cinema eye
鑑賞日9510/10(ビデオ)
『ジャングル大帝』の盗作ではないかと話題を呼んだディズニーの新作アニメ。ビデオになってからようやく見ましたが、『ジャングル大帝』にはるかに劣る駄作だけに、盗作呼ばわりも仕方ないかと思いました。
モチーフや設定が似ているのはともかくとして、とにかくストーリーの陳腐さが耐え難いですね。『アラジン』のようなディズニー一流のわくわくするファンタジーらしい楽しさもなく、ただ古くさいよくある王位争いの話をライオンの世界に置き換えているだけ。それもせっかく20世紀末に作るなら、封建的な王制から民主的な新しい政治体制に対しての示唆があるとか、新しい家族や男女のあり方に対しての指針が示されているのならともかく、中世そのままの価値観をなぞっているだけで、21世紀に生きる子どもたちへの指針ともならないし、もちろん大人の鑑賞に耐え得るだけの深みもない。
僕は『美女と野獣』も大人の鑑賞には耐えないストーリーだと思いましたが、それでもミュージカルとして、またファンタジーとしての楽しさは味わえる作品だと感心ました。しかしこの『ライオンキング』はそれすら希薄で、見所はせいぜいCGを多用したと言われる映像の美しさくらいのものです。ただ、その絵もライオンが妙に白人っぽい顔をしているので(鼻は高い、たてがみが真ん中分け、瞳が青いやつまでいた)、どうも気味が悪いし。
映画は盗作と言われようとも、元作品を超えていれば、それはそれとして評価されていいと思いますが、この作品は残念ながらとても超えたとは思えません。『ジャングル大帝』で指摘された、肉食獣と草食獣の危うい関係の矛盾についても、この作品では結局逃げてしまっていますし、技術の進歩だけが見所では寂しい限りです。ディズニーの奮起を期待したいところですが『ポカホンタス』も駄作みたいだしなぁ。ダメか。
今回の木戸銭…700円