昭和15年、高雄小学校校庭。完成間もない皇紀2600年記念塔(左)と奉安殿(後藤富夫さん提供) |
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●扶桑町立 高雄小
皇紀2600年にあたる昭和15年、現在の扶桑町立高雄小学校の校庭に節目の年を祝う記念塔と、天皇の写真(御真影)や教育勅語謄本を収納する奉安殿が完成しました。「皇紀」とは日本書紀の神話に基づく日本の紀元で、神武天皇即位の年(西暦紀元前660年に当たる)が元年。明治5年に定められ、戦前まで小学校の歴史教科書はすべて「皇紀」が使われていました。完成したピラミッド型の記念塔は同校同窓会の寄贈によるもので、高さ4m39cm。塔の中には100年後の子孫に伝え、永遠に記念とする品として、当時の教科書、新聞、図書、校下の地図や家庭、産業状況、風俗、習慣、皇紀2600年を迎えた感想文などが収められました。奉安殿は地元2人の寄贈によって建立。建設には校区住民が組ごとに日を決めて勤労奉仕に駆り出され、当時3年生だった後藤富夫さん(74)=高雄=が「木曽川から玉石を運んだ」というように児童も協力しました。敗戦後、軍国主義の建物は撤去するようにとの指命で、同21年に記念塔、奉安殿ともに取り壊され、穴を掘って埋め立てられ、収蔵品の一部も焼却処分されました。その後同40年、同窓会により記念塔復興委員会が結成され、5年がかりで現在の南門近くに復元。塔に収められた戦前戦後の貴重な資料は西暦2040(皇紀2700)年に開扉されることになっています。奉安殿の屋根は、高雄南屋敷にある覚王寺に売却され、井戸屋形として今もその姿を残しています。現在、記念塔と奉安殿があったところには樹齢約30年になるクスノキとサクラが大きく成長し、真夏には児童らの休息の場所になっています。
※次回は8月19日掲載。 |