「しのびよるダイオキシン」

[back]


毒性の強いダイオキシン、ダイベンゾフラン及びコプラナーPCBを総称してダイオキシン類と呼ぶ。
ダイオキシンの致死量
ダイオキシン類には、200種以上の同族体があり毒性は千差万別である。また、動物の種類によっても異なりその原因はいまだ解明されていない。ダイオキシン類に対する動物の感受性を決定している要因が解明されれば、ヒトの感受性を推定することも可能である。我が国の場合、80%以上のゴミは焼却炉で処理されています。ダイオキシンの最大の汚染源は、ゴミの焼却処理場であるといえる。


「地球環境ビジネス読本」

[back]


紙・パルプ会社−−−理想的には、植林を行いつつ森林の成長速度の範囲内で森林資源を利用することが求められる。紙・パルプは、他の産業に比べて水を大量に消費するため用水や排水においても環境面に充分な配慮が必要である。

技術の実行可能性
地球環境問題対策が実用されるかどうかを次の点から評価する必要がある。

すぐにできる地球環境商品
今後、商品開発するにあたり次のことを考慮する必要がある。


「地球環境50の仮説」

[back]


リサイクルだけを切り札にするとかえって環境の負担を増す
今までのワンウエイ方式は、作る側のも使う側にも便利なためこれまで無反省に広まってきた。今後、次のような対策が必要ではないか。

物を作って利益を得ている側とその物を使って利益を得ている側が責任をシェアできるような全体システムを、行政も入ってきちんと作り上げるべきである。


「リサイクル・廃棄物処理アイデア百科」

[back]


廃タイヤを原料とする活性炭の製造
廃タイヤを1ー3mm程度の粒径に粉砕し、これに水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属塩を重量混合して焼成炉内で窒素ガスの存在下、600ー700℃で30ー60分間加熱して炭化する。生成した炭化物を蒸留水で洗浄してアルカリ塩を除去してから乾燥して活性炭を得る。

特開平4−292409号

紙の積層接着物等を炭として活用する方法
巻ロールを芯となる紙管は月間1万トンのオーダーで廃材となる。製紙原料としての再生は難しい。この炭は、燃料用途の他アルカリ性でミネラルも含み保水透水性吸着性もあり、普通木炭と同様で化学工業用、土壌改良材、水質浄化剤、脱臭剤等に活用できる。

特開平6−256781号

植物繊維を含有する廃棄物の再利用
木屑、木粉、繊維屑などの植物繊維または、木粉粒100重量部とポリオキシアルキレンポリオールと有機ポリイソシアネートとをNCO/OH当量比1.5ー20で反応させた末、端NCO基含有プレポリマー1ー100重量部と安定剤0.001ー2.0重量部を混合した後、水または湿気で硬化させたものを乾燥させて顆粒状木質粉を作りプレス成形して軽量ボードとする。

特開平4−59834号

再利用可能なセルロース系嵩高性シート
従来の嵩高性マット及びシートは、建築材料として使用される場合、湿度調整機能がなく結露性であり燃焼時には、発煙量が多くハロゲン系化合物のガスが多量に発生するため火災の安全対策上問題になっている。そこで、架橋パルプとパルプ及び熱融着性繊維を混合してセルロース系嵩高性シートを製造した。

特開平4−185791号

古紙の再生利用法
新聞紙や雑誌などの古紙を水に浸し、ミキサーでかき混ぜ、セメントと混ぜ合わせ成形することにより、好みの製品をつくることができる。

特開平5−68435号

発砲体に代わる再生紙製緩衝材
発砲スチロールは再生利用が困難であるため、再生利用可能な紙製段ボールを用いた緩衝材を提供する。平面に厚紙を有する矩形状の段ボールシートに段々狭くなる間隔で平行な折り目を金型で成形する。金型による折り目成形と折り曲げ組み立て後に物を受ける凹部となる部分を切除しておく。

特開平6−227567号


「最新リサイクル技術の実際」

[back]


生物由来有機系廃棄物の資源化技術と実例
1989年における日本の木材総需要量は6760万m3であり約55%が輸入木材である。一方廃屋解体木くずや工事現場から発生するコンパネ、廃木材の量は年間1千万tを超えると推定される。

建築用材としての再利用
廃屋を解体した木くずは、角材や丸太として利用可能な木材ができるが、腐朽や白蟻等による食害、ひび割れなどがありその部分を切断、除去し補修、接合、接着して使う必要がある。解体古材は83.8%まで利用できるといわれている。

