cinema eye

『マーズアタック』

鑑賞日99/3/5(ビデオ)
 ティム・バートンと言えば『シザー・ハンズ』やバットマンシリーズなど、ちょっとエキセントリックでカルトな匂いがする監督です。彼が火星人来襲、という古典的なSFを作るとこうなるのか、という、ある意味とても納得できる楽しい作品でした。

 ぶっちゃけた話、お金がかかったおふざけ映画、と言い切ってしまってもいいでしょう。それもA級のおふざけ映画です。火星人が出てくるまでは一応スピルバーグみたいな(多分意識してやっているんでしょうね)ファンタジーSFかと思わせるようなタッチで描いておいて、ファーストコンタクトからのドタバタは完全にマンガです。残虐な火星人たちによる虐殺シーンもマンガチックなタッチのために現実感がなく、ひたすら笑えるだけです。

 あくまでも知的生命体は友好的なはずだと信じるリベラルな学者も、とにかく核攻撃あるのみ、と猪突猛進型のタカ派な軍人も、どちらも同じように火星人に殺されてしまいます。とにかく主要な登場人物は全部殺されてしまう胸のすくような思い切りの良さ。随所に散りばめられているギャグやパロディ。観客を楽しませることだけに徹した潔さが心地よいです。

 そしてA級おふざけ映画としての格を高めているのが豪華絢爛な出演陣。ジャック・ニコルソンをはじめグレン・クローズやピアース・ブロスナン、マイケル・J・フォックス、ダニー・デビート、ナタリー・ポートマン、トム・ジョーンズまで、これでもかという連中が徹底的に、そして楽しそうにふざけています。そのまるで学園祭のノリのような明るさが、このくだらない映画を単なるくだらなさから救い出しているところが、また監督の計算なのでしょう。

今回の木戸銭…1300円