cinema eye

『秘密』

鑑賞日01/5/12(ビデオ)
 東野圭吾のミステリーを、広末涼子と小林薫で映画化した、ちょっと変わったラブストーリー。そう、原作はミステリーですが、映画はよりラブストーリー色が強くなっています。

 杉田平介の妻・直子と娘・藻奈美を乗せたバスが転落。妻は死亡したが、意識を取り戻した娘のカラダに宿っていたのは直子の意識だった。その日から杉田家では切ない「秘密」の生活が始まった。。。

 原作では事故にあった当時の藻奈美は小学校5年生の設定ですが、映画化にあたっては広末涼子に合わせて高校生に。当然、娘のカラダと妻の意識というズレが、より生身な印象になります。広末涼子としては、かなり大胆なシーンが連続し、見せ場の多い映画になりました。

 そう、この映画はなによりも広末を魅力的に見せる「アイドル映画」として成功しています。高校生から大学生、最後の花嫁姿まで演じながら、意識としては 40才の人妻。エロチックにしようとすればポルノにでもなる題材ですが、それをアイドル映画として撮り上げた監督・滝田洋二郎の手腕はさすがと言っていいでしょう。

 また広末を受ける小林薫がまたベテランらしい素晴らしい演技を見せます。時には父の顔、時には夫の顔を使い分け、広末と夫婦にも親子にもなって不自然さを感じさせません。

 ラストシーンは衝撃的です。平介と直子、それぞれの気持ちが痛いほどわかりながらどうにもならないもどかしさ。原作と少し違いますが、結果的にはほぼ同じラストなのは、ここがタイトルにも関わってくる極めて重要な、変更できないシーンだからですが、個人的には映画では、もう少し二人に救いのあるカタチに変更して欲しかった気もしました。それほど広末と小林は良い感じだったからです。久しぶりにキレイで、そしてせつない映画でした。

今回の木戸銭…1400円