cinema eye
鑑賞日99/6/27(ビデオ)
1950年代のロスを舞台にしたサスペンス。それぞれに癖の強いロス市警の刑事たちが、事件を追い続けるうちに、とんでもない巨悪にたどりつき、命がけの戦いを挑む。結構派手な割には渋みがきいた大人の味わいのある作品です。
演出がまず冴えています。誰が善人やら悪人やら、映画の前半ではさっぱり見えません。ストーリーも複雑に絡み合っていて、最後にそれがうまく収束していくさまは、なかなか見応えがある職人芸という感じです。
1950年代のロスというのも趣があります。ベトナム戦争前の強いアメリカ。伸び盛りの黄金時代を感じさせるアメリカ。特にロスには西部開拓時代の名残が残り、より一層アメリカらしい大らかな楽天気質と、未来に対する根拠のない明るい自信が横溢しています。
1960年代以降の病んだアメリカの萌芽を感じさせつつ、あくまでも明るい明日を信じて戦う男たちの映画は、なにか感慨深い印象を与えてくれました。そこそこ面白い映画ですから、梅雨時の時間つぶしには最適だと思います。
今回の木戸銭…1100円