波の不要放射電磁波の放射の防止と外部からのノイズ電磁波をシールドすることが要求されている。電磁波のシールドについては、高周波特性を無視すると、体積抵抗値が小さければシート効果が大きくなるので容器を導電性にすることでシールド効果が期待される。電磁波シールド紙は、導電性繊維を使ってシート状にしたもので、ランダムに繊維が分散、配向している。金属化合物を紙の表面に接着させたものもあるが、導電性繊維を使用する場合、ステンレス繊維、ニッケルめっきカーボンファイバー、銅とニッケルを二層コーティングした導電性繊維を使用する。繊維の太さは、5−20μm、長さ2ー10mm、この繊維をパルプあるいは合成繊維と混ぜて抄紙加工する。これらの紙の場合には、厚さが、50ー150μmと薄いシートであり軽く折り曲げに強く、加工適性に優れている。体積抵抗率は、1ー10^(ー3)Ω/cm3と低く広い周波数帯で高いシールド効果(70ー40dB)を有する。また、表面抵抗率を10^3ー10^5Ω/cm2にして静電気シールド効果を持たせ、静電気による放電からICを守る静電気シールド紙も開発されている。

「環境対策実践ガイド」

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生物親和性の高い炭素繊維を用いた河川・池・湖沼の水質浄化技術・・・・群馬工業高等専門学校・小島昭
炭素繊維は、人工心臓弁にも使用されるなど生体親和性が高い特性を持つ。また、炭素材料は、生体組織との接着性がきわめて高いことがわかった。さらに炭素材料と他の生物体(菌類、バクテリア、微生物、微小生物など)との親和性も高いことがわかった。
小魚、カニ、えび、ホタルなどの棲む河川や池沼をつくる目的で炭素繊維(木炭、コークス、炭素繊維)を含むコンクリート構築物を製造した。(バイオコンクリート)1週間バイオコンクリートを池に沈ませた結果、炭素材を含むコンクリートは、生物体に対して初期親和性が高いことがわかった。炭素材による微生物の初期親和性が大きいことを明確にするために、微生物の集合体として廃水処理用の活性汚泥を用いた。その結果、炭素繊維への汚泥付着量が他の物質(木綿、ナイロン、ポリエチレン)に比べ著しく多いことがわかった。この現象を川水浄化へ応用した。すると、炭素繊維に汚泥が大量に固着することによって汚泥を含む水の透明度が高くなることがわかった。また、海水でも、炭素繊維の微生物固着効果が確認できた。
以上のことから、汚泥大量固着機構は次のように考えられる。
まず、炭素繊維に菌類が固着する。その菌を餌にする大きめの微生物類が集まる。その次にそれらを食するツリガネ虫、アメーバらが集合し、粘菌の支援を受けて固着する。また、炭素繊維に固着した汚泥から糸ミミズが短期間に生育し、巻貝が登場する。巻き貝の種類によって糸ミミズが餌となり消滅する。これらの現象は、炭素繊維が生物代謝の担体としての機能を果たしているといえる。炭素繊維への汚泥大量固着現象は、