木くずのチップ化とその利用
製材所から発生する木くずは、チップ化して板紙パルプ用、パーティクルボード材、燃料用として利用される。廃木材を燃料以外の高付加価値へのシフトが急務とされる。

廃木材からの木炭の製造とその利用
木炭の燃料としての使用は急減している。木炭自動車の利用への関心も高まっており、実際木炭ガスにより自動車が動くことが立証された。

木材糖化
8気圧、160ー190℃の環境で木屑に4%の希硫酸を間欠的に流しセルロースを加水分解してブドウ糖を抽出し、これを発酵させてエタノールや飼料酵母を製造するプロセス(ショーラ法)がとられている。酵素法は、90%以上の高い糖化率を有しているがリグニン除去に問題がある。

廃木材の油化
セルロース系有機廃棄物から低イオウ油を得る研究が行われている。この方法は、セルロースを一酸化炭素で脱酸素をする点にあり、還元分解する油化効率がよい。石炭液化より高価。

「紙のはなしT」

[back]


紙1kgをつくるには

ノートの紙1kgをつくるにはふつう広葉樹をおよそ1.8kg使う。
そして1.8kgの木材から約0.9kgのパルプが作られ填料などが加わって紙になる。

木材(1.8kg)−−−−−>パルプ(0.9kg)−−−−−>(1kg)
....|(溶脱).......|(漂白)....|(印刷適性)..|(サイジング)
薬品..|...........|........|........|
NaSO4(15ー50g).Cl2,NaOH.....クレー,タルク...サイズ剤
CaCO3(10ー35g)..NaClO,ClO2.(100ー200g).硫酸バンド

用水100ー250リットル
エネルギー

建築用材とチップ

直径R、長さLの丸太の最大容積はπLR^2/4
断面が正方形の角材を切り出すとして角材の最大容積はLR^2/2
端材は(π−2)LR^2/4
大体元の丸太の1/4強がチップになる。
稲から紙ができる

紙の原料はパルプでありパルプは木材からつくられている。
現在の科学技術レベルでは、植物繊維(セルロースが主成分)であれば紙をつくることができる。(稲の葉、バナナの葉、サツマイモのつる、海藻など)
非木材でもパルプに利用されている。

  1. 農作物からの廃棄物−−−バガス(砂糖キビから砂糖をとったしぼりかす)、ワラ
  2. 天然に自生している草木類を原料とするもの−−−竹、葦、エスパルト
  3. 繊維をとるために栽培されている植物−−−靭皮繊維(ミツマタ、コウゾ、ガンビ、ジュート、ラミー等)

紙の強さ

木材繊維自身の強さを100とするときの物の引っ張り強さを比較する。

紙は水素結合で繊維同士を結びつけているためアルミニウムの金属結合に比べて強度が弱い。

「シート成形」

[back]


セルロース系プラスチック

セルロースは結晶性もあり強度も優れているため多量の置換をしないものはセルロースそのものの強度を保ち溶剤に溶けない。
吸水性がかなり高く帯電性がないためほこりの付着が少ない。

  1. 酢酸セルロースシート
    比重1.3
    透明で無毒
    成形収縮量0.008
    CNの可燃性による事故を避けるために開発された。安価で簡易包装に適応。
  2. 酪酢酸セルロースシート
    比重1.2
    衝撃に強く耐候性に優れる。透明で無毒。
    成形収縮量0.008
    ディスプレー等
  3. セルロースプロピオネート
    比重1.2
    剛性が高い
    成形収縮量0.008
    食品・医療包装に適応

酢酸セルロースシートの特性
熱伝導率λ[J/(m・S・℃)]:0.17ー0.34
比熱Cp[kJ/(kg・℃)]:1.26ー2.09
ガラス転移点Tg:40ー45℃
使用可能最高温度:70ー90℃
屈折率n:1.46ー1.50
全光線透過率[%]:90ー95
酢酸セルロースシートの耐薬品性
強酸で分解、アルコールにて軟化または一部溶解
酢酸セルロースシートの吸水率:3.6ー3.8%

「紙の博物誌」

[back]


紙の保存と環境条件

紙はたえず劣化している。20日間の試験結果によると、クラフトパルプは白色度やαセルロースはほとんど変化がなかったが強度が少し低下し、βセルロースや苛性ソーダ溶液への溶解物などは、増加傾向を示した。
大気と不純物

