cinema eye

『バニラ・スカイ』

鑑賞日02/10/1(ビデオ)

 トム・クルーズのSFサスペンス映画。夢と現実の境目を喪失するようなストーリーは、シュワちゃんの『トータル・リコール』を彷彿とさせますが、こちらの方がもう少し観念的(?)というか、頭が良さそうに見えます。もっともそれは『オープンユアアイズ』という原案があったからですが。

 顔だけの二枚目スターから脱皮を試みるトム・クルーズの気持ちが如実に表れている作品とも言えます。それを一番感じさせるのは、交通事故で顔に傷を負った彼が、ずっとその姿で演じ続けているところ。「俺は大根じゃない、演技派だ」という主張を感じさせますが、残念ながら「やっぱり顔があってのトム・クルーズだよなぁ」ということを再認識させられてしまうあたりが悲しいところです。トム・クルーズを巡る2人の美女(ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス)は、それぞれに個性的で美しいのですが、結局主役3人揃って「まず顔」という印象は否めません。

 作品としては豪華なスタッフの割にはそこそこの出来にとどまっています。過去、現在、夢の世界を行ったりきたりする作品だけに、観客を迷わせないように丁寧に解説してしまったのが、逆にダメにしてしまったようです。この手の映画は、もう少し不親切でも良いのではないかと思います。


今回の木戸銭…1000円