cinema eye

『継承杯』

鑑賞日93/9/7(ビデオ)
 比較的邦画が好きな僕も、さすがにやくざ映画はあまり見ないのですが、この『継承杯』は真田広之&緒形拳という僕の好きな役者が共演していることと、抗争やら流血やらがないコメディということなので、公開時から興味があった映画でした。

 ストーリーは、芦田伸介の親分が梅宮辰夫に跡目を譲るところから始まります。盛大な継承式を行うために、重要な媒酌人を80才の大親分に頼むのですが、この親分が心臓が悪く急に入院。あわてて控えの媒酌人を用意するために、真田広之が、茨城の田舎の親分緒形拳に頼み込みにいきます。真田広之は証券会社のサラリーマンからやくざにデューダしたばかりの下っ端。たまたま控えの媒酌人を引き受けてくれた緒形拳の面倒見ることになりますが、この親分が大酒飲みのアル中で…という話です。

 やくざ映画と言っても、そういう内容ですからかなり明るい雰囲気で最後もちゃんとハッピーエンド。相変わらず真田広之はコメディ向きの身の軽さで溌剌と演じていますし、緒形拳も昔気質のアル中やくざを軽い味で見せてくれます。また緒形拳の妻役で出ている古手川祐子がなかなか儲け役で、あまり好きな女優ではなかったのですが、結構いい女だなぁ、と思わせます。

 もっとも、それでどうした、と言えばどうってことのない映画でして爆笑するほどおかしいわけでもなく、じーんと感動させるほどヒューマンでもなく、まあテレビの2時間ドラマでいいかなぁ、というほどのもの、と言ってしまうと身も蓋もないけど、まあそういうものです。さしてヒットしなかったのもうなずけます。やくざ映画に新機軸を、と思ったのでしょうがそこかしこに、いかにも「東映」という匂いがプンプンしてまして、それなら従来のやくざ映画の常連である芦田伸介やら梅宮辰夫やらを出さないで全く新しいスタッフで作れば、もっと味わいが変わっただろうなぁ、と思いました。

今回の木戸銭…700円