cinema eye

『おつむてんてんクリニック』

鑑賞日92/10/26(ビデオ)
 邦題はなかなかトホホなタイトルですが、ビル・マーレーとリチャード・ ドレイファスががっぷり四つに組んでの、傑作コメディです。ビデオ化されたので早速見ました。

 変な奴を演じさせたら右に出るものはいない(?)ビル・マーレーが今回はそのままズバリ、ノイローゼ患者役になって、売り出し中の精神科医リチャード・ドレイファスの診察を受けるのですが、話が展開するに従って、二人の立場がだんだん入れ替わっていくのが、巧みに描かれています。

 最初のうちはビル・マーレーの患者ぶりが怖いんですよね。それがだんだん様子が変わってきて、医者と患者の立場が入れ替わっていくところのうまさなんか最高です。「ビョーキ」って何?と思わず考えてしまいます。

 いかにも現代のアメリカらしいお伽話なのですが、こうしたドラマが生まれるのも、アメリカ社会が相当に病んでいることを端的に示しています。ただそれをこうしてコメディにして笑い飛ばせるところが、アメリカの懐の深さで、もし日本なら果たしてこういう形で洒落のめせたか、少なくとも大作主義に陥っている映画会社には無理でしょうね。日本にも伊丹十三とか森田芳光・滝田洋二郎のような監督がいますからあながち全く駄目というわけでもないとは思いますが。

今回の木戸銭…1100円