幹事クリタのコーカイ日誌2019

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10月13日 ● スコットランドの敗因。

 ラグビーの母国であるスコットランドが、いくら開催国だからと言っても日本ごときに遅れをとることは許されない、そんな重圧がかかっていたはずです。日本がアイルランドに勝ったのは誤算でしたが、対ロシア、対サモアの結果からしても、スコットランドの方が強いという自信はありました。自分たちのラグビーをすれば日本に勝てないはずはありません。

 ただスコットランドとして厳しいのは単に勝つだけではなく、ボーナスポイントの差を埋めないとならないこと。自分たちが4トライを奪う、もしくは8点差以上をつけても良い。逆に日本に4トライを奪われたら、それは8点差以上つけるのも困難の戦いということになります。ただ勝つだけなら自在に展開できますが、日本の攻撃を防ぎ、なおかつトライ数を多くしようとすると攻撃のオプションが限られます。だからこそ、常に先手を取って優位に試合を進めることが肝心でした。

 その計算通り、スコットランドは司令塔のラッセルの個人技で前半6分にトライを奪います。トライで先手を取る理想的な展開です。後はこの優位を保ちながら点差を開いていき、8点差以上ついたらトライを狙っていくもよし、さらに点差を広げるもよしという主導権を握ったラグビーができるはずです。

 しかし日本は想像以上にしぶとかった。タックルは速く正確で、反則も少なく、なかなかボールを奪えません。ポゼッションで日本に圧倒されているうちに、前半17分、警戒していた日本の俊足ウィング、福岡からのオフロードパスで松島に抜け出されてトライを奪われてしまいました。キックが不調そうな田村のコンバージョンもギリギリで決まって同点に追いつかれてしまいました。

 さらに日本のスピードのある展開が続きます。前半22分にまたも松島に自陣深くまで侵入されると、そこからフォワード陣がオフロードパスを4人もつないで、最後は稲垣が中央にトライ。フォワードにあれだけ見事に決められてしまったら、どちらがラグビー強国なのかわかりません。

 日本の勢いはさらに増して前半終了間際の39分に田村の裏を突くキックを福岡に拾われてトライを許してしまいます。なんと21-7と圧倒的に日本優位な展開になってしまいました。スコットランドはポゼッションで完全に日本にやられてしまい、先手をとってリードして試合を支配するという計算はガタガタに崩れたまま前半が終了となってしまいました。

 そして決定的だったのは後半開始直後の2分。またもや福岡。今度はタックルからボールを奪われてしまい、そのまま独走を許してトライを献上してしまいました。これで日本が先に4トライを奪いました。スコットランドはどうしても4トライを挙げなおかつ8点差上の差をつけて勝たなければなりません。つまり後半残り時間で3トライ&29得点以上が必須条件となったのです。

 必死になったスコットランドは守勢に回った日本を相手によりアグレッシブに攻撃をかけます。明らかに前半よりもラフプレーが目立つようになりましたが、その荒々しさが功を奏したのか後半9分にラックを刻んでトライを奪うと、さらに選手を一挙に入れ替えて後半14分にもトライ。これで3トライ、そして7点差まで詰め寄りました。残り時間は25分。あと最低1つのトライ、そして15点を奪わなければなりません。

 日本はすっかり疲れからか動きが鈍くなってきました。攻めるよりも耐えるラグビーになっています。しかしスコットランドとしては日本が守勢に回ったことで逆に隙がなくなってきてなかなか前進できなくなってきました。勝つだけならペナルティゴールを狙う選択もありましたが、トライを奪うためには攻めるしかありません。時間だけが刻々と過ぎていきます。最後はボールを奪われてしまい、必死に日本のフォワードがボールを死守して逃げ切られてしまいました。21-28。終わってみればスコットランドの完敗です。

 なにより前半に大きなリードを奪われてしまったことがスコットランドの敗因でした。自分たちのやりたかったゲームプランを日本にやられてしまっては勝てません。油断はありませんでした。しかし重圧はあったし疲れも焦りもあった。母国スコットランドのラグビーファンは温かく彼らを迎えてくれるのでしょうか?サッカーならわかりませんが、ラグビーファンはきっと「よくやった」と迎えてくれるはず。それがラグビーのスピリットだから。


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