幹事クリタのコーカイ日誌2010

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2月12日 ● サッカー代表にもっとリスペクトを。

 いまサッカーの東アジア選手権が開催されています。日本は何とか昨日香港に3-0で勝利して、日曜日の韓国戦に優勝をかけるという状況です。厳しい状況ですが、僕の目からしたら「よく頑張っているじゃん」と思います。かつてアジアでもなかなか勝てずにW杯出場を逃し続けてきた日本が、今やアジア最強国のひとつとして戦っているのですから。70年代、80年代の弱い日本サッカー、メキシコ五輪の銅メダルだけを支えにしていた日本サッカーを知る者にとっては夢のような強さです。

 しかし、そう思っているのはどうやらごく少数のようで、多くの意見は「なにやってんだ、ニッポン!」というブーイングばかりです。「日本サッカーは球蹴りだ、蹴鞠だ」という声をネット上で見かけることが多いのですが、こういう人たちは、どうやらブラジルやアルゼンチンやイタリアやスペインのようなサッカー強国と比べて情けない、と言う意見のようです。

 僕からしたらそりゃ最初から前提に無理があると思うんですよね。かつてはタイや香港と互角だった日本ですよ。日韓戦は連敗に次ぐ連敗だった日本ですよ。それがW杯に連続して出ているだけでも随分強くなった、大したものだと思うのに、ヨーロッパや南米の最強国と比べてどうのこうの言ったところで仕方ありません。サッカーの歴史も文化も環境も彼の国々とは違います。その中で頑張っている代表の選手たちに対してあまりに厳しすぎると思います。

 で、どうしてこんなにサッカーファンは日本のサッカーに厳しいのか、ひとつ仮説を思いつきました。それはサッカーファンの多くがサッカー経験がないからではないかと思うのです。もちろんそれこそ「球蹴り」レベルのサッカーくらいはしたことがあるでしょうが、きちんと競技としてサッカーを経験した人がファンの中でどれくらいの割合でいるでしょうか?恐らく1割か、せいぜい2割くらいではないかと推察されます。

 女性ファンのほとんどは未経験でしょうし、男性だってサッカー部で高校、大学を過ごした人はそれほど多くはないでしょう。またいま現在もサッカーの大会に出ているという人もそれほどいないでしょう。年季の入った古いサッカー好きはサッカー経験者が多いですが、Jリーグ発足以降の若いファンは運動部経験すらない人がたくさんいそうです。

 いや、別にサッカー経験がないから口を挟むなと言いたいのではないですよ。ただ競技サッカーの経験がないとどうなるか?それは選手に対するリスペクトが経験者に比べて相対的に少ない、ということになると思います。どんなことでもそうですが、自分がやってみるとその難しさというのは身に沁みてわかります。まして競技経験があれば、先輩とか指導者とかを通じて、自分からトップアスリートまでにどこかしらで繋がるものです。そうすると選手の力量というのを何となく体感できますし、その凄さがわかっていれば口汚く罵ることなどとてもできません。むしろ「あんなに上手くても世界では通用しないんだ、世界のトップは本当に凄いんだな」という感想になると思います。

 実はこれは日本テニス界がそうだからです。サッカー以上に日本テニス、特に男子テニスは世界に通用しない情けない状況です。しかし、日本のテニスファンのほとんどはテニス経験者、もしくは現役の草テニスプレーヤーです。自分のスクールのコーチや、自分の学校やクラブの強い選手などの凄さを身をもって知っているだけに、それより数段強いプロ選手の凄さも何となく実感できます。だから世界では通用しない日本選手であってもプロなら「すっごくうまい」というリスペクトがあります。

 もっともこれはテニスがむしろ特殊なんだと思います。これだけ競技人口が多くて、その割に観戦人口が少ないスポーツも珍しいですから。ただサッカー経験者はもう少し選手に対するリスペクトを表明し、未経験者に対して「そうは言ってもあの人たちはスゴイんだぞ」と伝えていった方が良いと思うんですよね。代表を強くするには、厳しい批判も必要でしょうが、やはり温かい応援とサポートが大事です。選手だって人の子なんですから。ただ悪口言う方がサッカーをわかっているみたいでカッコイイと思っているのだとしたらお門違いだと思います。勝っても叩かれる日本代表を見ていると、まるで苦労しているのに嫌われる自衛隊の人たちを見ているようで可哀想になります。


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