映画「ブラック・ジャック ふたりの黒い医者」を観ての対談パート1
〜同人夫婦の手塚アニメ対談シリーズ〜

(ひ)=服部弘キ(夫)、(お)=おみなへし(妻)です



ひ=服部弘キ(夫) お=おみなへし(妻)でお送りします

(お)さて、遅くなりましたが、対談しましょう。

(ひ)今回は公開初日にシネコンに観に行きましたが、さすが有名作品だけあって、わりとお客さん入ってました。30人もいたでしょうか。

(お)えーでもシネコンで一番小さい部屋だったしィ〜

(ひ)メトロポリスやぼくのそんごくうの事を思えば…数倍入っていますよ。あの時は両手に余ったし。

(お)しあ〜わせを〜あわわ。公開初日の最初の上映に気合を入れて行こうと思ってたのに寝坊して、2回目の上映を観る事になったんですよね。それでも時間が無くてパンフレットは後回しにして入場しました。

(ひ)まあ前回のブラック・ジャックの劇場版では、松竹のプロデューサーの首が飛びましたが、今度の東宝版は大丈夫そうですね。

(お)やっぱりTVアニメ放送しているだけあって、お子様から大人までメジャーな存在なんでしょうか、ブラツク・ジャックは。

(ひ)まあ、出崎・杉野版は原作まるで無視だったからねぇ。

(お)その点、今回は原作ファンも納得(?)のお話だったねぇ。じゃ、そろそろお話に入って行こうか。

(ひ)まず最初に、ピノコの話を持ってきたのは結果的に正解でしたね。順序が逆だと印象が変わったかも。

(お)うん、あんな短い話だとは思わなんだ。でも、ズーミン見つけられて私は嬉しい。

(ひ)私は細かなキャラはほとんど分かりませんでしたが、やっぱりこの物語のキモは、ユニコでしょう。誰の趣味なんだか。

(お)まあまあ。でも、このお話、もう絵本発売されてましたよ。本屋で見てびっくりしました。

(ひ)個人的には、あの世界感とピノコとが私の中でつながらないので、しっくりきませんでしたが。B・Jは一応普通の現代劇だけど、あの映画は丸々ファンタジーだったし。それよりなにより、あれだけ動き回ってパンツも見えないのは何事かと、金返せ、と。

(お)あー言うと思いましたよ私。いいじゃんねぇ。あれだけガードが固いとわざとらしすぎる感じがするよ。自然じゃないし。

(ひ)原作じゃ生まれたまんまの姿(内臓)まで見せてくれたのに。

(お)内臓フェチかい!というか、今回のB・Jの映画、出るとは思っていたけれど、TV版みたいに変に隠さずにそのまま出てたよね。

(ひ)昔、北斗の拳の劇場版では血ィ出まくりでしたたよね。

(お)何だろなぁ。アニメのフィクションの世界での血ってリアリティが無いから、普通に見えるのに、TVじゃなんで放送しちゃ駄目なんだろうね。いろいろと。

(ひ)何ででしょうね。私なんかTVの中なら食前食後に血を見てもかまわないのに。

(お)そうすると、不快に思う人がするからの配慮なんでしょかねぇ。TVの規制はキツくなるばっかりや。ところでそろそろ内容に入って行きますが。

(ひ)まあー一番最初に感じたのは「頭身が低くて良い感じ」GJ(グッジョブ)

(お)前の劇場版はOVAの延長で、今回の劇場版はTVアニメの延長って感じですね。

(ひ)TV版の構成は、ほとんど原作のままですが、今回の劇場版では、原作のエピソードを多少変形させながら盛り込んでいるので、原作ファンは大喜びですね。

(お)いくつ原作のエピソードが使われたかと、つい数えちゃいましたよ。

(ひ)まず最初の鉄骨に挟まれる男の子、原作ではトラックの積荷が落ちてきたんですけど、今回は崩壊寸前のビルでした。特に違和感なく、上手くエピソード使ってますね。

(お)あのつかみは上手いと思いました、B・J観てない人にも、B・Jの決断力とか患者を救おうとする気持ちが話の最初に提示されて、まず、こういう人なんだと分からせるのに充分だった感じがします。

(ひ)だいたい、OVAから前回の劇場版までは、B・Jはほとんど奇跡のメスを振るってないんですよね。なんだか手術だけ見れば、負け犬医者でしたよ。

(お)そういえば。そういう点では世界観が丁寧に描かれている訳ですね。

(ひ)手塚先生の漫画は、基本的に記号論なので、変なリアリティを追求するよりも「ここに名医がいます」で、奇跡のメスて何とかします、という大前提は疑う事無くストーリーを追っていかねばならないのです。こんな医者いねーよって思う人は読まないように。
(お)なるほど。

(ひ)見方によっては、B・Jもフィクションですから。

(お)あーそうか。そうだよねぇ。で、兄妹のお母さんが大怪我して…というシーンになり、お、キリコか?とワクワクした訳ですが。

(ひ)あの辺もエピソードの組み合わせが自然で良いですよねぇ。

(お)キリコマシーン、ぴかぴか光ってたねぇ。えらい旧式っぽかった。もっと今風のメカメカしいデジタルな感じになるかと思ってたのにね。安楽死はやっぱりTV的にまずいのでTVにはキリコは出せないのでしょうか。

