cinema eye

『ラッシュアワー』

鑑賞日99/12/29(ビデオ)
 ジャッキー・チェンがハリウッドと組んで作った刑事アクション。香港でジャッキーがいつも作っている作品よりぐっと消化しやすい一般受けするテイストになっていますが、その分、ジャッキーの魅力が半減していることも確か。ジャッキーファンには複雑な作品です。

 物語は単純明快。香港の刑事ジャッキーが、ロス市警の落ちこぼれ刑事クリス・タッカーと組んで悪と戦うアクションコメディー。かつてシュワルツェネッガーがソ連の刑事に扮してシカゴで奮闘した『レッドブル』を思い出させます。映画としてはありふれた設定ですが、主演2人の魅力で飽きさせないスピード感ある作品に仕上がっています。

 とは言え、最初に書いたように、ジャッキーの映画としてはアクションシーンに不満が残ります。いかにもハリウッド的でスリルに欠けるからです。興行的には大ヒットしながら、ジャッキーが「全然満足していない」と語ったのもわかる気がします。もっともっとアクションに彼はこだわりたかったのでしょう。肉体的限界に挑戦を続けているジャッキーとしては、この程度のアクションのために残り少ない時間を奪われるのは我慢ならないのだと思います。

 ヒットする、金が儲かる、それも映画人としては素晴らしいことなのでしょうが、自分の撮りたい映画のために、敢えてそこに背を向けようとするジャッキーの姿勢に拍手を送りたいと思います。

  今回の木戸銭…1200円