大補修に6年の歳月 ・・・180527掲載
農業用水取水施設 「犬山頭首工」
●洪水時の安全確保と安定した取水が可能に
濃尾平野の水田、畑を潤すために、木曽川の水をせき止めて用水路に取り入れる施設「犬山頭首工」の補修工事が、6年の歳月をかけて5月末で終了します。

新設された管理歩道橋
大水が出た時、最後に開かれる水門と、つり上げ式に改修された舟通しを指差す市橋犬山支所長工事がほぼ完了した犬山頭首工 ●築40年が経過
犬山頭首工は濃尾用水(宮田用水、木津用水、羽島用水)の安定した取水ができるようにするため、昭和32年度に国営かんがい排水事業として着工。同38年度までに堰(せき)の長さ420メートルの頭首工が築造され、同43年度までに3用水合わせて総延長43キロの新設、改良工事が完成。以来40年近く、毎秒51立方メートルの最大取水量で、濃尾地方に水の安定供給を行ってきました。しかし、たび重なる洪水などによってその機能が低下。昭和49〜54年度にも補強工事が行われましたが、災害の危険性が増してきたことから、平成12年度より頭首工本体の大がかりな補修工事に着手。河川内の工事は洪水の危険が少ない非出水期(10月〜翌年5月)に岐阜県側から進められました。主な工事はゲート(水門)の取り替え、表面コンクリートの補修、護床ブロックの設置、魚道の補修(左岸側)と新設(右岸側)、舟通しの改修、管理歩道橋(全長422メートル)の設置など。平成16年10月20日に襲来した台風23号による大洪水では、仮設資材が流されるなど大きなアクシデントも。現場を管理する農林水産省東海農政局新濃尾農地防災事業所の市橋村和犬山支所長は「頭首工本体の完成で、木曽川の洪水時の安全が保たれることになります」。
この事業は平成26年度まで計画されている新濃尾農地防災事業の一環。今後は農業用水の水質を改善するため、木津用水路、宮田導水路、羽島用水路の改修と、洪水被害を防ぐために一宮市などを流れる大江排水路の改修などが行われます。犬山市、扶桑町、大口町などを流れる木津用水路の改修はことし秋から実施。同事業所の渡邊俊介調査設計課長は「農業用水と排水を分離することで農業用水の水質改善を図ります。用水はパイプライン化しないことで身近に感じてほしい」と話しています。
●濃尾用水が百選に
農林水産省が農業のための用水をテーマとして昨年末まで投票を受け付けていた「疏(そ)水百選」に濃尾用水(犬山頭首工、宮田用水)が選ばれました。インターネット、ファックス、はがきで投票が行われた結果、濃尾用水は2158票を獲得、全国18位、県1位でした。
詳しくはホームページで。http://www.inakajin.or.jp/sosui/

 畑灌の歴史を紹介
●江南郷土史研究会
昭和49年、夏の干ばつに悩まされていた江南市と扶桑町の農地に、畑地かんがいができるまでの歴史を紹介する企画展「木曽川畑灌(はたかん)物語と犬山頭首工(ダム)」が、6月2日午後から4日まで、江南市民文化会館2階第2会議室で行われます。同市文化協会が主催する「第34回文化祭」の中で、江南郷土史研究会が写真と地図を使って紹介するものです。昭和28年、当時の農業改良普及員と土地改良組合長が、地下60メートルから汲み上げた水を使って陸稲の実験耕作を実施。まもなく木曽川の水を利用した畑地かんがい計画が浮上し、昭和38年に扶桑揚水機場、江南揚水機場が建設され、その後配管工事が進められ、昭和49年に送水が開始されました。同研究会の須賀弘之会長は「現在、空気のように水を使っていますが、約半世紀前の先人の努力があったことを知ってほしい」と話しています。

 郷土の武将、堀尾吉晴のいとこ 金助とその母 供養祭
●堀尾史蹟顕彰会(大口)
大口町の出身で、慶長5(1600)年に出雲、壱岐両国23万5000石の松江初代城主となった堀尾吉晴といとこに当たり18歳で戦病死した堀尾金助、息子と最後に別れた裁断橋を人々のために2度も架け替えたその母の供養祭が14日、同町の桂林寺供養塔前で行われました=写真。供養祭は、同町堀尾史蹟顕彰会(前田道孝会長)の主催で毎年行われているもので、会員ら約70人が参加しました。同町には、吉晴や金助母子の史蹟が多く残されており、同町の福玉精穀倉庫(株)会長の社本宮明さんがライフワークとして、同会の初代会長で設立者の父、故鋭郎さんと兄の3代にわたり史蹟を守り続けているとのことです。
吉晴は、NHKで放送中の「功名が辻」の主人公・山内一豊の親友とも伝えられており、同会の今枝達夫事務局長は「こういった名のある人の史蹟があることを、多くの人に知ってもらいたい」と話しています。供養祭終了後、同町の豊田学習等共用施設で円空学会理事長の長谷川公茂さんを迎え「堀尾金助の母について」と題した記念講演会や、同会の総代会が開かれました。

 
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