●忍び込み発生率 犬山署管内が県下ワースト1
江南・犬山両警察署はこのほど、昨年1年間に管内で発生した犯罪状況について発表しました。江南署管内(江南・岩倉・大口)は前年比14%増の5127件、犬山署管内(犬山・扶桑)は33%増の2832件と、過去最悪の結果に。犬山署管内は人口1万人あたりの忍び込み発生率において、水上・空港両警察署を除いた県内の全警察44署中ワースト1と、急速な治安の悪化が懸念されます。犯罪種別では両署ともに、侵入盗(空き巣や忍び込みなど)と自動車盗の増加が顕著ですが、その内容には若干の違いがあります。 |
江南・犬山両署管内の犯罪発生件数 |
. |
江 南 署 管 内 |
. |
犬 山 署 管 内 |
H15年 |
H14年 |
増 減 |
H15年 |
H14年 |
増 減 |
全 体 |
5127 |
4488 |
+639 |
全 体 |
2832 |
2125 |
+707 |
江南市 |
2811 |
2381 |
+430 |
犬山市 |
1898 |
1521 |
+377 |
大口町 |
738 |
535 |
+203 |
扶桑町 |
934 |
604 |
+330 |
お も な 犯 罪 件 数 |
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江 南 署 管 内 |
犬 山 署 管 内 |
江南市 |
大口町 |
犬山市 |
扶桑町 |
車上ねらい |
440(-87) |
107(土0) |
325(+11) |
141(+12) |
空 き 巣 |
162(+54) |
41(+5) |
134(+26) |
49(+11) |
忍 び 込 み |
84(+24) |
17(+2) |
72(+17) |
52(+17) |
自 動 車 盗 |
105(+42) |
33(+17) |
80(+46) |
17(+11) |
オートバイ盗 |
64(-24) |
15(+1) |
42(+4) |
26(+16) |
自 転 車 盗 |
458(-43) |
65(+10) |
203(+37) |
150+(57) |
部 品 盗 |
175(+72) |
49(+19) |
105(+25) |
34(+21) |
自販機荒らし |
205(-92) |
52(-23) |
135(-62) |
56(-27) |
強 盗 |
2 (-5) |
2 (+1) |
8 (+6) |
1 (+1) |
ひったくり |
63(-15) |
7 (-4) |
16(-11) |
21(+5) |
恐 喝 |
27 (+1) |
7(土0) |
9 (+5) |
4 (-3) |
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江南署管内の侵入盗は前年比33%増の752件で、江南市が54%増の458件、大口町が17%増の111件でしたが、岩倉市はわずか6%増の183件。侵入盗を含む窃盗全体でも江南・大口が共にその数を大きく増やす中、岩倉は13%も減少しており、自警団の結成など市内全域で防犯活動に取り組んでいる成果ではないかということです。
犬山署管内の侵入盗は前年比29%増の316件で、犬山市が25%増の213件、扶桑町が39%増の103件。駅周辺や旧41号線、県道一宮犬山線などの幹線道路周辺での発生が目立ちます。両管内とも、忍び込みなどの3分の1は無施錠の裏口や窓からの侵入で、少しの間でも鍵を掛けるなど、日ごろからの注意が大切と呼び掛けます。 |
●県下の自動車盗最悪
県下で31%増の22万5000件、大阪府を抜いて全国ワースト1となった自動車盗は、名古屋地区が14%増の4067件、三河地区が53%増の1719件に対し、尾張地区は45%増の4019件。被害も高級車に限らず、大衆車にまで及んでいます。盗まれた車の3分の1はキーを付けたままで、ホテルや大型店など人が多く集まる場所での盗難も多い犬山署管内に対し江南署管内では、8割以上が夜間に鍵を掛けた状態で盗まれています。夜間照明や監視カメラなどの駐車場対策やハンドルロック器具、車の移動を関知するセキュリティーシステムなど、外部から見て分かる装置が有効だということです。
●周辺へ広がる犯罪の傾向
ひったくりやオートバイ盗などの減少により、全国での犯罪件数は8年ぶりに前年を下回りましたが、「周辺へ周辺へ」そして「弱いところへ」広がるという犯罪。両署管内でも「自分の家・地域は自分たちの手で守ろう」と、住民パトロールや防犯ポスターの作成など、地区を挙げて防犯活動に取り組むところが増え、確実に成果を上げてきています。両署ではこの活動が管内全域に広がるよう、住民や行政との協力を進めていきたいと話しています。
不審者から子どもを守ろう!! |
父母らは「パトロール中」のプレートで防犯活動 |
「パトロール中」と書かれたプレートを手にする原好恵PTA会長と笛を持つ女子生徒 |
●南部中生(犬山) 胸ポケットに笛を携帯
不審者から生徒を守ろうと、犬山市の南部中学校(滝誠校長、456人)は父母だけでなく地域の人々とも手を携え、地域の安全確保のために動き出しました。2学期の始業式早々、登校中の女子生徒に道を尋ね、よく分からないからナビゲーションを見ながら説明してほしいと車に誘い込もうとした男。次の日には、やはり登校中の女子生徒のスカートの中を、歩道橋の上ですれ違いざまに携帯電話のカメラで撮ろうとした男と、続けざまに不審者が出現。不審な男に追いかけられた男子生徒もあり、いずれも被害はなかったものの生徒が受けた心の傷は大きく、また校区外でも、地区を限らず子どもたちをねらった事件が発生しています。そこで同校はPTA役員(原好恵会長)と相談し「生徒全員に笛を配布する」「パトロールプレート(11cm×30cm)を作って、父母や職員の車などに張り、地域で警戒していることをアピールする」ことを決めました。同時に、この状況を知らせるチラシを作り、回覧を通じて地域の人たちに協力と理解を呼び掛けたところ、早速プレートを張りたいという申し出があったそうです。「思春期の子どもたちが笛を持ってくれるだろうか、初めは心配でした」と話す原会長。しかし、心配は杞憂に終わり、ほとんどの生徒が胸ポケットに笛を携帯。 |
再び車のナビゲーションを見ながら道を案内してほしいと言う男が現れた時も、相手にしないでいると男が車を降りてきたため笛を吹き、追い払うことができました。「笛を吹くにも勇気がいります。地域の人たちが理解していてくれるという安心感が、子どもたちに笛を吹く勇気を与えてくれるのです」と感謝する滝校長。中学生と地域とのコミュニケーションがますます深まり、生徒や地域の安全につながるよう、今後も地道な活動が続きます。 |
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