cinema eye

『マスク』

鑑賞日96/4/28(ビデオ)
 アメリカンコミックを映画化すると、だいたいちょっと日本人には感覚的についていきにくいようなテイストの作品に仕上がりがちですが、この『マスク』は、結構ぎりぎりいい線をいっているような気がします。確かにド派手でギンギンギラギラした映画ですけど、ベースにロマンスがあるせいか、ただヒーローがガンガン活躍するだけの映画ではなく、どこかホッとするようなペーソスと可愛いげがあります。

 話題のCG合成は、さすがに素晴らしいですが、そればかりを喧伝するとこの映画の楽しさの半分を見失います。ダンスシーンをはじめ、俳優陣の動きの滑らかさや美しさ、音楽もいいし、アクションシーンもギャグもちゃんと作り込まれていて、決してCGだけの映画ではないことがわかります。映画全体に通じる徹底した遊び心は、こんな作品はハリウッド以外では作れないだろう、と思われるようなハイテンションを引き出していて、軽々しく馬鹿馬鹿しいと言わせない力強ささえ感じさせます。この手の悪ふざけ系の映画としてはかなり質の高い作品だと思いました。

今回の木戸銭…1200円