cinema eye

『ヒート』

鑑賞日97/6/15(ビデオ)
 アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの大物2人が共演するという話題のアクション映画『ヒート』。確かにたっぷりと2人の演技を魅せてもらいました。いかにもハリウッドらしいスター映画ですが、それだけに映画としてはいまいち食い足りない印象も残りました。

 ギャング団のリーダーであるデ・ニーロと、敏腕刑事のアル・パチーノ。ともに極めて優秀な人物であり、お互いにライバルとして認め合うのもよくわかります。しかし、この2人のための映画であるために、他の役者も映画のストーリーも全てが犠牲にされている印象を受けてしまいます。この2人がこれほどの大物俳優でなく、そこそこのクラスの役者だったらもっと2人以外のキャラクターにもスポットを当てられたろうし、サイドストーリーも光彩を放ったことでしょう。ラストが2人だけの対決シーンになるのも、実に不自然です。こうした不自然さを映画の随所に感じてしまうのが、スター中心で作られた映画の弊害です。

 現代に、こういう古典的なスター制度の映画が馴染むものなのでしょうか?僕が感じたような不自然さを多くの観客が感じたのではないかと、思いますがどうでしょう。

今回の木戸銭…1100円