cinema eye

『キッズ・リターン』

鑑賞日97/5/28(ビデオ)
 北野武監督の久しぶりに評価が高かった作品。ビデオで見ましたが『あの夏、いちばん静かな海。』ほどではありませんでした。

 ストーリーは、落ちこぼれ高校生の2人組が、喧嘩に負けてボクシングを始めます。1人はそれもすぐ諦めてヤクザになりますが、もう1人は才能を認められて着々とプロへの道を進みます。それぞれの世界でのし上がっていく2人。しかし、、、というドロップアウトした若者の青春ストーリーです。

 例によって北野監督は素人のような役者を主役に使い、全体に素朴で荒削りな演出をしています。不器用な役者の演技が、青春という時期の不器用さをうまく醸し出していて、なかなか味わいがあります。主役の2人、金子賢と安藤政信は、今やそれぞれ期待の若手俳優に育っていますが、彼らのブレイクのきっかけとなったこの映画の頃はまだ原石という印象です。

 妙にささくれだった世界が得意の北野監督だけに、すさんだ青春が実にリアリティがあっていいんですが、どこかにもう少し驚きやとまどいが欲しいですね。ストーリーが単純で、ちょっと全体にあっさりと流れていってしまったような気がします。

 まあ日本映画の中ではそこそこの水準に達している作品かも知れませんが絶賛はできません。もうひと頑張りして欲しいですね。

今回の木戸銭…800円