OREGON No.38 971123
 今回は、LRC(Special Educationの1つ)と言うクラスについてお話しします。
 LRCとはLearning Resource Centerの略で、Learning Disability(学習困難症)の児童生徒の能力をアップさせることが目的です。日本で言うなら、古くは読み書きそろばん、今では基礎基本の徹底をする場所と言えるでしょう。Yamhill Grade Schoolには3つのLRC教室があって、1年生〜3年生対象、4年生〜5年生対象、6年生〜8年生対象と分かれています。対象になるのは、授業についていけない児童生徒ですが、IQでいうなら70位から下だそうです。
 私は6年生〜8年生を担当していらっしゃるHeubergerさんのクラスを見ることができました。私がおじゃましたときには6年生5名が学習していました。6年生といえども、能力的には2〜3年生レベルだそうです。ちょうどWritingの最中で、児童たちは自分の絵本づくりをしていました。この絵本づくりは、@テーマの決定ABrain StormBアウトラインの作成C大まかな作品イメージの作成(Bよりは具体的)D修正・校正E最終案の決定の6段階を経て作成に入ります。ここまでの活動で思考力や物事の順番を指導します。実際の絵本作成では、表現力を指導していきます。何日もかかって一冊の本を完成させていくことは、大変なことではありますが児童にとってとても楽しく良い経験のようです。このときに、表現の一手段としてコンピュータでワープロやお絵かきソフトを使ったりもします。私がのぞき込むと、うれしそうに一つ一つの文と絵を説明してくれました。
 続いて行われたのがReadingの授業です。一冊の本を役を決めて読んでいきます。しかし、似た単語と間違えたり全く読めなかったり、本当にいらいらするくらいのものです。中学校でも教科書(和文、英文問わず)をなかなか読めない子がいると思いますがそんな感じです。そんなときも先生はあわてずじっくり待って、ゆったりした指導をしていきます。優しく読み方を教えたり、時にはつまる単語を別の文例や質問から答えさせるようにして、その単語の読み方を指導して見えました。
 今回は見ることができませんでしたが、もう一つ算数も指導しています。内容は九九の学習を中心にした計算問題だそうです。社会へ出て最低限必要な計算力だけは、なんとしても身につけさせたいと言うことです。(余談ですが、この九九についてはおもしろいことがあります。6年生の教室にも九九の表がはってあります。中学校の数学の教室にも九九の表がはってあります。高校の先生に聞いたら、高校でも九九をやっています。日本では小2年で学習したら、後はあまりお目にかかれない代物ですので、ちょっと驚きました。大事にしたいことはわかりますが・・・)
 「指導で一番大切なことは?」と質問したところ“PATIENCE(忍耐・根気)”だとこの先生は言っておられました。我々もこれを大切にして指導にあたり、一人一人の持てる力を最大限に発揮させたい物です。

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