大気中には約21%の酸素が含まれていて、これが繊維を酸化させている。そこへ他の要因が加わることにより、その作用は急激に劣化を起こす。

紙文化財の傷みの原因

「林業あいち」

[back]


爆砕処理による木材主成分の分離とその有効利用
爆砕処理とは木材を圧力容器で高温高圧(200ー240℃、20ー40気圧)の飽和水蒸気により短時間(1ー10分)蒸煮して木材を軟化させ、ポン菓子の製造と同様に一気に圧力を下げることによって凝縮水の気化に伴う爆発的な体積膨張により木材チップを繊維状から泥状にまで粉砕する処理のことである。
これにより、ヘミセルロースは可溶になり、リグニンもアルカリや有機溶媒に可溶となる。
セルロースの結晶部分は、分解されない非晶部で一部加水分解され結晶に配列する。このためセルロース、ヘミセルロース、リグニンは、水及び有機溶媒抽出により容易に分離できる。
広葉樹の場合、水抽出物の主成分はキシロースであり、還元してダイエタリーの甘味料や医薬品として利用可能である。
爆砕リグニンには、発ガン物質による突然変異を抑える作用がある。
セルロースはミクロフィブリルにまで分離できでん粉と均一に混合し食品添加物として使用されている。
木材の飼料化に関心が寄せられ、爆砕処理によりセルロースの消化率が向上することが確認されている。

「セミプラントシステムによる圧縮成形木材の実用化試験」

[back]


間伐材の有効利用を目的として、実大寸法の木材を圧縮成形する装置を開発した。
この装置を用いて直径14cm長さ2mの間伐材を一辺11cmの角材に成形した。また、数本の小径間伐材を集合させ新しい集成材の製造を行った。
木材圧縮成形は、高圧水蒸気中で油圧プレスにより圧縮成形できるようにしたものである。
木材を120ー150℃の飽和水蒸気により20ー60分軟化処理を行い木材内部温度を約80℃以上に上昇させ6本のプレス機でゆっくり圧縮させさらに180ー200℃の高温の水蒸気を20ー30分間導入して固定処理を行った。

「地球がよみがえる」

[back]


革新的な汚染修復技術
近年、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど揮発性有機塩素化合物による地層、地下水汚染が全国的に広がっていることが明らかになってきた。また、石油系炭化水素による汚染、不法投棄による汚染など見つかり地下環境の汚染が深刻な社会問題となっている。
我が国における地層、地下水汚染対策は始まったばかりで限られた技術が実用化されているにすぎない。
米国では、革新的な汚染修復技術が開発されている。
汚染土の掘削除去、掘削して汚染土の焼却処理、セメントによる固形化技術など既存技術が採用されているが近年、”革新的な汚染修復技術”が既存技術を上回っている。
革新技術の中で注目すべきものが二つある。

である。
バイオレメディエーションの特性

トリクロロエチレン等による汚染土壌と汚染地下水の浄化
細菌による六価クロムの処理
PCBの微生物分解

「地球温暖化の対策技術」

[back]


CO2の排出抑制技術
化石燃料を燃焼すれば、燃料中に含まれる炭素の量に応じたCO2が大気環境中に排出される。発生源での対策として、

  1. 燃料の使用量そのものを削減すること
  2. 炭素含有量の少ない燃料を使用すること
  3. バイオマス燃料を使用すること

が考えられる。
エネルギー利用効率の改善
熱力学の第一法則のエネルギー保存の法則でエネルギーの総和は減らないことから、得られたエネルギーを有効に使用する方法が行われている。(コンバインドサイクル)
たとえば、燃料をガスタービンで燃焼してエネルギーを取り出し、その排ガスで蒸気を発生させさらにエネルギーを取り出す方法である。
排熱を自家発設備として利用され、ホテル、病院などで給湯、冷暖房に利用されている。
低炭素燃料への転換
天然ガス(H/C比が大きい)がCO2の低減になり、LPGとして幅広く利用されている。
また、石炭のガス化により熱効率を上げる方式が取られている。
バイオマスの利用
バイオマスの中でもっともエネルギー密度が高いのが森林である。(CO2の年間固定量270億t)平均的な森林のCO2固定化能力は年間14ー17t/haであるから我が国で発生するCO2は8.8億tに対し、森林での固定化は約5億tに過ぎない。発生量が固定量を上回っていることになる。地球規模環境問題に対する配慮が強く望まれている。
バイオマスは、炭酸同化作用により大気中のCO2を固定するためバイオマスを燃焼などによりエネルギー交換しても正味のCO2量は変化しない。
バイオマスはCO2の増加を抑制するうえで期待度がきわめて大きい。
バイオマス・・・木材など木質系のガス化、バイオマスを原料とするエタノール発酵等

