cinema eye

『ジョゼと虎と魚たち』

鑑賞日04/11/11(DVD)
 田辺聖子の短編小説を犬童一心が映画化。妻夫木聡、池脇千鶴共演のピュアで切ない恋物語。原作を上手に膨らませた脚本が素晴らしいと思います。そして何より主演の2人が名演。池脇千鶴演じるジョゼはぶっきらぼうな関西弁と強烈なキャラクターの裏にある純粋さと弱さが見るものの心を打ち、妻夫木聡演じる恒夫の優しさと裏返しの優柔不断さ、ずるさと弱さ、それでも憎めないキャラクターもまたよく演じられています。

 女の弱さと男の弱さを、それぞれに上手に現していて、弱いところをうまく補いあえるのが恋愛の素晴らしさであり、またそれゆえに恋愛のはかなさ、脆さも立証されてしまいます。ラストが決してハッピーエンドではないところにそれが凝縮されていると思います。日本映画の収穫と言っても良い傑作です。

今回の木戸銭…1400円