cinema eye

『恋におちたシェイクスピア』

鑑賞日00/1/23(ビデオ)
 アカデミー賞で作品賞、主演女優賞など7部門に輝いたコメディタッチの文芸ラブストーリー。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の制作裏話とシェイクスピア自身の恋物語を絡めた脚本の冴えが光る名作です。

 16世紀末、スランプに悩む劇作家シェイクスピアは、貴族の令嬢と恋に落ちる。彼女との恋愛が進むにつれて、書きかけていた喜劇がどんどん悲劇へと変わり、そして名作が生まれる。その名も『ロミオとジュリエット』。

 誰もが知っている有名な悲劇を下敷きにしているだけに、あまりシェイクスピアに詳しくない人でも楽しむことができるように映画は作られています。凝った豪華なセットや衣装も楽しめるし、現代的な演出も馴染みやすさを引き立てています。今や古典であり権威であるシェイクスピアも、最初は大衆も楽しめるポピュラーな演劇だったということを意識して、カジュアルな雰囲気になるよう気を遣った結果でしょう。

 とは言え浅い表層的な映画でもなく、英文学や歴史に興味のある人には、もちろんそれだけより楽しめるような深さも兼ね備えているあたりがさすがです。シェイクスピアに挑むわけですから、安易な脚本ではとても太刀打ちできません。軽妙洒脱でありながら人生の機微と人間模様も巧みに描くシェイクスピアばりの見事な脚本の出来が、この映画をここまで完成させたのでしょう。

 そうそう、最後の女王の場のさらい方は、ケビン・コスナーの『ロビンフッド』の時のショーン・コネリーを思い出せました。イギリス関係の映画を作ると、どうしても絶対的な権威としての王室が出てきてしまうのでしょうか。まるで水戸黄門ですけどね。

今回の木戸銭…1600円