cinema eye

『ザ・ロック』

鑑賞日97/9/10(ビデオ)
 上手に年齢を重ねることは、なかなか難しいことだと思います。特に美人女優や二枚目俳優の場合は。ショーン・コネリーは、そんな難しいことを見事にクリアしたどころか、老いてますます魅力的になった希有な例です。この『ザ・ロック』でも、圧倒的な存在感で映画を支えています。

 ストーリーは、結構単純です。アメリカ国防省の秘密工作に従事した軍人たちに対する仕打ちがひどい、と怒りに燃えたベトナム戦争の英雄である高級将校(エド・ハリス)が、海兵隊の有志と化学兵器を盗み出し、アルカトラズ監獄に観光客81人を人質を取って立てこもります。ミサイルでサンフランシスコ市民の命までも盾にとっての脅迫に対し、国防省とFBIは、アルカトラズ(=ザ・ロック)から脱獄したかつての英国諜報部員(ショーン・コネリー)を道案内として獄から出し、FBIの化学専門家(ニコラス・ケイジ)と一緒にアルカトラズへ海兵隊とともに送ります。目的はもちろん人質の救出とミサイルの破壊。プロとプロの戦いが、「ザ・ロック」を舞台に繰り広げられます。

 ニコラス・ケイジがなかなか良いです。僕はあまり好きなタイプの顔立ちではないのですが、今回は頭でっかちで実戦に向かない情けないFBI隊員を好演しています。また敵役ではありますが、最初から最後まで「英雄」であり「良い人」であるエド・ハリスも渋いです。ただ、英雄の割には狡いところが少なくて、正直な良い人過ぎて、ちょっと適役としては魅力が薄いですね。もっと悪い奴の方が、主役が引き立つと思います。

 で、やはりショーン・コネリー。さすがに年を取ってアクションシーンはちょっと辛そうですが、貫禄と威厳で全編押し切ってしまいます。粋で老練で、なおかつ稚気がある演技は、さすがの一言。ショーン・コネりーならではの味わいが楽しめました。

 この手の映画にありがちなご都合主義は随所に散見されますし、ちょっと人がバタバタと死にすぎる嫌いはありますが、ある意味、極めて正統的なハリウッドのアクション映画として楽しめる作品です。

  今回の木戸銭…1100円