  1. 池水や河川の水質浄化
  2. 各種浄化槽の接触材
  3. 人工藻場、人工漁礁
  4. 魚類の産卵場

への展開が可能になった。

「環境対策実践ガイド」

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より効率のよい紙資源の活用が期待できるコピー用紙を再利用する技術の確立・・・リコー・村上格二
情報記録用紙の使用量が増大する中で、ゴミの減量、森林保護、省エネルギーの観点からコピー用紙などの情報記録用紙を再使用できる技術を確立することが望まれている。コピー用紙を再使用する技術の確立により、紙を室内事務所内などのローカルエリアにおいて環境使用できるのでより効率のよい紙資源の活用が期待できる。画像形成物質であるトナーをコピー用紙から、剥離・除去する方法により紙のリサイクルをはかった。
画像(トナー)除去プロセス
トナーを除去・剥離するリサイクル・コピー・プロセス(RCP)の基本原理は、剥離液で紙とトナーの接着力を弱め、熱により軟化したトナーを紙よりも接着力の強い剥離部材に転写せしめるものである。
紙を再生する工程は、4つのプロセスに分けられる。
(1)給液プロセス
再生処理の対象となるトナー画像が複写された紙に剥離液を塗布する工程である。コピー機においてトナーは熱により軟化された状態で圧接し定着するがトナー自体は紙内部深くまで浸透することがないため、紙に剥離液を塗布させ紙を膨潤させることにより、紙とトナーとの接着力を弱めることにある。剥離液が紙に塗布されると剥離液はセルロース繊維に浸透し繊維を膨潤させる。トナーは疎水性材料であるため、膨潤率の違いから両者間にせん断力(ずれ応力)が生じる。この力によりトナーと紙との接着が破壊される。RCP技術には、水をベースとした剥離液が使用される。
(2)剥離プロセス
剥離プロセスは、トナーを軟化温度まで加熱し剥離部材に転写・除去するプロセスである。紙上のトナーは、加熱され軟化した状態で剥離部材に圧接されることにより剥離部材に接着する。トナーが剥離部材に良好に転写すためには、紙とトナーの接着力(Fpt)よりも剥離部材とトナーの接着力(Fmt)が大きくなる必要がある。剥離温度が高すぎるとトナーの凝集力(Ft)が低下し、Fmtが十分に接着していても紙にトナーが残る結果となる。逆に剥離温度が低すぎると、Fmtが十分に高くならず転写不良となる。また、トナーを剥離部材に圧接する際に再接着がおきると、紙と剥離部材の分離が悪くなり紙表面の繊維がトナーとともに剥離部材に転写してしまう恐れがある。
(3)乾燥・仕上げプロセス
トナーが除去された紙に残留する剥離液を蒸発させ、乾燥するとともにコピー用紙の使用時やトナー剥離で傷んだ紙の表面を平滑にするためのものである。仕上げられた紙は、コピー用紙として再使用することが可能である。
(4)クリーニングプロセス
紙から剥離部材に転写されたトナーを剥離・除去するプロセスである。金属ブラシ状ローラを回転させながら剥離部材から掻き落とす。
RCP開発の現状と今後の方向
紙の隙間に潜り込んだトナーの蓄積による白色度の低下、トナー剥離による紙の表面性状の変化などにより、繰り返し使用回数は制限される。現状では、5回程度の再使用を保障しているが、今後繰り返し回数を増やすことが必要である。現状では、対応可能な紙の種類や転写機の種類に制限があり拡大する必要がある。

「環境対策実践ガイド」

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実用に耐える強度性能を有する木質系・紙系廃棄物を原料にしたボード開発・・・・都立工業技術センター・島田勝広
木質系産業廃棄物および住宅解体木材の一部は、パーティクルボードや紙の原料及び燃料として利用されているが、多くは焼却や埋め立て処分されている。また、紙系廃棄物ではオフィスからの紙ゴミは排出量の増大により焼却処分が困難となっている。また、新聞古紙は新聞用紙への古紙混合が技術的に限界となっており、その他への利用技術の開発が求められている。
筆者らは、これらの廃棄物よりボードを試作し、家具、建築用部材として活用をはかった。
(1)木質系ボード
木質系産業廃棄物を破砕処理によりチップ化し形状をそろえた。チップにユリア樹脂接着剤を噴霧塗布後、マット状にフォーミングし熱圧接することによりボード化した。
(2)紙系ボード
新聞古紙を所定の寸法に裁断、乾燥し試料とした。この試料にメラミンユリア共重合樹脂接着剤を噴霧塗布しフォーミング後熱圧締することによりボードを試作した。
(3)木質系・紙系混合ボード
チップ、コピー用古紙を所定の寸法に裁断・乾燥し試料とした。木質系及び紙系試料を所定量比で混合し、ユリア樹脂接着剤を用いてボード化した。
曲げ強度より判断すると、小形チップより大形チップの方が実用可能な強度性能が得られる。また、製材、合板、木製品製造工場より排出される廃棄物は、表面劣化が少ないためボード原料としては、有利と考えられる。紙系廃棄物よりのボード化においては、吸水率が強度に大きく影響するため耐水性能に改善が必要と考えられる。そのためボード化においては接着剤の適切な選択による耐水性能への対処は必要と考えられる。

「M&E」1997.2

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リサイクル・廃棄物処理を実現するために知っておきたい地球環境問題の現状とその影響
通常、地球環境問題は以下7項目を示す場合が多い。

