cinema eye

『インデペンデス・デイ』

鑑賞日97/1/29(劇場)
 ようやく話題の映画『ID4』を見てきました。この映画だけは劇場で見ないと本当に楽しめないと思って、無理して行ってきたのですが、さすがにそれだけの価値はありました。

 ストーリーはご存知のように、アメリカ独立記念日の直前に突如現れた超巨大円盤に乗った宇宙人と、アメリカ大統領を中心にしたアメリカ軍との人類の存亡を賭けた戦いの物語です。SFXと特撮を駆使した迫力満点の映像で魅せるローランド・エメリッヒ監督入魂の作品です。

 で、いろいろすでに評論家筋からは批判が出ているのは承知の上で、それでもこの映画は面白いです。確かにいかにもアメリカ受けするご都合主義のお気楽さ(特にあれだけ進んだテクノロジーを持つ宇宙人のコンピュータに簡単にハッキングしてウィルスをばらまくなど、いくらなんでも無理じゃないの、と思いました)、簡単に核兵器を使用する無神経さ、西部大開拓時代から変わらない戦いによってしか平和を得られないという好戦的思想、そして所詮は『スター・ウォーズ』のパクリじゃないの、という全ての批判を甘受した上で、僕は それでもこの映画が「映画的興奮」が十二分に味わえるところを評価したいと思います。

 映画前半部分の静かな、ちょっと退屈とも思える伏線部分、一転して中盤の衝撃的な破壊シーン、そして後半の畳み込むような戦闘シーンと、エメリッヒの演出は冴えまくります。若いが少々頼りない大統領は、どんどん逞しく成長していくし、野心を持たない自然主義の技術者も、真の勇気に目覚めます。

 世界にちらばる全てのUFOを撃墜し、喜びに沸く市民、軍人、政治家たち。しかし世界中の主要都市が破壊し尽くされ、その経済的・社会的損失は天文学的数字などと言うありきたりの単語では語れないほどだろし、巨大円盤の戦後処理と、エイリアンの完全な殲滅も図らなければならないだろうしと、これからのことを考えると単純に喜んでばかりはいられないだろうな、とは思うものの、それでも映画の中のキャラクターたちと同様に、ラストでは喜びと感動を共有できてしまうところが、映画のマジックです。難しいことは一切抜き、とにかく興奮に身を任せて楽しみたい作品でした。

今回の木戸銭…1300円