「リサイクル技術百科」

[back]


米国における廃棄物減量とリサイクルへの取り組み状況

排出量の削減とリサイクルは、廃棄物対策という車の両輪であるといえる。
米国では各州ごとに排出量削減、リサイクルのためのさまざまなプログラムが制度化されており、具体的な減量目標を設定したうえリサイクルが困難な物質については投棄の禁止や、場合によっては使用制限などの制約を課し、リサイクル可能な物質については公的な補助も含めてその推進を図るというのが典型的なアプローチ方法であろう。
主要素材のリサイクル状況

米国における都市固定廃棄物(MSW)の組成において紙、庭ごみ、金属、プラスチックが重量ベースで90%近くを占めている。

  1. 紙・・・紙パルプの原料としてよりも廃棄物処理の必要性から回収が進められている。回収システムは、カーブサイドコレクションに加え、排出者からの直接回収や新聞古紙回収を目的とするドロップオフセンターの設置(教会、学校等)、バイバックセンター(買い戻し)と呼ばれる民間ディーラー網があげられる。
  2. アルミ・・・アルミ空缶の回収は、カーブサイドコレクションの他ボランタリ方式、デポジット制度によって推進されている。
  3. エネルギー回収の状況・・・プラスチックのように素材として再利用することが困難な廃棄物については焼却によるエネルギー回収の方法が探られている。しかし、燃焼に伴って発生するダイオキシンや酸性ガスの処理問題などは完全に解決されていない。

ドイツにおけるリサイクルの動向

規制の概要
「包装廃棄物回避のための政令」を公布、家庭廃棄物と産業廃棄物の1/3を占める包装廃棄物のリサイクルに取り組み始めた。その基本は、製造業者及び販売業者に使用済の包装材を引き取り再使用または、再利用する義務を負わせるものである。
回収システム「デュアル・システム・ドイチュランド(DSD)」
DSDは、スーパー、食品、飲料、洗剤などの消費者メーカー、包装産業、原料メーカーなど400社が参加し、出資し、その処理会社に再生を委託するものである。

地球と人にやさしい廃油処理
バクテリアを使って廃油を水と二酸化炭素に分解し、同時に廃油から発生する悪臭を除去する方法が、河川や海の自然環境保護及び作業環境の向上面から大手企業を中心に普及している。
日清工業は、従来人手で行ってきたバクテリアの活性化、バクテリアの投入をすべて自動で行うバクテリア自動活性投入装置を開発、販売を開始した(アクティブ・ワン)。
使用するバクテリアは、米国サイブロンケミカルズ社によって供給されるもので米国農務省から合衆国食肉工場の排水処理剤用のバクテリア・酵素製剤として許可されているもの。
アクティブ・ワンの主な特徴

  1. バクテリアの自動投入、活性、攪拌時間などバクテリアの種類に応じた最適条件で活性化できるため最高の効率で廃油を分解し、悪臭を除去する。
  2. 投入し忘れ防止や省力化が図れる。
  3. バクテリア購入コストを削減できる。

PETボトルを再生シートに
キリンビールは、再生PETボトルの使用を開始した。飲料、容器業界では、環境保護の一環としてPETボトルを再生するために25社が共同出資で再生処理会社ウィズペットボトルリサイクルを設立している。実用化したのは、PETボトルの再生品のPETシート。成形する際の温度など条件設定を最適化することにより変形や歪みを防いだ。歳暮用ギフトセットの詰め合わせの中敷きと缶6缶を束ねる容器に採用した。

塩素を含むプラ廃材の油化技術
東芝は、塩素系熱可塑性プラスチックを燃料油として再資源化できる技術を開発。これによりプラスチック全体の約80%を占める熱可塑性プラスチックを燃料油として再資源化することが可能になる。技術は、

  1. 破砕したプラスチックに高濃度アルカリ水溶液と水を加え、加熱し分解ガスを発生させその分解ガスを冷やし、油水分離器で生成油を発生させる「高濃度アルカリ水溶液添加法」を用いる。
  2. 加圧・熱分離法・・ガソリンより重油質な油を400ー500℃で熱し、加圧を加えることにより良質な生成油を発生させる。