地球の温暖化
人間活動に伴って排出される温室ガスには、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、ハロカーボン類(CFC:クロロフルオロカーボンやHCFC:ハイドロクロロフルオロカーボンなど)などがあるが、この中で地球温暖化に対して最も影響が大きいのは二酸化炭素である。
全世界の二酸化炭素排出量は、1991年に61.9億tC(炭素換算)で排出量は1950年から約4倍に増大している。その内訳は、45%が先進国に起因し、残りを旧ソ連及び東欧と開発途上国が排出している。今後、開発途上国からの二酸化炭素排出量は、人口の増加と経済の発展を背景にさらに大幅に増加することが見込まれるから、対策を着実に実施していくことが世界的な地球温暖化防止対策を進めるうえで急務である。また、途上国を積極的に対策に巻き込んでいく観点からも、先進国が気候変動枠組条約の義務を着実に履行し、地球温暖化防止対策に率先して取り組んでゆくことが重要である。
また、土地利用の変化によってもかなりの二酸化炭素が排出されており、その量は全世界で9億tCと推計される。森林の減少は、吸収・固定源の減少と排出量の増加の両面において地球温暖化を推進する。
年間の炭素収支報告によると、毎年32+−2億tC程度の二酸化炭素が大気中に蓄積されている。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によれば、最終的な大気中二酸化炭素濃度の安定化レベルは、安定化までの排出シナリオよりは二酸化炭素の積算排出量によって決定されるとされ、二酸化炭素濃度を350ppmで安定させるには21世紀末までの積算排出量を3000ー4300億tC、500ppmの場合8800ー10600億tCに抑える必要があるとされる。二酸化炭素以外の温室効果ガスの排出量については、二酸化炭素ほど正確には把握されていない。
IPCCによれば、現在の状態を放置していくと、地球全体の平均気温は2025年には現在より約1℃、21世紀末前には3℃上昇することがありうるとされ、この影響により海面水位は、2030年までに平均約20cm、世紀末までには65cm(最大1m)の上昇が予想されている。
オゾン層の破壊
オゾン濃度の低下は、比較的短波長の紫外線の地上到達濃度の増大をもたらし、これにより生態系に各種の悪影響を与えるとの危機感が強まってきている。主なオゾン層破壊物質の種類とその規制スケジュールを以下に示す。

酸性雨
酸性雨の原因は、工場や自動車から大気中に排出されるSOx、NOxである。これらの物質が酸化し、雨に混じることにより生じる。
正常の雨は、pHが5.6程度であるが、汚染物質が溶け込むことによりpHが4前後、ひどい時pH3前後まで低下する。酸性雨は、土壌を酸性化し植物の生育を阻害し森林を死滅させたり湖沼に対する影響も大きい。
酸性雨の対策方法には、工場と自動車からのSOx、NOxの排出規制がある。工場からの排出規制の方法として、日本では総量規制が行われている。一方中国などでは、現在大きな問題となっている。特に発展途上国の場合、環境保全のためのコスト負担を行うだけの経済的な余裕がないことも大きな問題となっている。
これら酸性雨原因物質の発生を防止する技術開発及びその普及が急務となっている。日本における脱硫、脱硝技術は燃焼排ガス中のSOx、NOxを化学的に除去する、いわゆる排煙脱硫、脱硝が主であり、これらの技術は確立されているがコストが高く、これらの技術をそのまま開発途上国に移転することは非常に困難な情勢にある。
熱帯雨林の減少
現在地球上の約45億haが森林でおおわれており、そのうち43%が熱帯地域に分布している。熱帯林の消失の主な原因は森林伐採後の土地利用転換で、毎年約730万haは耕地化、草原化プランテーション化され、乾燥熱帯地域では農業と薪炭材の採取として約380万haが減少・劣化している。さらに、森林として把握されている中にも熱帯雨林では、毎年約440万haが択伐され二次林化し劣化している。
従来、森林は多層構造を持ち降雨は樹冠や下層植生に遮断され、直接には土壌表面を撹乱しない。また、森林と土壌との交互作用により土壌は成熟化し、土壌の保水機能は増加する。森林がなくなれば土砂侵食が促され、保水機能や水源滋養機能が損なわれ、土砂流出や洪水など自然災害が起きる。
また、熱帯林生態系では地球上の既知の生物種の半数が含まれているとされるが、未知の種の含めて森林の消失に伴う種の消滅は2000年までに約25ー約83万種が絶滅すると予想されている。このような状況で、森林の伐採、焼き畑、森林の土地利用の転換により、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素の放出が加速される一方、森林の減少・劣化は二酸化炭素の吸収・固定能力を減少させ地球温暖化の相乗的に影響を及ぼしている。

「抗菌性組成物」Patent D.B.

