OREGON No.32 971117
 今日は、書道の授業の様子を書いてみます。
 VAN先生のクラス(6年生24人)で、書道の授業を行ってみました。習字を英語でいうと、「calligraphy(カリグラフィー)」といいます。本当は机の上に何をどう置いて、それぞれの物はどういう名前で・・・とやりたかったのですが、何せ時間が30分と限られているので、説明はことごとく省きました。最初に伝えたのは、
 1,これは筆です。そしてこれは墨です。
 2,紙はつるつるの方が表です。紙は縦にして書きます。
 3,「山(やま)」という漢字を書きます。書き順はこうです。(黒板に示す)
 4,縦線は上から下に、横線は左から右に引きます。
 5,字が乾くまで、新聞紙の上におきましょう。そして2枚出してください。
と、これだけのことでした。とにかく、日本の小学校の子が書いたお手本と5枚の半紙を子供たちに渡し、好きなようにやらせてみました。
 始めてみるとこれがおもしろい。英語の世界では文字を書くのに直線を引くという感覚はありません。まっすぐ線を引くのは苦手のようです。さらに、アルファベットを思い浮かべると、文字のどれをとっても短い線でしかありませんし、一筆書きのようなものが多いことに気づきます。ですから、子供たちは上下左右の区別無く筆を動かします。一筆書きに挑戦するかのように・・・。改めて書き順をチェックし、「太く大きく書くのがよい。」と指示しました。すると今度は、太くするために筆を寝かせて書く子や、何度もなぞって太くする子が現れました。30分という時間ですので、今日はこのあたりはもう目をつぶることにしました。(他のクラスでは指導して行う予定です)  そんなこんなして書けた作品ですが、これがまたなかなか出来が良いのです。初めてやって、いい加減な私の説明と不十分な英語力のわりには、形が整っているように思います。書道という世界の掟に反する部分も多くありましたが、このクラスの子たちの持つ秘めた力を感じました。なお、2枚提出した作品のうち一枚をVAN先生にプレゼントし、もう一枚を私が持ってきました。また機会があれば、お見せしましょう。
 書道の授業を行い、文化・習慣の違いを改めて感じました。普段から漢字やひらがな、カタカナという多数の線から構成される図形を書いている日本人と、アルファベットという一筆書きに近い図形を書いているアメリカ人。それぞれの当たり前が、こういうところではっきりと出ました。しかし、こどもたちは本当に喜んで書道の授業に参加していましたし、興味を持って異文化に接していました。このあたりのことは、国際理解を推進するに当たって重要な事柄だと感じました。

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