の方法を使用している。

フェロニッケルスラグをコンクリート細骨材に
太平洋金属は、フェロニッケル精練の副産物であるスラグをコンクリート用の細骨材向けに用途開発した。高圧下でスラグを冷却してつぶし球状にすることで流動性を高めた。このため、セメントに加える水が少なくてすみ強度が向上する。

紙ごみからの乾式パルプモールド
都市ごみの40ー45%は紙ごみといわれ、全国で発生する都市ごみ年間5000万tのうち少なくとも2000万tは紙ごみである。ところが古紙は供給過剰状態にあり、古紙及び紙ごみの新しい需要開発が望まれている。
今回古紙全般及び紙ごみまでも原料として使用できる安くて強い乾式パルプモールド(DMPM)法を開発した。これにより従来の発泡スチロールのパッキン材や湿式パルプモールドに代わるべき完全に生分解性の材料が生まれた。
利用分野は、

DMPMとは、
パルプモールド法とは、古紙を水に溶かして、これを金網付きの金型で吸い上げて水をきり、残りの水分は熱を加えて乾燥する方法である。この方法は数々の欠点があり、コストが高くつくため現在まであまり使用されていない。DMPMでは、大量の水を使用せず粉砕した古紙をでん粉糊とともに金型面に吹き付け、金型を閉じて加熱し、金型内で紙を固化成形する方法である。吹き付けノズルは、何個にも分け金型の各部に必要な量を数秒で吹き付けすぐに金型閉鎖し加圧加熱する。産業技術研究所・中村謙一
回収紙・廃パルプから自動車用エタノール燃料
従来技術では、エタノールはでん粉または糖の醗酵で作られていたが原料のでん粉及び糖が高価であるため補助金などの措置がなければコスト的に車の燃料とはなり得なかった。今回の技術で、稲わら、回収紙、廃パルプのような廃棄物からエタノールが効率よく得られ補助金なしでもガソリンと対抗できるようになった。
セルロースは、最もよいエタノールの原料となるが経済的に実施できない技術的理由が2つある。

  1. セルロースの結晶構造が密であるために酸でも酵素でも加水分解を完全にすることが難しくかなりの部分が糖に分解されないで残ってしまう。
  2. セルロースを分解してできた糖が必ずしも全部エタノールに変換されない。
    通常、砂糖、ブドウ糖のような炭素原子6個からなる六炭糖はイーストを使った醗酵によって変換されるが炭素原子5個からなる五炭糖はエタノールに変換できない。植物界に存在するセルロースの30ー40%は五炭糖からできているので、少なくとも30ー40%はエタノールの変換できないことになる。
    近年、大腸菌の遺伝子組換えでセルロースを分解して、その構成する糖に分解するセルロース分解酵素と五炭糖をエタノールに変換する酵素を生産する新しい微生物を作り上げ2つの問題点を解決した。
    セルロースは、90ー95%の収率でエタノールに変換される。

「環境対策技術百科」

[back]


産業廃棄物燃焼排ガスの有効利用技術

可燃性の廃棄物は次の目的から焼却処理される。

  1. 減量化
  2. 減容化
  3. 無害安定化

焼却処理には、最終処分場の延命化や輸送効率アップ、腐敗防止、有害物質の熱分解、殺菌消毒などの効果があり、その焼却処理と同時に発生する熱を有効に利用するのが産業廃棄物燃焼排ガスの有効システムである。
可燃性廃棄物の発熱量は、種類によって2.09X106ー4.60X10^7J/kg程度の発熱量をもっている。この大きなエネルギーをもつ排ガスから熱を回収して有効に使うことで化石燃料の消費を減らしトータルとしてCO2排出量を削減することができる。
廃棄物性状の調査
発生する木質廃棄物の種類とその量は、

であり、木粉の割合が全体の約8割をしめている。木粉の比重は150kg/m3で輸送効率が悪い。
廃棄物の平均発熱量は1.61X10^7/kg(3,850kcal/kg)であるから重油換算すると一日当たり約
23000リットル分の発熱量となる。

「地球を考える」

[back]


