cinema eye

『おこげ』

鑑賞日93/10/11(ビデオ)
 おかまにくっついて遊んでいる女の子=「おこげ」。一見ドリカム状態、実はアブノーマル、という恋愛をテーマにしたこの映画ですが、結局のところ人間のする恋愛なんて、形はどうあれ本質的な部分ではなんら変わりがないことを感じさせてくれる佳作でした。

 まあもともと僕自身は、同性愛者にあまり偏見がないというか、結構身近にその手の人々がいるためか、あまり抵抗がない世界ではあるのですが、全くその世界に免疫がない人がこの映画を見たら、とりあえずリアルなホモのHの世界に、まずたじたじとなることでしょうね。それほど、この映画でホモカップルを演じている2人の役者は、気合いの入った演技をしています。

 ヒロインである清水美砂は相変わらずナチュラルと言うか癖がないというか、もしくは無個性とでも言うか、まあさりげなく演じていますが、ホモ役の男優たちが皆強烈な 個性を発散させているだけに、かえってこれくらい薄味の女優の方がいいのかもしれません。

 感心したのは、この手の映画というのは、ついつい異世界探訪的なのりで、いろいろホモの世界の内幕ものっぽく描きがちになるのですが、この作品ではそのへんを極力抑えて結構さらっと(それでもまあ凄い所は凄いけど)しているところが好感が持てました。差別されている世界をあまり面白がって見せるのは、結局のぞき見趣味にしか過ぎませんからね。



今回の木戸銭…900円