cinema eye

『RONIN』

鑑賞日00/8/20(ビデオ)
 ロバート・デー・ニーロとジャン・レノが共演した日本の「浪人」をタイトルにしたサスペンス・アクション。豪華な顔合わせと、派手なカーアクションが見物ですが、それだけという気もしました。

 冷戦が終わって、各国の諜報部員もリストラの憂き目にあっているようですが、そういう仕えるべき国家を失ったプロたちが「浪人」となって、あるプロジェクトのために集まった、という設定。プロ集団が目的を達したかに見えたときに裏切りがあり、そこからは誰が敵か味方かわからないサスペンス色が強くなります。

 タイトルからして、いかにも黒沢映画に影響を受けました、という作品ですが、あまりにもリアリティが乏しくて、印象に残るのは、やたらと派手なアクションばかりです。とにかく市街地での銃撃戦とカーアクションで、関係ない人々までやたらと巻き込んで殺してしまうところは、ちょっといただけません。そこまでやっておいて、警察もマスコミも騒がないはずはないのに、まるで関係なく主人公たちは自由に動き回っています。

 サスペンス部分は消化不良。訳がわからないところも多いのですが、説明不足というよりは説明放棄という印象です。デ・ニーロもジャン・レノもいまいち冴えないし、監督の趣味に走った作品という感じがします。

 ただ、観光映画としては良くできています。ニースやアルルの街が綺麗に描かれていて、しかも観光スポットも上手に紹介されていますから、南仏にちょっと旅行してみたいかな、という気になりました。実際には映画のように無法地帯ではないでしょうし(笑)。

  今回の木戸銭…700円