酸性雨が進むと発症が予想される脳の病気

石油や石炭を使えば使うほど膨大な量の硫黄酸化物やNOxが大気中に放出され酸性雨の被害が世界中で発生している。
酸性雨は地殻からアルミニウムを溶出させる。土壌中のアルミニウムは無害であるが水に溶けたアルミニウムは強い毒性を持っていて植物の根を傷つけ森林を破壊し湖沼の魚を死滅させる。アルミニウムは、人に対してもアルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症のように非常に重篤な神経疾患を引き起こす可能性がある。

「紙のはなしU」

[back]


湿度に敏感な性質

木材単繊維の寸法は長さが約1ー3mmで幅が約20ー40μmである。
湿度による長さ変化のスケールは幅変化のそれよりも2桁小さく一般に木材パルプでは、相対湿度を0ー100%まで変えると長さ方向の伸び率は1%以下であるのに幅方向のそれは20ー30%にも達する。
繊維全体としての紙は、等方性でなく抄紙工程で異方性を持ってくる。これは、抄き網上で湿紙が形成される際、繊維の引っ張られ方が違ってくるからである。
また、乾燥工程も大きな要因である。繊維中にひずみを残しながら乾燥、すなわち繊維結合が行われるからそれがカールの原因となる。

「サブミクロン単位に解繊された天然繊維体及びその製造方法並びに製造装置」PatentD.B.

[back]


【要約】
【目的】 天然繊維系の廃棄物である故紙(セルロース繊維)やくず皮革(コラーゲン繊維)を有効に再利用する。
【構成】 天然繊維1重量部に対して、水又は油を10〜15倍量加えた混合物に、連続的に動力を加えて繊維集合体の分子やセグメント等の位 置移動を起こさせ、繊維構造をミクロフィブリルネ化させることにより、上記繊維の直径を 0.9μm以下に解繊してさらに最大膨潤させてなるサ ブミクロン化した天然繊維混合物の製造方法と、このような製造に用いる装置として商品名スーパーラインデルを用いること。また上記により、 直径 0.9μm以下に解繊された例えばセルロース、コラーゲン等の天然繊維1重量部に対して、水1.5〜2.2 倍又は鉱物油 1.7〜2.1 倍の重量 部を含み、さらに最大膨潤してなる天然繊維。

「人工土壌」Patent D.B.

[back]


【要約】
【目的】無機粒子と有機接着剤からなる、通気性、保水性共に良好な、植物の栽培に適した人工土壌を提供する。
【構成】無機粒子を有機接着剤で粒子同士を結合させて団粒を作り、この団粒の径を土壌に適した大きさに調製する。無機粒子の単粒体平均 粒子径が50μm以下で有機接着剤を2〜30%含有する団粒構造の人工土壌。
【効果】目的の人工土壌が得られ、特に現在産業廃棄物となっている製紙加工工程の塗料廃液を再利用して、安価で植物の栽培に良好な 人工土壌が得られた。

「畳床用のインシュレーションボードおよびその製法」PatentD.B.

[back]


【要約】
【目的】 産業廃棄物処理上の問題を解決しながら、使い勝手がよく再利用可能な畳床用インシュレーションボードおよびその製法を提供す る。
【構成】 ポリエチレン、不織布および紙パルプを主材とする生理製品クズを粉砕しこれに粘着剤を混入して解繊する第1工程と、製紙木質スラ ッジを解繊し、これに第1工程で得られた1次原料を混練りする第2工程と、第2工程で得られた2次原料を抄造、乾燥、加圧、切断する仕上げ 工程とからインシュレーションボードを製造するもので、ポリエチレン、不織布および紙パルプを主材とする生理製品クズの粉末と製紙木質スラ ッジとを主成分とし、粘着剤で粘着力を強化し、ボードに成形したものである。

「土壌改良,肥料用多層カプセル」Patent D.B.

[back]


【要約】
【目的】 廃棄処分に困るFRP廃棄物,生ゴミ,焼却灰等を有効な資源として再利用可能となる。又、涵養機能,緩衝機能を助長し環境修復 の支援に役立つカプセル状有機肥料が安価な製造コストで提供することができる。
【構成】 少なくとも以下の多層構造によってカプセル化した構造と成す。イ)FRP廃棄物を蒸し焼きにして多孔質の活性炭でコア芯1が形成さ れたこと。ロ)前記コア芯1の外周に、摺り潰すか或いは細片化した生ゴミにバインダ−が添加されて固められた養分補給用の内殻2を包囲さ せたこと。ハ)前記内殻2の周囲に、草木灰や紙穀物等の焼却灰から成る土壌改良用の外殻3を包囲し、更にその周囲にはデンプンやセルロ −ス液等のバインダ−が塗布されて外皮膜4を形成したこと。また内部に種子5を内包させたものと成しても良い。

「複合板材」Patent D.B.

