cinema eye

『ロストワールド』

鑑賞日97/9/1(劇場)
 「パート2に名作なし」と言われますが、この『ジュラシック・パーク』Part2である『ロストワールド』も、残念ながらその例には漏れませんでした。確かにスピルバーグ印だけあって、飽きさせないスピーディな展開で、ハラハラさせる見せ場はいくつもあります。さすがに娯楽映画としてのツボは心得ているな、という感じ。でも、基本的なパターンが前作と同じで、変わり映えがしません。恐竜と遭遇する、逃げる、ホッとする、また恐竜が出現する、逃げる、その間に犠牲者が次々と増えていく、という繰り返し。最後に生き残るのは主人公たちだけで、脇役はみんな死んでいきます。

 パート2になって変わったのは、何と言ってもSFX技術。4年間の進歩を確実に感じさせる素晴らしさ。恐竜の存在感がますます増して、本当に生きた恐竜が動いているかのようです。それ以外は、どちらかと言うと前作より退歩していますね。前作にあった驚きや、恐竜への素直な憧れも愛もないし、全体の展開もただ殺伐としているだけで暗く、緩急もありません。暗いジャングルの中を走り回る映像は、ずっとベトナム戦争映画でも見せられているような感じです。もっと明るさが欲しいですね。さらにサンディエゴの街で暴れるTレックスの姿も、映画全体から見れば唐突でちょっと蛇足気味。スピルバーグはゴジラ映画を作ってみたかったのか、というだけです。

 正直言って、SFX好き以外の人は、わざわざ高い金払って劇場で見なくてもいいと思います。前作なら劇場で見ることをお勧めしますが、今回は思ったより迫力もなかったし、内容も陳腐です。それに何と言っても新鮮さがないのが残念です。ただし、SFXが好きな人は、きっと堪能できることでしょう。技術の高さと前作の評判に溺れて惜しいことをした、という作品だと思います。

今回の木戸銭…1200円