cinema eye

『病は気から 病院へ行こう2』

鑑賞日93/8/29(ビデオ)
 最近の日本映画界の星(と僕が思う)一色伸幸が原案・脚本の『病は気から 病院へ行こう2』をビデオで見ました。前作では薬師丸ひろ子・真田広之・大地康雄というトリオで、現代日本の医療が抱える問題点をコミカルに描き出してくれましたが、今回はさらにパワーアップして、ガン告知・ホスピス・安楽死というテーマにまで踏み込みました。キャストも小泉今日子・三上博史・真田広之と、よりトレンディドラマ的なより一般受けするメンバーになりましたが、その甲斐はあったのではないかと思います。

 この作品の一番見所は、なんといってもやっぱりキョンキョン。まあ彼女の映画は全部見ている僕としては、もっと派手でもいいかな、と思いましたが、それでもガンの末期患者から一気にアイドルになってしまうあたりは、キョンキョンでなくては成り立たないキャラクターだと思います。それと何度も誉めていますが、真田広之。アイドル映画に絶対欠かせない役者になりましたね。彼の映画もかなり見ていますが、最近ますます油がのっていい感じです。

 コメディの部分を一手に引き受けている感がするのが、ベンガル・柄本明・もたいまさこ・木野花といった癖のある脇役陣。それもただコミカルなだけではないところがいい。

 で、この映画、普通はコメディぽく仕上げた社会派映画という風に捉えられると思いますが、僕にはそれこそ世間を欺くための手口で(笑)、実は社会派を装ったラブストーリーだと思います。死んでいくことがわかっている女とそれを見守るしかない男。絶望的な状況の中で、それでもお互いを思いやる二人。一見それはサイドストーリーのように見えるけど、僕には一番この映画で響いてくる部分でした。なんたってキャストがキャストだもん、その方が絶対自然だって(笑)。  大作主義に陥って、とにかく金をかけて力みかえった映画を作れば日本映画が復活すると思っているワケワカの映画人が多い中で、こういう軽くても良質な映画を次々と作ってくれるスタッフがいることを、これからの希望としたいと思います。

今回の木戸銭…1100円