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【要約】
【目的】樹脂製品表面上で安定した抗菌効果を示し、また樹脂中より溶出しても環境汚染の原因となりにくく、樹脂中に混練成型しても呈色 しにくい抗菌性組成物を提供することを目的とする。
【構成】水溶性銀塩、銀錯塩または銀化合物をシリカゲルに担持吸着させ、480℃以上600℃以下の温度で焼成するか、あるいは水溶性銀 塩、銀錯塩または銀化合物をシリカゲルに担持吸着させ、480℃以上600℃以下の温度で焼成した抗菌性組成物の表面の少なくとも1部を 反応性有機珪素化合物の加水分解物でコーティングするか、あるいは水溶性銀塩、銀錯塩または銀化合物をシリカゲルに担持吸着して乾燥 粉砕させ、その表面の少なくとも1部を反応性有機珪素化合物の加水分解物でコーティングし、480℃以上600℃以下の温度で焼成したも のである。

「木質繊維基板及びその製造方法」Patent D.B.

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【要約】
【目的】 電子部品加工分野におけるプリント配線用基板の穴あけ加工の敷板として用いられるアルミ板等の金属板やベークライト板等の合成 樹脂板の代替品として使用可能な木質繊維基板及びその製造方法を提供する。
【構成】 木質繊維板の両面を平滑とし、次に、前記木質繊維板の両面にそれぞれ熱硬性樹脂を固型分換算で10g/m2 以上含浸させ、その 後、前記木質繊維板に対して、鏡面状を呈する金属板を介して6〜60kg/cm2 の圧締圧で前記熱硬化性樹脂を当該熱硬化性樹脂が硬化す る温度で所定の時間だけ熱処理するようにして、木質繊維基板を製造した。
【効果】 木質繊維板の厚み精度及び表面硬度が向上すると共に、表面の平滑性が損なわれない。また、焼却しても環境汚染の原因になら ないので、廃棄処分が容易である。更に、比較的安価なため経済性にも優れる。

「新規微生物、該微生物を含有する土壌病害防除剤及びこれらを利用した土壌病害防除方法」PatentD.B.

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【要約】
【目的】 本発明は、環境汚染が少なく、生態系に調和し、かつフザリウム病に対する防除効果の安定性及び持続性に優れた微生物、該微生 物を含有するフザリウム病防除剤及びこれらを利用したフザリウム病の防除方法を提供することを目的とする。
【構成】 本発明の新規微生物は、カーネーション及びトマトのフザリウム病防除に有効なフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)JTF-108 菌株(微工研条寄第3964号)及びJTF-139 菌株(微工研条寄第3965号)である。また本発明のフザリウム病防除剤 は、JTF-108 菌株及び/又はJTF-139 菌株、当該菌株の性質に影響を与えない希釈剤、及び補助剤を含有する。更に本発明の防除方法 は、JTF-108 菌株又はJTF-139 菌株を植物の根部又は土壌に処理するものである。

「セルロース系抄造体の製造方法」Patent D.B.

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【要約】
【目的】 抄紙工程にて発生する排水中のセルロース成分の漏洩を減少させ、添加された改質剤の歩留りを向上させると共に、キトサンの添加 により、優れた抗菌性能や抗カビ性能,消臭性能,生分解性能を具備したセルロース系抄造体が得られる製造方法を得る。
【構成】 セルロース繊維と改質剤を含む水懸濁液に、キトサンの水溶性酸塩,水溶性高分子物質,キトサンが不溶性となる酸塩を添加攪拌し てから抄紙して、セルロース系抄造体を得る。この製造方法により、抄紙工程にて発生する排水中のセルロース成分の漏洩が減少し、添加さ れた改質剤の歩留りが向上すると共に、本発明の方法で得られたセルロース系抄造体は、優れた抗菌性能や抗カビ性能,消臭性能を具備し たものであり、土壌微生物により完全に分解され、環境汚染防止の効果がある。

「電気エネルギー導出方法及びその電気エネルギーを用いた水素製造方法」PatentD.B.

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【要約】
【目的】 半永久的に利用できると共に、環境汚染等により生体系のバランスを崩さない電気エネルギー導出方法及びその電気エネルギーを 用いた水素製造方法を提供する。
【構成】 大気4の光電離の条件を満たすエキシマレーザ光線5を、大地1より電離層3に向けて放射することにより、大地−電離層間の大気4 を良導体に変え、大地−電離層を結線することで、下向きの大気電場によりこの良導体を下向きに電流が流れ、この電流を透明電極板8から 取り込み、透明電極板8に接続された導線7から電流を取り出すこと又は、取り出した電流で水を電気分解することにより水から水素を製造す ることを特徴とする。

「堆積したヘドロの処理方法」Patent D.B.

