cinema eye

『ボルケーノ』

鑑賞日99/1/9(ビデオ)
 ロスのど真ん中で火山が爆発、溶岩が流れ出して都市を飲み込んでいったら、どんな大混乱が起きるか、というパニック映画です。主役の危機管理局長にトミー・リー・ジョーンズ。この人は『追跡者』といい、本当にこういう役がお似合いですね。もっともハリソン・フォードがやっても似合うでしょうが。

 パニック映画の見どころは、いかに凄い映像を作るかというところにありますが、この映画はさすがに迫力があります。ドロドロと高熱の溶岩流が流れてくる迫力はスピード感がない代わりに、じんわりとした恐ろしさが伝わってきます。降り注ぐ火山弾と火山灰、吹き上がる溶岩、次々と飲み込まれて燃えていくビルや住宅。パニック映画らしい申し分のない迫力の画面です。

 この手の映画の常ですが、局長のトミー・リー・ジョーンズが一人で現場を駆け回ってこの溶岩と戦います。一度は溶岩をせき止めて安心したのもつかの間、地下を高速で別の溶岩流が流れてきて、それが避難場所になっている病院を襲う、というストーリーも定番ですが、よくできています。犠牲者は出るが主役とその家族は助かり、最後は「アメリカが勝つ」というのもお約束。全てにお約束通りのところが物足りないと言えば物足りないのですが、そういうことをうんぬんするのなら、この手の映画は見ない方が良いかも知れません。

 多分日本人ならもっとも気になるのは、映画全体に火山噴火をすごく甘く見ていること。雲仙普賢岳の災害を知っている我々には、とりあえず溶岩流をやり過ごしたらおしまいじゃないだろう、と思わず突っ込みをいれたくなります。雲仙の例からしたって、どう考えてもロス市民全員がこの後に当分避難しなければならないはずです。それなのに現場を放り出して休暇に入ってしまうトミー・リー・ジョーンズ。なんだかんだ言ってもアメリカ人はわかっていないよな、と思ってしまいました。

  今回の木戸銭…1000円