cinema eye

『稲村ジェーン』

鑑賞日90/9/12(劇場)
 音楽の天才は、決して映画の天才ではなかった…。サザンオールスターズの桑田が初監督をした作品ということで話題の『稲村ジェーン』ですが、僕の感想は「プロが手伝って金をかけた学園祭の映研の作品」でした。

 こういう言い方はキツイかもしれないけれど、桑田は結局商業ベースに乗せて観客に「売る」映画というものが分かっていないのでは、ということです。すなわち伝えようとしていることが彼の手法では全く伝わってこないのです。監督のマスターベーションで終わっている、そんな表現に終始していて、せっかくのスタッフが十分に生かされていないという状態でした。

 だいたい舞台が昭和40年の稲村、ということですが、確かに出てくるクルマや町や小道具は当時のものかもしれませんが、空気が全然違うのですね。どうみても平成時代の青春物語にしか感じられない。昭和40年と言えば桑田だってまだ小学校の低学年のはず。どうしてそんな時代を選んだのか不思議ですね。もっと自分が良く肌で知っている時代を選べばもっと違った映画になっていたと思うのに残念です。

それと、この映画はサーフィン映画だと思っていたのに結局一度もサーフィンしているシーンがありませんでした。無軌道な青春物語にしてはラブシーンも軽いキスシーンが一度だけ。中途半端でつまらない作品です。

今回の木戸銭…300円