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【要約】
【構成】 採取したヘドロに雲母系鉱物、とりわけ、その風化体である蛭石(バーミキュライト)の無機酸処理物からなる含金属酸性添加液を添 加して、固液分離させて得られる濃縮ヘドロに高分子凝集剤を加えて凝集させた後、あるいは当該酸性添加液及び高分子凝集剤を添加して 被処理物中の懸濁物質を凝集させた後、濾過処理してヘドロと水を分離することを特徴とするヘドロの処理方法。
【効果】 従来、主として浚渫作業によって除去する以外に有効な手段が見当たらなかったヘドロの処理作業を、簡便、かつ確実に実施するこ とができると共に、処理後の濾過液は、濁りのない澄明な、かつヘドロ特有の悪臭の除去された水としてそのまま河川等に放流することがで き、環境汚染を簡便に解消することができる。

「酸化チタン薄膜光触媒及びその製造方法」PatentD.B.

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【要約】
【目的】 廃水処理や浄水処理などを連続的に行うことができ、環境浄化材料として環境汚染物質の分解除去効果とその持続性に優れ、しか も経済性、安全性、耐水性、耐熱性、耐光性、耐候性、安定性という面からも優れた特性を有する酸化チタン薄膜光触媒及びその製造方法を 提供する。
【構成】 本発明の酸化チタン薄膜光触媒は、チタンのアルコキシドとアルコールアミン類などから調製されたチタニアゾルを基板にコーティング した後、室温から徐々に600℃から700℃の最終温度にまで加熱昇温して焼成して製造され、酸化チタン膜の結晶形がアナターゼであるこ とを特徴としている。電灯あるいは太陽光などの光を受けて酸化チタン薄膜に生成した電子と正孔の酸化還元作用により、水中に溶解してい る有機化合物などの環境汚染物質を効果的にしかも連続的に分解除去できる。

「家畜用床材」Patent D.B.

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【要約】
【構成】吸水性良好な古紙の紙片からなり、長さが130 〜1100mm、好ましくは140 〜820mm 、幅が3〜50mm、好ましくは幅が3〜40mmで ある短冊状紙片を80%以上含んでなる家畜用床材である。また紙片の材質はセルローズ系古紙でプラスチックフィルム、化学繊維、合成繊 維がラミネートまたは混合抄紙されていないものが好ましく、更に古紙が新聞及びチラシ、切付、上白、中白からなる群より選ばれた1種また は2種以上からなるものが好ましい。
【効果】本発明の家畜の床材は新聞等の古紙の短冊状集合体からなり、吸水性、家畜の居住性に優れし尿と混合して堆肥の状態となるた め、そのまま有機肥料として使用できる。このため最近の農業の構造変化に伴って発生した稲藁の不足に対処することができる。更に、家畜 のし尿をこの様な形態として処理するため地下に浸透して地下水に混入して、環境汚染や悪臭の原因となることも防止できる。

「二酸化チタンを含有する木炭及びその成型物」PatentD.B.

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【要約】
【課題】 家庭用水道水中もくは工業水道水中にトリハロメタン等のハロゲン化有機物に対する優れた分解能をもつ光半導体である二酸化チタ ンを、優れた吸着性能を有する物質に担持させた環境汚染物質処理材料を提供することにある。
【解決手段】 木粉及び二酸化チタンを原料として用い、その原料を攪拌混合して得られる混合物を成形し、この成型物を炭化炉にて500乃至 100℃の温度条件下で炭化して得られる二酸化チタンを含有する木炭。

「木材強化用炭素繊維プリプレグ貼付木質シートおよび木材強化用炭素繊維複合木質シ−トおよび炭素繊維強化木材」PatentD.B.

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【要約】
【目的】木材や集成材に適用して、接着性と取扱性に優れ且つ環境汚染を起こさない炭素繊維プリプレグのシートおよびストランドを貼付した 炭素繊維プリプレグ貼付木質シート、およびそれらを硬化した炭素繊維複合木質シートを提供すること。
【構成】熱硬化性樹脂と硬化剤または硬化触媒の混合樹脂とを含浸してなる炭素繊維プリプレグシートの片面または両面に厚み0.03〜0.3 m mの木質系シートを配置した木材強化用炭素繊維プリプレグ貼付木質シート。