OREGON No.45 971201
 今日は、警察の巡査さん(以下「お巡りさん」)の授業について。
 日本で学校にお巡りさんが来て授業を行うことは、年に一回交通安全に関することくらいではないでしょうか。しかし、ここYamhill Grade Schoolでは1年生から5年生まで各クラス週に一回、お巡りさんが来て授業を行っています。年間に17回の講義があって、内容は交通安全ではありません。(この地域は交通量も少なく、比較的ドライバーの交通マナーはよいです。自動車は学校の近辺は時速30km以下にして走っていますし歩行者を見ると必ず止まりますので、家庭の指導が中心のようです。)指導の中心はD.A.R.E.(Drug Abuse Resistance Education)といって、直訳するなら「ドラッグ悪用抵抗教育」とでもいうのでしょうか。ドラッグだけに関わらず、アルコール、トラブルの解決についても教育することが目的だそうです。
 このお巡りさんの授業を観ることができました。学年は4年生、今日の学習内容は「バイオレンスについて」です。児童は3人一組のグループを作って授業を受けています。授業の始まりは、O.H.P.で今日の学習に関わる言葉を映し出し、児童たちにイメージを与えることからでした。児童は、みんな集中して話を聞いています。お巡りさんの質問に対し、挙手して発言もしています。「スポーツ少年団やこのクラスとギャングとはどこが違うか?」というテーマが与えられ、数人がつぶやきました。グループで話し合う事になったのですが、そのやり方が工夫されています。テーマについて3人のうち2人が話し合いをします。それを残りの一人が観ていて助言したり記録したりするのです。(具体的な内容や話は理解できませんでしたが、「これは使える!」と思いました。)この授業では一人一人がテキストを持っています。自分の意見を書き込む部分があります。児童は、授業の終わりに、この活動を通して自分が考えたことや正しい知識をテキスト(ノート)に書き込んでいました。授業後にお巡りさんに話を聞いたところ、「Drugは、ここアメリカでは大きな問題として存在しているので、D.A.R.E.について指導できるのは警察だけだと言って見えました。」
 このシステムについて、先生数人に聞いてみました。全員から「未然に防止するために良いことだ」という返事が返ってきました。しかし、このシステムの内容には一人一人が自分の生き方について考えるという道徳に似たところもあります。日本の道徳の話を例にして、「日本ではD.A.R.E.も含め、全て教師(担任)が指導すると言っても良い」という内容を伝えると、「道徳は大切だ。そのやり方はこちらにも必要だね。」と、これまた全員が賛成していました。
 今、日本では地域や社会と連携した教育が始まっています。しかし、ここでのこの授業を観て次のように感じました。 「もし、学校現場での警察の指導が始まったならば、未然に防ぐというプラス思考ではある物の、子供たちや社会、日本の教育は危険な状態にあるのではないかと」

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