[back]


【要約】
【目的】 床材・壁材・家具材等に供される板材を、廃タイヤ等の廃棄物を再利用して、低価格で提供する。
【構成】 表面材1と基材2とより複合板材Aを構成する。表面材1は、板状又はシート状のものであって、木,金属,合成樹脂,セラミック,布又 は紙などのうちから用途に応じて最適な材質が選択される。基材2は、多数のチップの集合体より形成され、その素材としては、ゴム・合成樹 脂・植物材のほか、木質のチップや、セラミックや金属の粉体又は破砕物が混合される。
【効果】 チップの原料として廃棄物を利用できるから低コスト化を図れる。表面材及び基材のチップの素材の種類を適当に選択することで、多 様な特性を付加することができる。

「木材廃棄物を原料とする絶縁材と運搬パレット用厚板の製造法」PatentD.B.

[back]


【要約】
【課題】 優れた断熱及び遮音品質を有する絶縁材及び、非常に優れた機械的強度を有するパレット用厚板の製造を可能にし、あらゆる出所の 木材廃棄物を原料とすることができる木材廃棄物を原料とする絶縁材と運搬パレット用厚板の製造法を提供する。
【解決手段】 木材廃棄物を原料とする絶縁材またはパレット用厚板の製造方法は、製材工場廃棄物、木材パレット再利用の廃棄物、製紙 工場から出た木材パルプ、あらゆる塊状化木材廃棄物やメラミン加工された木材廃棄物を含むスクラップ工場廃棄物を含む木材廃棄物ま たは木工副産物を粉砕した後に使用し、これらの木材廃棄物とセメント及び石膏を混ぜ合わせ、その混合物に水を加え、さらに、出来上がっ た混合物の鋳造と、短い時間を経過した後に完成品の型外しを行ない、絶縁材については、木材廃棄物が、混合物の中で、その体積のおよ そ60から80%の割合で、パレット用厚板については、30から60%の割合で使用される。

「石膏と飛灰を主原料とした焼成物及びその製造方法」PatentD.B.

[back]


【要約】
【課題】 従来廃棄物の再利用が困難であった石膏ボードと飛灰を組み合わせて新製品を創出し、再利用を促進するとともに埋立処分場の 削減をはかる。
【構成】 石膏ボードを粉砕して紙分を除去した石膏の粉粒体と飛灰とセメントの粉粒体混合物に、必要に応じてシリカを添加し、これに水を加 えて成形し、1200〜1300℃の温度範囲で焼成する。焼成物の硬さはセメント製品と同程度またはそれ以上であり、従来のセメント製品と同 様な用途に使用することができる。

「常磁性を付加された繊維及びその製造方法」PatentD.B.

[back]


【要約】
【目的】本来反磁性を有する繊維に常磁性機能を付加することにより、古紙などの廃棄物に新しい資源としての価値を与え、再利用を促進す ること。
【構成】鉄、ニッケル、コバルトまたはマンガンなどの磁性を有する金属イオンの1種類または2種類以上を含む塩の水溶液を、pH3以上10以 下になるように調整し、繊維を浸漬したものを電解液とする。この電解液に、アルミニウムと不溶性導電材料を一対の電極とする電解装置を設 置して、両電極間に交流またはパルス電流或いは脈流を通電すると、繊維の表面に上記磁性金属の塩が電気化学的に結合し、この結果繊 維に常磁性機能が付加される。

「廃棄プラスチック類の単一物またはその複数混合物の再利用方法」Patent D.B.

[back]


【要約】
【目的】廃棄物となったプラスチック類の焼却処分によって発生する公害・埋め立て処分による土地確保等の問題点を解決し、同時に、建設廃 材を含む木くず、焼却灰、汚泥、鉱さい、ガラスくず、陶器くず、紙くず、車のシュレッダーダスト等の再生・再利用の方法を提供する。
【構成】廃棄プラスチック類を原材料にしてボード状の床材または舗装材を中心とした製品をつくる。また、建設廃材を含む木くず、焼却灰、汚 泥、鉱さい、ガラスくず、陶器くず、紙くず、車のシュレッダーダスト等を混合した製品をつくる。