OREGON No.52 971210
 今日は、Japanese Language Elementary Magnet Programという難しそうなのを紹介します。
 まずはこの言葉が何を意味するか説明しましょう。簡単に言うならば、学校が「本校は日本語での授業を通して教育をしますので、興味ある方はどうぞ子供をここに入学させてください」と児童生徒を募集し、賛成する保護者は子供を入学させるということです。Magnetとあるのは、磁石のようにあちこちの校下から児童生徒を引きつけてくることを意味しています。(つまり、校下の枠が取り払われ、市内全体から子供たちは通学します)新しい試みとして1989年に始められ、今年が9年目になるそうです。
 今回訪問したのは、Richmond Schoolという学校です。児童数540名の学校でK−5(幼稚園から5年生まで)それぞれ2クラスずつあります。どのクラスも半日は英語の授業、半日は日本語の授業を行います。目的としては、若いうちに脳を刺激することで、いろいろな民族の視点から物が見れるようにすることがひとつ。そして、日本企業がオレゴン州にもいくつか進出しており、就職のために役立つことがひとつ。主にこの2点が目的と思われます。それに付け足すならば、先日のレポートにも書きましたが、第2第3の言語が求められていることもあるでしょう。
 実際の授業も見ることができました。間違えてはいけないのは、日本語を教えるのではなく、日本語で教えるということです。クラスにはいると、どの教科も本当に日本語でやりとりしています。挨拶も、発表も、つぶやきも、全て日本語です。何だか不気味に思えるほどです。あるクラスではしりとりをやりました。なかなか単語力もあり、我々日本人教師に十分対抗できるものでした。書道の時間もありました。言葉・文化ともに体当たりで学んでいくことは、理屈ではなく感覚的につかめて良いことのように思います。先生は、日本人の方もいらっしゃれば、アメリカの方もいらっしゃるようです。流ちょうな日本語でありながらも、児童にわかりやすく発音していらっしゃいました。こんなところにも配慮があるから児童はついていけるのだと思いました。
 最後に懇談で出てきた話題を書いておきます。
1,日本語で授業を行っているが、大切な内容は英語で理解できるようにし、学力面でも生活面でも問題のないようにしている。
2,教科書を使うと視野が狭くなるので使わず、教材を工夫して指導するようにしている。
3,専属のカウンセラーがいて、子供の精神的な面を支えている。
4,同学年を指導する、日本語担当の教師と英語担当の教師との連絡を密にとり、指導に生かしていけるようにしている。

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