(ひ)そうかもしれません。そうだとすると、次にキリコに会えるのは、また劇場版という事になりますが、エピソードの数からいって、あんまり沢山は作られなさそうですね。

(お)私はユリさんが見たいのですが…なかなか無理っぽいですね。

(ひ)TVでは無理でも、劇場版ならヒモパンくらいはいてくれそう。

(お)ああ、こんな処が今風に、ってか?(ヒドイ)

(ひ)あとちょっと繋ぎが悪いですが、メス砥ぐエピソード、作画も原作っぽく、GJ
(お)あの憑二斉が、手にメスを持って仕上げを確認する原作そのままのシーンには感動しましたよ。

(ひ)ちゃんとヒョウタンもやったし。

(お)でも琵琶丸の蜂はやりませんでしたよ。

(ひ)どっか蜂の差別を無くそうとかいう団体でもあって、講義されたのでは。

(お)ありうる…で、そののち倒れて、B・Jが開胸して心臓マッサーしたのですが、やっぱりその辺りは微妙に隠されてましたね。でも、琵琶丸の「手ごたえあり」観れてよかったです。

(ひ)プスッ、「働きアリ」

(お)ダジャレかい!(ツッコミ)で、B・Jの家に依頼者が来る訳ですが、すっかり騙されましたよ、私。

(ひ)女装する必然性があるのか?と思いますが。ところでちゃんと下着も女物だったんでしょうか。

(お)違うかなぁ。あのまんま島へ行っちゃうしね。彼女に見られたらどう思うやろ?

(ひ)ところで、ピノコが作ったスープカレーですが、てっきり発信機が入っていると思ってたのに、ハズしました。

(お)私はピノコ人形の、バッテンのバンソウコウに秘密があるんじゃないかとにらんでましたが、なんにもないんでやんの。

(ひ)実際に持っていった発信機は、あまりにもベタベタな格好をしてるし、もうちょっとやりようがあったような気もするかと。

(お)あれじゃバレるよね。

(ひ)玄人が使う発信機なら、目立たずしかもある一定時間おきに電波を発信するようなのを使います、いつも電波が出てると相手に感づかれるおそれがあるからです。

(お)ほう。でも原作にはカバンに発信機仕込んでいるというエピソードは無かったよね、確か。

(ひ)まあ、B・Jみたいな犯罪者を助けに来てくれる人なんていないんだから、意味無いよね。発信機なんかあっても。

(お)アニメはその点、仲間がいるからねぇ。

(ひ)スリの。

(お)元・スリだよ。

(ひ)あのスリは、そののち隠したガソリンのありかを思い出すんでしょ?

(お)私は、喫茶店潰して私立探偵になると思いますけど。

(ひ)で、本編に戻ると、キリコの出てくる別のエピソードの変形になるわけですが、もともと原作では何でしたか?

(お)「恐怖菌」だったよ。あれはもともと、放射能漏れした原子力船の乗組員を治すという話だったよね。書き直されて「恐怖菌」になったわけで。

(ひ)話の内容は忘れましたが、キリコのマフラーが原作どおりでイカス。

(お)もう、おしゃれさん〜。B・Jは着たきりスズメなのにね〜。

(ひ)確か、制作順ではマフラー付きの方が早かったのではなかったでしたか?

(お)そうです、あれが本当は初登場だったかと。

(ひ)まあここだけの話ですが、イカロス島でのこのあたりの話はちょっとダレてて、私はあんまり面白くありませんでした。

(お)うん、何か話が原作にないオリジナルなので、あれよあれよと進んでします、昔の話も入ったりして少し混乱してしまいましたよ。

(ひ)後から思えば、伏線が張ってあったりして、重要なくだりでしたが、何となく中だるみの感じがしました。

(お)最初に死んでしまうメンバーは、ピックでしたよね。何故ピックという名前にしたのか分かりませんが…

(ひ)ピックの名前をエンドロールで見て、他のメンバーも何かキャラの名前を使っているのかと思って探しましたが、パンフによるとピックだけなんですよね。いよいよ意味が分からない。

(お)で、サタンという細菌ですが、最近はハヤリですね、細菌テロは。あダジャレになっちゃった。

(ひ)CTUアルメイダ。ジャック、キムは無事です。

(お)まあ「24」はあっちに置いといて、B・Jがミドリを助けたいなら、大きい病院へ入れろ、と言うんですが、未知の細菌なのにそれで治るという保障はなさそうなのに大丈夫なんか、と心配してしまいました。

(ひ)まあ設備がととのっている方が助かる確立は高いんじゃないですか。輸血用の血液も無いみたいだし。

(お)で、B・Jが椅子に縛り付けられてるシーンですが。

(ひ)映画のCMで使われていたところですね。

(お)死にそうになってるB・Jが今まで死んだ患者さんの幻を見るのですが

(ひ)あれですね、兄妹が「先生、主治医なんだから、ママの面倒みてよ」といってあの世に引っ張って行くんですよね。

(お)それは違う話や!!結局、B・Jは生きていてキリコが逃がしてくれて、ミドリちゃんをバイクに乗せて逃げるのだけど、絶対に逃げられないと思ってましたよ、私。

(ひ)逃げ切ったら、話終わっちゃうし、まがりなりにも手塚作品なんだからもっと人が死んでもらわないと。

(お)で、アース様(ミスターグッドマン)登場ですが、化けの皮が剥がれて正体がゴアだと分かるのですが、いきなり体格が良くなるのはちょっと…と思いました。

(ひ)育ち盛りなんです。間違いない。


(続きます)