OREGON No.33 971118
 今日は、折り紙の授業を通してのことを紹介します。
 ここアメリカに来るに当たって、「日本的なことを紹介するには、どんな内容がよいか・・・」と考えました。その中の一つにあったのが折り紙でした。しかし、こちらへ来てびっくり。“I want to teach Japanese folding paper.”と言うやいなや、帰ってきた言葉が、“Oh, origami! Good!”でした。こちらには“Origami”と言う言葉が存在していたのです。ですから、こちらでも折り紙を買うことができますし、折り紙に関する本も出版されています。学校の図書室にも数冊の折り紙の本が・・・。こうなってくると、折る作品を何にするかが重要な問題になってきました。いろいろ考えてみた結果、「つる」「紙飛行機」「手裏剣」「兜」「蛙」あたりがおもしろそうだと思いました。その中から、作って飾れることや安全面を考えて、「兜」を作ることにしました。兜も2種類用意して授業に望みました。
 授業をしたのは先日と同じ書道をした6年生のクラスです。まず、私が作った物を見せてみました。返ってきた反応は「Cool!」どうやらほとんどの子たちは兜を知らないようです。これはしめたと思い、早速折り紙を配って折ることにしました。一つ一つゆっくり説明しながら折っていきました。人数も22人という数ですし、座席も縦に4列横6列なので端から端まで見渡せてとても指導しやすいです。そんなこともあり、全員が私のペースについてくることができました。この勢いでもう一種類の兜も作り上げ、残った時間は自由に作品を作る時間にしました。数人の子が、他の何かを教えてくれと言うことでしたので、「つる」を教えました。
 授業を終えて感じたことは、日本の子に比べてできない物だと思っていたことは間違いだったと言うことです。一種の偏見とでも言いましょうか、本当に悪いレッテルを貼って授業に望んだことを反省しました。アメリカの子も、経験は浅いようですが十分折り紙ができると思います。一般に、日本人が折り紙を得意としているのは事実ですし、多くの外国人は知識はあっても経験や技術がないというのも事実だと思います。しかし、日本独自の文化だと思って「折り紙をできるのは日本人だけだ!」などと言うのはやめた方がいいと思います。ただ、個人差は日本より大きいように思います。これは、小さい頃の遊びや家庭生活、日常生活などの生活経験の違いからくる物だと思います。丁寧な子、雑な子の差はかなりです。
 最後に、人工衛星には折り紙の技術が使われているのをご存じですか?打ち上げ時にはコンパクトに、そして、宇宙空間ではできるだけ広くしたい太陽電池の部分がそれです。この部分に折り紙の伸び縮みというか、折り畳みの技術が生かされているのです。今や折り紙も、日本の一伝統文化から世界に広がり、科学的な研究を経て活用される時代になってきているのです。

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