cinema eye

『トイ・ストーリー』

鑑賞日96/12/1(ビデオ)
 ディズニーの話題のオールCGアニメーション映画。その制作技法にばかり話題がいっていたようですが、映画としても面白い出来です。

 ストーリーはある子どもの家のおもちゃたちの主役争いの物語です。カウボーイ人形のウッディはアンディのお気に入り。しかし、新入りのバズがやって来てそのお気に入りの座を奪われてしまいます。面白くないウッディがバズを追い出そうと画策したことが裏目に出て、、、という、まるでサラリーマン社会を舞台にしたような物語です。表向きはディズニーらしく、子ども達におもちゃを大切にしよう、というメッセージを送りながらも、どっちかというと、大人向けのアクション娯楽劇テイストが漂う作品です。特に後半のウッディとバズが力を合わせてアンディのクルマを追うアクションシーンなどは、まるでジャッキーチェンばり。また自分がおもちゃであることをわかっていないバズの滑稽さと、それを理解した時のせつなさの表現。これもまた若いときの夢が破れ、自分の限界を知った大人の心を捉えるせつない名シーンです。

 おもちゃ達を主役に据えて、彼らの視線から世界を描くのに、確かにCGという技法は相応しいものではありましたが、果たして実写でこれができないかと言われれば、多分そんなことはないでしょう。ただオールCGだからいけないこともありません。とにかく不自然な感じはなく、素直に物語に入っていけるだけでも、大したものです。ただこれをアニメーションではなく、実際の俳優を使って実写プラスCGで撮ったら、もっと大人向け映画のイメージはしたことでしょうね。そう、ディズニーのかつての名作『メアリー・ポピンズ』のように。

 今回ディズニー映画として残念だったのは、歌が物足りなかったことです。もっとディズニーならミュージカル的要素をふんだんに盛り込んで欲しかったなと思いました。

今回の木戸銭…1400円