OREGON No.51 971209
 今日は、Multicultural Educationについてレポートします。
 この言葉を直訳すると、「多文化的な教育」ということになります。アメリカはいろんな国が集まってできた国ですので、ここでは様々な言葉や文化が見られます。重要な意味がありますので、少し歴史をひもとく事にしましょう。
 もともとNative Americanがこの地に住んでいました。そこへ、大陸の北の方には学問と進行を目指してやってきた清教徒たちが、南の方には農民の人たちがヨーロッパ(イギリス)からやってきました。アイルランド人やイタリア人は大陸の東の方へやってきました。また、多くのアフリカの人たちや、中国の人がそれぞれ東海岸・西海岸へ奴隷として連れてこられました。今では、多くのメキシコの人たちが南の方からアメリカへやってきています。こんな背景から、アメリカの各地域での、人種や言葉の違いが現在見られるわけです。たまたま、英語を話す人たちが多くいたことから「アメリカ=英語の国」となっているだけのことなのです。
 現在アメリカでは、学校や社会において350の言葉が使われていると言われます。2020年には1/3が白人でなくなり1/5が英語が話せない状況になるのではないかと言う予測もされています。多くの移民の人たちを受け入れ、その子供たちが学校に来るとなると、学校も今までのようにはいきません。そこで今、言われているのがMulticultural Educationなのです。実際の取り組みはもちろんのこと、法律上でも国際的に対応できる姿勢づくりと言えるでしょう。
 学校現場での指導の実際は、英語をSecond Languageとする子たちへの英語の指導、それぞれの民族の良さを考え認めていけるような指導が中心のようです。(こうすることで文化習慣の保護にもなっていくようです。)たとえば、私がお世話になった学校では、国語(英語)力が十分でない子のためのクラスが作ってありました。また、アシスタントティーチャーが普通授業で言葉の面で援助することもあるようです。社会の授業では学習する地域の文化を体験する試みを入れたり、その国に関わりのある子の活躍の場にしたりということも見られました。こういう活動を通して、それぞれの民族の価値を認めていく姿は、まさにMulticultural Educationだと思いました。この成果として、民族・人種・肌の色などの違いに関係なく、国民が平等に教育を受けていけるようになることが期待されています。
 各学校では、一人一人の先生がMulticultural Educationを実践しておられます。教師になったら5年以内に、Multicultural Educationの講習を受けていることを証明しなければならないと言うことも聞きました。最後に、担当者(学校での責任者)の方に聞いたところ、次のように言われました。「子供たちは一生ここで過ごすわけではない。また、いつまでもこのままの学校の状態が続くわけでもない。我々は、自分のおかれた環境にあわせていける子を育てて行かねばならない。」

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