「科学技術は地球を救えるか」

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植物の環境への対応
環境への対応
植物は環境の変化を敏感に感じ取り適応戦略を立ててきているが、土壌が不完全な場合より良い環境をつくりだそうと自ら積極的に努力する。二価の鉄が欠乏している土壌ではムギ根酸と呼ばれるキレート剤を根から分泌し、鉄を植物が吸収しやすい形にする。酸性土壌では、土壌中のアルミニウムが活性化されることによる害が心配される。アルミニウムについては、酸性土壌でも育成する植物は、根からクエン酸を分泌しアルミニウムと結合させ、植物が吸収しにくい状態で土壌に留めておくことにより、自身への害を減らしている。
環境浄化能
植物が有毒ガスを浄化しているという実験結果がある。一般の家庭内では350種類ほどの有機ガスが検出されたため、どのようなガスがどのような物質から放出され人体にどんな影響を与えるかの検討が行われた。その結果 、これら空気汚染源は、ペンキ、接着剤、インクなど生活に密着した物質であることがわかった。また、新築建材として使われている合成樹脂・塗料などからは、微量 ではあるが、ホルムアルデヒド、ベンゼン、トリクロルエチレンなどの有毒ガスが少しづつ室内に放出されている。そのため、頭痛、だるさ、目や皮膚のかゆみ、呼吸気管や内臓疾患などが引き起こされると報告している。EPA(米国環境保護局)によると、室内空気は外気の2ー5倍は汚染されておりこれらの複合有機ガスにより、皮膚、内臓疾患のみならずガンも誘発されると警告している。
NASAが行った実験で「室内の微量有毒ガスを除去するためには植物が有効である」と報告した。彼らは代表的な有毒ガス、ベンゼン、トリクロルエチレン、ホルムアルデヒドが植物によってどのくらい除去されるか調べた。我々に身近なゴールデンポトスの場合は、約2時間で箱の中のトリクロルエチレン、ベンゼンの濃度が激減しほぼ0になった。また、植物を育成している活性土壌及び土壌微生物が存在すると、さらに強い浄化作用が発揮されることがわかった。有毒ガスはまず、活性土壌により吸収され、その次に根の周りの微生物が分解し、植物の根が栄養として吸収する。そのため、植物系は有毒ガスの吸収能を保ち続けることができる。このような植物の「空気浄化能」は室外でも発揮される。国立環境研の調査結果 では植物による大気浄化能は高く樹林があると風下1.5km離れた地点まで大気汚染物質が減少すると報告されている。

 


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